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【最新号】聖隷三方原病院 総看護部長

看護の専門性と優しさで患者さんの生きる力を引き出すのが私たちの役割です。

 浜松市の中心部からバスで北へ40分。聖隷発祥の三方原台地に立つ聖隷三方原病院は、静岡県下最大の934床の病床を有し、ドクターヘリを代表とする超急性期医療から精神科結核ホスピスなどの亜急性期医療、さらには重症心身障害児施設まで幅広く展開をしている。その聖隷三方原病院の新総看護部長として2018年1月に就任した松下君代に迫る。


i am「松下 君代」

ナイチンゲールに憧れ 看護師、保健師の道へ

大学時代実習着にて。
中央のVサインの学生が松下。

 「将来は学校の先生か、看護師になりたいな」。将来の夢をなんとなく考えていた小学生の松下が手に取った一冊の伝記『ナイチンゲール』。患者のお世話をするだけでなく、科学的根拠に基づいて取り組まれるナイチンゲールの看護。それを知った時、ぼんやりとしていた看護師像が一気に鮮明になった。中学卒業の進路選択の時期には、看護師として活躍する自分がイメージできていた。迷わず聖隷三方原病院に隣接する聖隷学園高校(※1)看護進学コースに入学した。松下が高校を卒業する1990年頃、厚生省と大蔵省は来る高齢社会に備えて「ゴールドプラン」を推進しており、医療福祉体制が大きく変わり始めていた。10年間で6兆円以上を投じ、特別養護老人ホーム整備や在宅福祉対策などを進め、この分野に従事する医療者として保健師が注目され始めていた。もともと人に興味を持ち、医療関係の仕事をしたいと思っていた松下は、時代背景も相まって保健師課程がある大学へと進学した。

看護師松下を成長させた二人の患者との出逢い

寝る間も惜しんで研究に没頭した大学院時代。
修了時に仲間と共に。

 晴れて看護師となった松下は、聖隷三方原病院へ入職した。聖隷三方原病院は松下の育った町から車で10分程度で着く、重い病気になれば受診する地元の頼りになる、病院であり、高校時代の授業でもお世話になった身近な病院だ。また「三方原の看護師は優しい」「褥瘡(※2)をつくらない」と高校在学中から評判でもあった。
 入職時に内科外科救急をくまなく経験したいと希望を出した松下は、救急循環器、内科系の混合病棟に配属された。
 入職1年目の時、1日60本のたばこを吸う心筋梗塞を患った60代の男性患者を担当した。入院中は禁煙せざるを得ないが、退院後も禁煙を継続してもらわなくてはならない。何十年も続けてきた生活習慣を変えるのは並大抵のことではなく、新人の松下にとって荷が重かった。しかし、患者の今後を考え、松下と患者は二人三脚で禁煙への道を切り開いた。退院後、外来受診をしたその患者が、今でも禁煙ができていると話しにきてくれた。看護師としての働きかけが、一時的なケアでなく患者の日常生活にまで活かされたことが松下は何よりも嬉しかった。この患者との交流は、外来受診や年賀状を通して亡くなるまで続いた。入院で治療を施した後、患者の生きる力をどう支えるかを松下はこの患者から学んだ。

CCU勤務時代。患者さん夫婦とお花見に。
この写真は松下の結婚式でも紹介された。

 入職4年目の時、CCU(心臓血管疾患集中治療室)で蘇生後脳症と心臓疾患を患う男性患者Aさんを担当した。その患者は意思疎通が困難であり、人工呼吸器も外せない状態となった。様々な課題が松下たちに課せられた。話ができないその患者が求めていることをどう汲み取るか。少しの下痢でも血圧が落ちる。軽い感染症でもショック状態に陥る。どうしたらそれらを防げるか。たくさんの医療装置を付けていても、孫が怖がらずにその患者に触れられるか。皆で考え、チーム力で解決に向けて取り組んだ。「Aさんと一緒にみんなで桜を見に行こう」というチーム皆から家族への提案で、人工呼吸器をつけて花見にも出掛けた。満開の桜の木の下で妻の夫に向けるほほ笑みと患者の穏やかな顔を松下は今でも忘れない。その患者は松下だけでなくチーム皆にとって大切な患者であった。患者の妻とは今でも手紙のやりとりをしている。看護師として学ばなくてはいけない課題やチームづくりなど、中堅看護師としての成長を松下はこの患者にさせてもらった。




