8月末から出向いた欧州視察からの学びについて「ノルウェー」と「スペイン」の2回に分けて綴ります。今号で紹介するノルウェーは、高齢者が暮らしやすい国ランキングで世界第2位*1であり、高福祉国でも知られています。そのノルウェーで、大学・病院・福祉施設を総合的に運営するディアコーニヤンメ*2 を訪れ、先方の理事長他病院長や施設長とノルウェーの医療・福祉についてディスカッションをさせていただきました。その中で、同法人が教育や医療・福祉事業の運営にとどまることなく、民間の視点で未来を担う若者に関わり、さまざまなニーズに合った高齢者の居住の場をオスロ市に提案、街づくりを行政と協働ですすめていることがわかりました。また、次の2点は私の心に強く残りました。
視察先)ノルウェー(オスロ)
ディアコーニヤンメ前理事長によるノルウェーについての講演
福祉は「慈善」ではなく「権利」であり、全ての人は平等に「権利」を有するという考え方です。「権利」であるからこそ、私たちは利用者と同じ視線で、そのニーズに真摯に耳を傾けなくてはならないと強調されています。
また、昨今の情報の進化は、ニーズの高度化と利用者が権利を主張する量の増加を生じ、それにどう応じていくのか、ディアコーニヤンメでも大きな課題であるとのお話も伺いました。
二つ目は、職員教育の考え方です。ディアコーニヤンメでは従来、医師、看護師、介護士等の専門職が各々の専門性を高めることに注力しすぎ、互いの連携が希薄になっていたそうで、それは聖隷においても同様の課題があると私は感じています。ディアコーニヤンメでは現在、各専門職がクロスして教育を受ける、様々な専門職が多様な関わり合い持ちながら利用者ニーズに応える重要性を学ぶ、ということに注力されているとのことでした。ここにも聖隷が学ぶべき点を見い出した思いがしました。
ディアコーニヤンメのこうした考え方は、国境・文化を超えて私たちは共に学び考えていきたい、そのためにディアコーニヤンメと聖隷では人材交流を積極的に進めていくことで同意しました。我こそは、ノルウェーで勉強してみたいと手を挙げてくれる職員がいることを願っています。※但し、英語も事前に学んでおくことが条件ですが。
*1 グローバル・エイジウォッチ指数2015年版より
世界96ヵ国について、その高齢者の社会的経済的厚生の状況についてランキング形式で評価したものである。
世界の60歳以上の高齢者の91%に相当する、9億100万人を捕捉しており、評価は大きくは4項目――(1)所得保障、(2)健康状況、(3)能力、(4)周辺環境の13の小項目の比較に基づき行われた。
*2 ディアコーニヤンメ:ホームページ(英語)はこちらから
同じく視察に出向いた、在宅・福祉サービス事業部長津幡佳伸(右から3番目)と
結いホーム宝塚園長山本誠(左から2番目)
また、聖隷福祉事業団内の新任係長研修の講演や静岡県主催ふじのくにケアフェスタに出向いた様子を紹介します。
聖隷福祉事業団のマネジャー1(新任係長)研修にて「係長に求める役割と期待」と題し講演
職員の満足、質の向上、最先端の環境。この3つのサイクルの好循環を回すことが私の役割です
9月17日(土曜日)18日(日曜日)に開催された静岡の介護の魅力発信イベント「ふじのくにケアフェスタ2016」(静岡県主催)に静岡県社会福祉法人経営者協議会の会長として開会のテープカットにも参加。
※画像をクリックするとケアフェスタのホームページが開きます。
- 発行開始:2015年8月
- 発行頻度:年4回(6月・9月・12月・3月に発行)
- 発信先:聖隷福祉事業団ホームページ内「広報活動」
- 次回予告:2016年12月発行予定 「在宅・福祉サービス事業部浦安べテルホーム(介護職)」
- 企画・取材・編集:秘書・広報課 竹内絵美・鈴木光
- デザイン:秘書・広報課 松林美佳
- 発行責任者:秘書・広報課長 臼井健太
第2号「聖隷佐倉市民病院腎臓内科部長藤井 隆之医師(写真中央)」取材時に左)秘書・広報課鈴木光・右)竹内絵美
取材した内容を原稿にする作業も秘書・広報課のスタッフが一から行います。社内報の制作の合間をぬって原稿を作成後、ホームページの掲載内容も原稿の内容に合わせてデザインも行っています