浦安べテルホーム 介護福祉士

「住みなれた家に戻って生活がしたい」。そんな利用者とご家族の希望を叶えるべく、可能な限り自立した日常生活を送るためのリハビリテーションや介護などを提供する浦安市唯一の介護老人保健施設(※1)浦安べテルホーム。この施設には介護福祉士(※2)からケアマネジャー(※3)、フロアリーダーへと活躍の場を広げる菊地美里が所属する。「利用者さんの幸せのためにできることは何か」現状に満足せずあくなき挑戦を続ける彼女を追う。

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i am「菊地 美里」

利用者の笑顔を引き出す 介護福祉士への憧れ

 パン屋、小学校、ドラッグストア…「ねぇ、どこにする?」悩む友だちをよそに、菊地は瞬時に“高齢者施設”に決めた。

 中学生のとき授業の一環で職業体験をすることになった。祖父母と共に暮らすおばあちゃんっ子の菊地にとって高齢者と触れ合える“高齢者施設”は魅力的だった。施設では利用者とレクリエーションに参加し、介助の様子を見学。最終日にはグループの仲間と切り絵の似顔絵をプレゼントした。「飾っても利用者さんから見えることを念頭に、A3サイズの特大切り絵を作りました。利用者さんが見せてくれた笑顔は今でも忘れられません」。

 利用者さんのキラキラした笑顔のそばにはいつも職員がいた。「その職員は介護福祉士だと聞き、どうすれば介護福祉士になれるのか自宅に帰り必死に調べました」。2000年、介護保険制度が施行され介護業界が大きく動き始めた年の出来事だった。

不安とプレッシャーをはねのけ介護福祉士へ

 夢の実現に向け専門学校へと進学した菊地は、介護業界への理解を深めるほど不安を抱いていった。ひとつは『仕事がキツイ』『給料が低い』『離職率が高い』といった業界のマイナスイメージ。もうひとつは実習を重ね感じた、相手の状況が刻々と変化するからこそ自分の介護が最善のものだったのか明確な答えが得られないこと。利用者は一人として同じ人がいない。病名や要介護度が同じ人であっても、その人の性格や周りの環境ひとつでその人に合う接し方や支援の方法が変わってくる。教科書通りにはいかない、そんな『介護の奥深さ』が経験の浅い菊地にはプレッシャーとなっていた。

専門学校時代に研修で訪問したスウェーデンでお世話になった講師と。

 将来、自分は利用者の笑顔を引き出せる存在となれるのだろうか。菊地の心は揺らいでいた。「それでもやっぱり私は介護福祉士になりたいと思ったんです。介護を終えた後の利用者さんからの『ありがとう』や利用者さんの笑顔を見られたときの喜びは、不安やプレッシャーに勝りましたから」。

 利用者の笑顔に背中を押され、菊地は介護福祉士の資格を取得。就職先は聖隷福祉事業団を選んだ。「業界のマイナスイメージとは異なり、技術や知識を高められる研修と、将来ライフイベントを迎えたとしても働き続けられる制度があることが魅力的でした」。菊地は浦安べテルホームで介護福祉士として歩み始めた。

目の当たりにした介護の難しさ

 浦安ベテルホームは個室(ユニット型居室※4)と4人室(従来型居室)を有し、利用者とご家族の希望に合わせた利用が可能だ。

 菊地が入職して数か月後、独り立ちしてから担当した認知症の利用者との出会いが介護福祉士のスタートだった。利用者は認知症の周辺症状(※5)が進行し、意思疎通が難しかった。菊地の前に突然立ちふさがった壁はとても大きく感じた。「本人の望んでいることを引き出さなければ、よりよい生活を送ることができません。当時はニーズを引き出す方法を早く手に入れようと必死でした」。

 その後、徐々に利用者に対しての支援方法を身に付け、菊地の目の前にあった壁も少しずつ乗り越えられる高さになってきた時、利用者は体調を崩し、入院するため施設を去って行った。

 「本人が望んでいることを見つけ出す前に、症状が進んでしまうこともあります。体調を崩してしまう前に、望んでいることをもっと早く気づきたかったと、後悔しました」。

 介護の難しさを痛感した菊地だったが、この後、大きな成長へ繋がる出会いが待っていた。

担当するユニットの居室。在宅復帰を目指す入居者のために、食事やトイレなど、その方ができる最大限の力を引き出せるよう配慮している。

利用者の身体の状態だけではなく、生活の様子や精神状態なども記録することで、利用者一人ひとりに適したケアを実施することができる。

自己成長のために “合格率16%”へ5年越しの挑戦

 一人ひとり異なる支援方法に戸惑いながら、それでも少しずつ前に進む菊地に新たな目標が芽生えた。きっかけは体調を崩し日常生活に支障をきたすようになった祖母のもとにケアマネジャーが訪れたこと。介護認定の対応やベッドの搬入など、在宅生活をより長く続けるための支援を手際よくこなしつつ、祖母という一人の人間に寄り添う姿に菊地は憧れた。「ケアマネジャーになれば、一人ひとりに合わせた支援のやり方を見出せるのかな」。受験には5年以上の実務経験が必要だ。菊地はこの5年間で自身の技術と知識を磨き、合格率約16%(※6)という高い壁に挑戦する決心をした。