看護師の実践が誰でもわかるように 可視化する術を見出すために大学院へ

看護診断を学ぶにあたり
何度も読み返した参考書

 CCUを主に担当していた頃、松下は看護師が患者の問題をフィジカルアセスメント(※3)してから表現する、看護診断という手法に没頭していた。しかし、その看護診断で使用されている用語は他職種はもちろん同じ看護師でも理解が難しかった。看護師の仕事をもっと可視化、標準化できないかと考え、入職から5年目に看護学を学ぶために大学院へ進んだ。
 大学院では「心筋梗塞患者の自己管理への取り組み」をテーマに研究した。その過程で、現象を客観的に捉えたり、用語の使い方を考えるのに多くの時間を費やした。実際の患者へのインタビューを文字におこし、学生同士で再現した。「なぜこのタイミングでこの質問をしたのか?ここではもっとこの言葉を使っては?」とアドバイスし合い、教授から指導を受けた。相手に間違いなく分かりやすく伝え、考えを捉え引き出すトレーニングをした。大学院修了後、聖隷三方原病院へ復職した松下が持ち帰った成果は多くある。電子カルテに情報を入力する際や、看護師の視点で課題を立てる際に、看護師が使う用語を標準化し、皆が共通理解できるように整備した。また看護データベース(※4)も整えた。精神面、価値信念にかかわること、宗教や性的なことなど、患者にとって繊細な領域もインタビューの経験を活かして問いかけ、チームでの看護実践に活用した。
 そして、松下や有志たちがこつこつと勉強してきた看護診断が電子カルテ稼動時に、看護支援システムに導入されることになった。導入にあたり委員会が勉強会の支援をしてくれるようになり、会場準備やポスターを作成してくれた。教育課程にも看護診断が組み込まれた。責任は重かったがその反面、皆で議論してゼロから作っていくやりがいがあった。同時に、臨床だけではない看護のキャリアの広がりを強く感じた。

「助けを必要とする人に手をさしのべることを第一とする」聖隷三方原病院の看護 

いつも頼りにしている看護次長・看護課長と

 聖隷発祥の地である聖隷三方原病院には、聖隷の理念である「隣人愛」をどう実践していくかを考え、実行する看護師が集っている。聖隷三方原病院の看護師は優しいが、「単なる優しいだけで止まってはいけない」と松下は言う。急性期医療としての看護をきちんと提供してもらえるという患者からの信頼を得なければならない。看護師として質の高い技術を提供できる者は、コミュニケーションスキルも高くなければならないと松下は考える。例えば採血。最善の方法で採血ができる体位を整えるには、目的や流れを説明し、患者に協力してもらう必要がある。そのためには、高いコミュニケーションスキルで信頼を得て協力してもらい、リラックスした気持ちで検査を受けてもらう。それが引いては技術の成功につながり、質も向上するのだ。患者を思う気持ちを体現するスキルを発揮することが「隣人愛」の実践であり、優しいということである。
 世間では出産や病気、介護などで休む時に、職場に対して後ろめたいと思う看護師がいるが、松下はこう言う。「彼らの看護師人生からみればたった数年。多くの人がその道を通るからお互い様です。大切なのは、看護師を辞めるか否かでなく、1年後、3年後、10年後…看護師としての自分を描き実現させることなのです。併せて、仕事とプライベートで多重な課題に取り組むから人としての幅も広がるんですよ」。だから松下は看護師たちへ心から「おめでとう」「休んでも大丈夫だよ」と言うし、そう思って送り出している。そんな松下も現在子育ての真っ最中。看護師として、仲間や家族に支えられながら一児の母として奮闘中である。そして子育てを通して自らの世界が広がった。趣味のキャンプは子どもが生まれてから発見した楽しみだ。


生きる力は患者の生命力にかかっている 生きる力を引き出す松下の考える看護 

取材:法人本部 秘書・広報課 池田・松林

 看護師は入院中の一時期、患者のお手伝いする。しかし、いずれは退院して日常生活に戻る。その時に患者が過去にやっていたことをもう一度できるように、患者の望む生活ができるように、患者の生きる力をどう引き出すかを松下は大切にしている。そして今、松下が最も尽力していることは、聖隷三方原病院訪問看護ステーションや回復期病院と連携を強化することだ。2017年には日本看護協会の看看連携モデル事業に手あげした。院内の運用を決める時に意見をもらったり、訪問看護ステーションと共同でカンファレンスを行ったり、院内の係長級の看護師を他施設へ10カ月間の研修へ出したりと、地域の他施設を巻き込んでネットワークづくりを推し進めている。「同じ病院かなと思うくらい今はたくさんの声を地域の皆さまからいただいています」と、自らが思い描く聖隷三方原病院を目指し、情熱をもって語っている。

 科学に基づく看護の専門性と、聖隷三方原病院の看護師の優しさを兼ねそろえた総看護部長松下は、これからも仲間をそして地域を巻き込みながら聖隷の理念である「隣人愛」を継承し続ける。




※1 ・・・現在の聖隷クリストファー高等学校
※2 ・・・寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、
     皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと。「床ずれ」と
     もいわれている。(日本褥瘡学会ホームページより)
※3・・・患者と家族への問診から得られた主観的情報と視診・触診・聴診・打診などの客観的情報
     を統合して、患者の状態・状況を判断すること。(ナース専科ホームページより)
※4・・・看護を必要とする人についての属性・個人的な情報が入力されたもの。看護を必要とする
     人を理解し、現在あるいは今後必要とされるケアや問題を判断(看護診断)し、ケアを
     計画、実行する上で基礎となるもの。

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聖隷三方原病院 施設概要

所在地〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
電話番号053-436-1251FAX053-438-2971
開設日1942年12月24日定員・定床数934床
施設種別
  • 医療保護施設
  • 助産施設
  • 居宅療養管理指導事業
  • 訪問看護事業
ホームページこちらをご覧ください


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 聖隷三方原病院は創立70周年を迎えました。結核が不治の病と恐れられた時代に重症結核の青年を護り看取ったことから私たちの歴史が始まります。創始者たちの設立理念を受け継ぎ「キリスト教精神に基づく隣人愛」を病院理念に掲げています。

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