2013年に全国で施行された内視鏡下手術の胃がん手術数に占める割合は34.0%(9,168/26,952)でした。1991年に初めて胃がんに対する腹腔鏡下手術が開始されて以来、その数は徐々に増えてきています。
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手術名 | 手術方法 | 対象疾患 |
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LDG (Laparoscopic Distal Gastrectomy:腹腔鏡下幽門側胃切除術) | 腹腔鏡下に「胃の下側(幽門側)2/3と領域リンパ節」を切除する術式 | 胃の下側(幽門側)に発生した早期胃がんなど |
LTG (Laparoscopic Total Gastrectomy:腹腔鏡下胃全摘術) | 腹腔鏡下に「胃の全てと領域リンパ節」を切除する術式 | 胃の上側(頭側)に発生した早期胃がん・幽門側胃切除で切除不能な早期胃がんなど |
LPG (Laparoscopic Proximal Gastrectomy:腹腔鏡下噴門側胃切除術) | 腹腔鏡下に「胃の上側(噴門側)1/2と領域リンパ節」を切除する術式 | 胃の上側に発生した早期胃がんなど ※従来、胃全摘が選択された症例でも、胃の一部を残すことができます。 |
腹腔鏡下胃切除術は開腹手術同様、全身麻酔下で行います。お腹に5~12mm程度の孔(あな)を5ヶ所開け、腹腔内(お腹の中)で鉗子と呼ばれる棒状の道具を操作しながら行う手術をいいます。上腹部に大きな傷(15センチ程度)を開け、肉眼で手術をしていた開腹手術と異なり、手術中は大きなモニターを見ながらの手術となります。高性能なカメラ(ハイビジョン・3D)による鮮明な画像を駆使することにより、より繊細な手術が可能となりました。胃を切除した後に、お臍の傷を延長(3~5cm程度)して胃を体外へ摘出します。
個々の病態にもよりますが、手術時間はおおよそ3時間半~4時間半、入院期間はおおよそ7~10日間です。
個々の病態にもよりますが、手術時間はおおよそ3時間半~4時間半、入院期間はおおよそ7~10日間です。
従来施行されてきた開腹手術に比べて、からだにかかる負担が少ない治療法とされ、腹腔鏡下胃切除術の優越性が報告されています。
腹腔鏡下胃切除術のメリット
- 小さく目立たない傷での手術が可能
- 整容性(見た目)の向上
- 痛みの減少
- 早期の術後回復(摂食・離床・退院・日常生活)が早い
- カメラやモニターなどの機器の発展による手術出血量の減少
- 術後合併症の低下
開腹手術
腹腔鏡下胃切除術
2014年5月に改定された胃癌治療ガイドライン第4版では、幽門側胃切除が適応となる早期胃がん(cStageI)では、腹腔鏡下胃切除術は「推奨可能な日常臨床の選択枝」とされています。一方で、胃全摘や進行胃がん(cStageII以上)に対する腹腔鏡下胃切除術は、「安全性や長期予後に関する十分な科学的根拠に乏しい臨床研究としての治療法」との位置づけとなっています。当科においても十分な研鑚を積んだ医師のもと、慎重に適応を判断し手術術式を決定・提案しています。
また、難易度が高い症例には、ダビンチによるロボット支援技術を導入していく予定です。
より良い手術を行うために、根治性(病気を治すことができる可能性を落とさない)と機能温存(臓器を温存して体の機能を落とさない)、安全性を十分に考慮し、病気の進行具合とのバランスをとった患者さん個々の状態に合わせた治療を心がけています。
また、難易度が高い症例には、ダビンチによるロボット支援技術を導入していく予定です。
より良い手術を行うために、根治性(病気を治すことができる可能性を落とさない)と機能温存(臓器を温存して体の機能を落とさない)、安全性を十分に考慮し、病気の進行具合とのバランスをとった患者さん個々の状態に合わせた治療を心がけています。