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役員がつづるコラム「膠漆之心」

理事 荻野和功:聖隷三方原病院院長 (2021年5月号)順序がとっても大事


理事 荻野和功

今回の新型コロナ感染症は私達に多くの事を教えてくれた。最初は中国武漢市で発生した新しい感染症として、毒性も感染力も不明であった。その後、日本国内での患者発生、さらにダイヤモンドプリンセス号の横浜港寄港を経て、日本国内での流行は避けて通れないものと判断し、昨年の4月、朝礼で聖隷三方原病院はこのウィルスと戦うと宣言した。

この時は、もちろん患者さんを扱う医療機関への政府からの支援金の話など一切なく、逆に陽性患者さんを扱う医療機関は、風評被害により一般患者さんからは敬遠された。経営的にも甚大な赤字となる数字が月々刻まれ続けた。当初は発熱外来での検体採取という形で貢献し、実際の患者さん受け入れは7月に入ってからとなった。どの医療機関も風評被害を恐れ、また職員の説得も大変なため、患者さんの受け入れには消極的であった。

指定感染症「二類相当」として、入院加療を基本とする制度の中、政府はこの疾患を受け入れる医療機関に、病床を確保するための空床補償金を支給することとした。全国的に患者数が減少していた医療機関は何処も厳しい経営状態にあり、中にはこの支援金が支給されるのならと、新型コロナ患者さんを受け入れる医療機関が名乗りを挙げた。勿論多くの医療機関は、私達同様に医療者としての使命感より手を挙げたと思われるが、聖隷三方原病院ではこの支援金により対前年の大幅な赤字が大きく改善した。年度後半も、多くの患者さんを受け入れ地域貢献をすると共に、この患者さんを扱うための医療機器の整備や、施設整備にも多くの支援を頂いた。そして年度末には何と対前年を上回るような数字が残せた。

もしも支援金がなければ、風評被害に加え、職員への防護具、施設内の感染防護体制への支出など、大変な減収になっていたと思われる。一方、その減収に見合う支援が受けられたということは、支援金が出ると判って患者さんを受け入れた医療機関も、当然同様の年度末決算となっているものと思われる。結果として残った数字からは、どちらの医療機関もよく頑張って良い数字を残せたこととなるが、結果は同じでも、そこに困っている患者さんがいるのなら、そして他の医療機関が尻込みするならと自ら立ち上がった私達と、支援金が入るならと後から手を挙げてきた医療機関とは、その事業を行うまでの思考順序が全く異なっている。そして、私はその思考順序に多大なこだわりを持っている。数字は結果で、目的ではないといつも職員に言い聞かせているが、医療は使命感を持って行うもので、数字はその結果として表れてくるものである。数字が目的の医療は、単なる経済活動でしかない。私達の行った事は、理念の実践であり地域に必要とされていた医療サービスの提供であった。残した結果としての数字は同じでも、振り返った時に最も大事な事はそこに至った思考の順序なのである。聖隷福祉事業団のみなさ-ん。聞いてますか?

理念が先か?支援金が先か?

理念が先か?支援金が先か?

所在地 〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
電話番号 053-436-1251
FAX 053-438-2971
開設日 1942年12月24日
定員・定床数 940床(一般816床〔コロナ特例病床6床含む〕)、結核20床、精神104床)
施設種別
  • 医療保護施設
  • 助産施設
  • 居宅療養管理指導事業
  • 訪問看護事業
ホームページ こちらをご覧ください

聖隷三方原病院

聖隷三方原病院は多種多様な医療の提供、現状にとどまらず時代の流れと共に必要な医療サービスを探し、日々奮闘し、地域のためにできることは何か考えています。

聖隷ホスピス

2021年、聖隷ホスピスは40周年を迎えます。
当院に日本で初めてのホスピス病棟が生まれたのが1981年。
ご家族とのふれあいの時間を大切にし、心穏やかな毎日が過ごせるよう寄り添いながら支えていきます。

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