聖隷福祉事業団で、前回のPART Iは、簡単に社会福祉法人の成り立ちと直面しつつある課題について述べてみました。
今回は、社会福祉法人が今の組織力のままで、日本の増大する福祉ニーズに応えていける存在なのかについて考えてみたいと思います。
2015年 視察先の米国バージニア州ノーフォークに本拠を置く
医療事業体であるセンタラヘルスケア本部での意見交換。
福祉の担い手として、株式会社と対比した社会福祉法人の特徴は、
(1)非営利法人として、利益は外部に流出することなく福祉事業にのみ還元される
(2)行政の指導・監督により、公益性とサービスの質がある程度は担保される
と、評価される一方で、
(3)資金調達が容易でなく、小規模のままの法人が圧倒的多数を占める
(4)利益が生じても蓄積するだけで、福祉事業を積極的に拡張しようとしない法人がいる
(5)小規模法人では特に、財務管理が未熟かつ情報開示がなされていない場合が多い
といった問題が指摘されています。
(1)非営利法人として、利益は外部に流出することなく福祉事業にのみ還元される
(2)行政の指導・監督により、公益性とサービスの質がある程度は担保される
と、評価される一方で、
(3)資金調達が容易でなく、小規模のままの法人が圧倒的多数を占める
(4)利益が生じても蓄積するだけで、福祉事業を積極的に拡張しようとしない法人がいる
(5)小規模法人では特に、財務管理が未熟かつ情報開示がなされていない場合が多い
といった問題が指摘されています。
今年3月に国会で成立した社会福祉法等の改正法では、社会福祉法人の経営力を一般企業に近づくようしっかりと引き上げると同時に、福祉ニーズ特に株式会社が参入しようとしないすき間ニーズに対しては、社会福祉法人に積極的に対応させようとする意図が明らかにあります。社会福祉法人側も国の意図に概ね理解を示し、対応していく姿勢を示しています。しかし、小規模法人の形を残したまま経営力を引き上げようとすることには限界があります。介護、保育といった現場での日々業務に注力しながら、財務管理、経営計画の構築、コンプライアンスの実践を求められても現実的に機能するとは思えません。現場サービスと経営管理は当然密着しながらも、専門特化することも必要です。日本では大多数を占める小規模の社会福祉法人の経営力を引き上げる目的を実現するには、もう一段の工夫が必要と考えられ、それはグループ化や合併などを進めていく次なる制度改革だと思われます。
米国を例にあげると、福祉事業はビジネスであると同時に地域の大切な共有財産であり、地域の住民・経済界が福祉事業者を育て支えていこうという意識が存在し、結果として大規模な医療福祉のサービス主体が各地で展開されています。一概に米国化が日本に適しているとは思いませんが、検討に値する事例だと考えています。
聖隷福祉事業団は、社会福祉法人としては異例の年間収入1,100億円、職員数13,500人で広域の事業を推進しています。聖隷が経営力強化を常に図り、安定的かつ先進的に福祉事業を推進していく社会福祉法人であり続けることは、日本の社会福祉法人制度の高度化にとって重要であることを認識しなければならないと考えています。
※2015年 理事長山本敏博ほか法人役員とともに米国を視察。
米国を例にあげると、福祉事業はビジネスであると同時に地域の大切な共有財産であり、地域の住民・経済界が福祉事業者を育て支えていこうという意識が存在し、結果として大規模な医療福祉のサービス主体が各地で展開されています。一概に米国化が日本に適しているとは思いませんが、検討に値する事例だと考えています。
聖隷福祉事業団は、社会福祉法人としては異例の年間収入1,100億円、職員数13,500人で広域の事業を推進しています。聖隷が経営力強化を常に図り、安定的かつ先進的に福祉事業を推進していく社会福祉法人であり続けることは、日本の社会福祉法人制度の高度化にとって重要であることを認識しなければならないと考えています。
※2015年 理事長山本敏博ほか法人役員とともに米国を視察。