当院では、従来耳鼻咽喉科が頭頸部腫瘍に対する外科的な治療を担ってきました。治療対象には喉頭癌、下咽頭癌、舌癌をはじめとした口腔癌や、上顎癌、唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍などが挙げられます。治療実績は、患者数、手術件数とも全国トップクラスです。ちなみに、当院の昨年度の新規頭頸部癌患者は118名でした。
一方、重症な顔面外傷の治療には主として眼形成眼窩外科が対応してきました。眼形成眼窩外科は、眼窩周囲の疾患を外科的に取り扱う専門科です。眼窩というのは眼球を入れる骨のくぼみのことです。白内障や緑内障などは扱いません。涙道疾患や、眼窩骨折、悪性腫瘍を含む眼窩腫瘍が重要な対象疾患です。当院眼形成眼窩外科は全国に先駆けて創設され、連日、県内外から多くの患者さんが来院しています。
また、以前から顔面骨折だけでなく鼻副鼻腔疾患等に関しては、眼形成眼窩外科と耳鼻咽喉科との合同で手術が行われてきました。さらに最近では、頭頸部癌の拡大手術などでも協力態勢が整っています。2008年に中央手術室で行われた手術件数は耳鼻咽喉科870件、眼形成眼窩外科881件を数え、そのうち両科の合同手術は59件(内訳:耳鼻咽喉科24件、眼形成眼窩外科35件)ありました。
このような状況を背景に、もうひとつの頭頸部領域の専門科である口腔外科が耳鼻咽喉科、眼形成眼窩外科とコラボレーションする「頭頸部・眼窩顎顔面治療センター」の構想が生まれたのです。
頭頸部疾患のうち特に対応が難しいとされるのは、癌を含めた腫瘍の治療や、広い範囲の顔面骨折や外傷です。なぜなら、複数の専門領域にまたがった対応を必要とすることが多いからです。単独科では専門領域外の範囲に対し、必ずしも十分な対応がとれない可能性もあります。
センターでは3科または2科(耳鼻咽喉科・眼形成眼窩外科・口腔外科)が連携することにより質の高い診療が可能となります。
当センターは、4月の口腔外科の診療開始に合わせ本格的に活動していきます。全国的にも数少ないシステムのもと、頭頸部、眼窩、顎顔面領域疾患に対する充実した総合的治療を提供できるものと自負しております。皆さまご期待ください。





