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ロボット支援前立腺全摘除術の治療実績

更新日:2019年4月10日

2016年10月より最新鋭のダビンチXiを用いたロボット支援手術を開始し、2019年3月までに110件のロボット支援前立腺全摘除術を施行しましたので、治療成績について報告します。

患者さんの平均年齢は67歳(49~77歳)、PSA値は平均10.5 ng/mL(3.30~44.0 ng/mL)、グリソンスコアは6が38名、7が45名、8以上が27名でした。臨床病期(ステージ)はT3(被膜外浸潤か精嚢浸潤疑い)の7名以外はすべてT1c~T2(限局癌)でした。
治療成績については、平均手術時間は3時間55分(2時間41分~6時間48分)、平均コンソール時間は3時間8分(2時間3分~5時間11分)、平均出血量は129mL(5~500mL)(図1~3)、摘出標本重量は平均47g(14~115g)でした。高リスク群の29例(26%)に対して骨盤内リンパ節郭清(閉鎖リンパ節)を施行しましたが、リンパ転移を認めたのは1例のみでした。神経温存術は43例(39%)に施行しました。術中合併症はダビンチ操作ではなく、手術開始時のカメラポート作成時に小腸損傷を1例に認めましたが、保存的治療により軽快しました。術後合併症は腸閉塞1例、腹膜炎2例、術後出血1例、鼠経ヘルニア7例、腸炎1例、感染性リンパ瘤1例に認め、腸閉塞と術後出血の各1例は外科的治療を要しました。また鼠経ヘルニアは外科にて根治術を施行して頂き、腹膜炎と腸炎は保存的治療により軽快し、感染性リンパ瘤は経皮的ドレナージ術により軽快しました。術後入院期間は平均8.4日(7~28日)でした。
病理診断では病期はpT2が60例、pT3a(被膜外浸潤)が42例、pT3b(精嚢浸潤)が5例、pT0(術前ホルモン療法にて寛解)が3例でした。グリソンスコアは6が9例、7が76例、8以上22例でした。切除断端陽性を17例(15%)に認めましたが、全例が局所進行癌(pT3a-b)でした。尿禁制について、1日1枚までの予防的なパッド使用を尿失禁なしと定義しますと、術後1か月で53%、3か月で83%、術後6か月で90%と、従来の開腹手術と比較しても良好な結果でした(図4)。
110件のロボット支援手術の経験により、手術時間は3~4時間まで短縮し、出血量は従来の開腹手術と比較すると、1/4以下と著明な減少がみられました。癌制御に関しては他施設とほぼ同等で、尿禁制は他施設より良好な結果でした。現在、手術の待機期間は約1か月ですが、今後は手術日を増やすなど可能な限り待期期間を短くし、最善の医療をご提供していきたいと考えています。


図1 手術時間

図2 コンソール時間

図3 出血量

図4 手術後の尿禁制(尿失禁なし)