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胸部大動脈瘤のステントグラフト治療

更新日:2015年11月2日

胸部大動脈瘤(TAA:Thoracic Aortic Aneurysm)


胸部大動脈瘤とは?

胸部大動脈瘤とは胸部大動脈の壁が膨らんでできたこぶ(瘤)のことです。
大動脈は心臓から体の各器官に酸素で満たされた血液を運ぶ、体内で最も太く重要な血管です。血液が心臓から出ると、胸郭(胸)において上に向かって進み(上行大動脈)、これが弓状となって(弓部大動脈)、腕頭動脈、頸動脈、鎖骨下動脈へとわかれていきます。そこから下に向かって進み(下行大動脈)、肋間動脈、脊髄動脈、そして最終的には胸部周辺の臓器や器官に血液を運びます。
動脈瘤とは、動脈が弱くなった部分、つまり血流から受ける力が保持できなくなった部分が結果として形成する風船様のこぶです。動脈瘤は体のどの部分の動脈にも発生する可能性があり、自覚症状(胸部や背中、肩、首、腹部などの痛み)を感じない場合が多いです。
胸部大動脈の太さは20mm前後ですが、通常の3倍程度以上拡大する場合や、大きくなくても形が悪い場合には、破裂の危険があると言われています。また高血圧である場合も破裂の危険性が高まります。破裂してしまった場合には、緊急手術が必要となりますが、手術ができず致命的となってしまう事も少なくありません。

胸部大動脈瘤の治療法

胸部大動脈瘤の大きさや位置、患者さんの全身的な健康状態により、動脈瘤をどのように治療していくかが決定されます。
発見された時点で動脈瘤が小さい場合には、医師は動脈瘤を観察するための定期的な検診を行います。しかし、既に直径55mm前後以上の大きな動脈瘤や、定期的な検査で急速に拡大していることがわかった場合、形が悪い場合など、破裂のリスクが高い動脈瘤は、治療が必要となります。動脈瘤は薬では良くなりません。
治療法には、次の2つの選択肢があります。開胸手術治療またはカテーテル治療です。

1) 人工血管置換術(開胸手術治療)

人工血管置換術は胸部大動脈瘤の伝統的な選択肢です。
これは、医師が患者さんの胸部(前面または側面)を切開して疾患部位(動脈瘤)を人工血管で置換し、縫合糸で縫合することによって大動脈を修復する術式です。この手術では、人工血管を置換している間、大動脈の血流を止める必要があります。胸部大動脈瘤に対する標準的で実績のある治療法です。
しかし、非常にご高齢な方や、他に大きな病気(心筋梗塞、脳梗塞、肺気腫など)のある方では、危険性が高くなります。

2) ステントグラフト内挿術(カテーテル治療)

ステントグラフト内挿術は胸部大動脈瘤の治療としては比較的新しい術式です。
開胸手術と異なり、胸部を大きく切開することなく治療することができるので、患者さんへの負担が少なく、ご高齢の方や他に病気のある方でも安全に行うことができます。
この方法では、両側の脚の付け根から動脈にカテーテルを挿入し、動脈瘤の内側にステントグラフト[人工血管(グラフト)に針金状の金属を編んだ金網(ステント)を合わせたもの]を配置し、新しい血流路を確保することにより動脈瘤を血流から遮断するものです。
この方法を安全に行うためには、動脈瘤とその上下の大動脈の形や太さや、カテーテルを挿入する脚の付け根の動脈の太さや状態などが、ステントグラフトに適していることが条件となります。現状では条件が比較的厳しいので、実際は開胸手術が必要な患者さんの方が多くなります。

治療に用いられる医療機器について

治療には、「ゴア®TAG®胸部大動脈ステントグラフトシステム」あるいは「クック®ゼニス®TX2 TAAエンドバスキュラーグラフト」を使用します。

ゴア®TAG®
胸部大動脈ステントグラフトシステム

クック®ゼニス®
TX2 TAAエンドバスキュラーグラフト

ステントグラフト内挿術の治療手順

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治療後の定期的な検診

術後の定期検診のため、通常1ヶ月、6ヶ月、その後1年毎に受診するように勧められます。医師に勧められた通りの検診が非常に重要です。
術後検診では、通常のX線、CTによる検査および診断が行われます。またその他、血液検査や超音波、MRIが行われることもあります。これらの検査により、治療の効果を確認します。もし異常が発見された場合は、追加の治療を行うこともあります。

大動脈瘤の治療を勧められた場合

大動脈瘤の治療を勧められた場合、開胸手術を行うべきか、あるいはステントグラフト治療に適しているかどうかは、詳細な検査の結果に基づいて、専門的に判断する必要があります。治療をご希望の方は、当院、循環器センター『心臓血管外科』にご相談ください。
その際には、紹介状を持参してくださることをお勧めいたします。

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