 菊地の覚悟を応援するような体制が職場にはあった。施設のケアマネジャーが講師となり、資格取得に挑戦する職員向けに定期的な勉強会を開催していたのだ。「職場の皆さんが勤務調整をしてくれたおかげで全て参加できました。また職場長はケアマネジャーなので、資格取得に向けて直接指導を受けていました」。聖隷にはプリセプター制度(※7)やOJT(※8)といった制度があり、介護福祉士としての知識や技術もこの5年間で向上した。「職場の理解と協力のおかげで自信を持って試験に臨みました」。2015年12月、菊地は見事壁を突破してみせた。

資格取得を全面的に支援してくれた職場長の加藤(左)との信頼関係はゆるぎない。

ケアマネジメント会議の様子。施設の役割を尊重し、サービスを向上させるためケアマネジャーの知識向上と利用者個々のQOL(生活の質)を高めるサービス提供のため会議を行っている。

 会議に出席したり、ケアプランの作成を上司と行ったりするなど、菊地は少しずつケアマネジャーとして歩み初めている。「経験はまだまだ浅いですが、ケアマネジャーとしての知識や経験が利用者さんのより良い暮らしに貢献できると信じています」。利用者の笑顔を前に、ケアマネジャーとしての飛躍を誓った。

突然のリーダー就任、新たなステップへ

 ケアマネジャーの資格を取得し状況も落ち着いてきた矢先、前任のフロアリーダーが異動することになり菊地が後任に抜擢された。同じフロアには経験豊富な先輩ばかりで、しかもフロアの中で最年少の菊地にとって、青天の霹靂であった。「なぜ私が?という気持ちが強く、フロアリーダーを務められるのか先行き不安でした」。若干28歳でフロアを束ねるリーダーとなったプレッシャーは大きい。担当する利用者に今後どういった支援をしたいのか、そのためにはどうすればよいのかなど、職場長と共にユニットの方向性を職員に示す重要な役割がある。

 フロアリーダーとしてまだその役割を果たし切れていないと感じながらも、ある時自分の変化に気づいた。「立場が変わると物事を見る視点が変わり、今まで気づかなかったことが気づくようになりました。リーダーになったことで、新たな視点を持てるようになりました」。フロアリーダーとしてまだまだ半人前ではあるが、菊地なりにまた一歩新たな成長に向けて歩み始めた。

「菊地さんでよかった」利用者に安心感を与えるケアを

浦安ベテルホームユニット型居室係スタッフと。働きやすい環境づくりやスキルアップのための互いに助け合う職場風土が根付いている。

仕事をしている上で嬉しいことは利用者から「菊地さんでよかった」と言ってもらえることだ。「菊地さんがいてくれるから、今日は良く眠れそうと言われると素直に嬉しいです」。利用者からの言葉は菊地の心に染み渡り、今まで行ってきたケアに自信を持つことができる。利用者は一人として同じ人がいないから、答えが一つではない。しかしどの利用者にも共通していえることは、安心感を与えるケアが必要だということだ。その考えを軸に一人ひとりに適したケアをすることで、在宅復帰に一歩近づけるのではないかと菊地は考える。

 安心してケアを受けてもらい、自分らしく自立した生活が送ることができる利用者が一人でも多く増えることを目指して、菊地はこれからも『介護の奥深さ』を楽しみながら最前線で躍進する。

(※1)在宅復帰を目指している方の入所を受け入れ、入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する施設(厚生労働省ホームページより抜粋)。要介護1~5に認定され病状等が安定している方が利用できる。
(※2)専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行う者。(厚生労働省ホームページより抜粋)
(※3)要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者。(厚生労働省ホームページより抜粋)
(※4)特徴は利用者のプライバシーが守られる「個室」と、他の利用者やスタッフと交流するための「居間(共同生活室)」を有すること。利用者10人前後を一つの「ユニット」とし、より在宅に近い環境で利用者一人ひとりの個性や生活リズムを尊重した暮らしをサポートできる。
(※5)周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状。「認知症の行動と心理症状」を表わす英語の「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の頭文字を取った「BPSD(行動・心理症状)」という名称が一般的になりつつある。暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁などはいずれもBPSDである。
(※6)2015年度介護支援専門員実務研修受講試験合格率。
(※7)指導担当の先輩職員に付いて、一緒に業務をする中で基本技術を覚える制度。
(※8)OJT・・・On the Job Trainingの略で、仕事中、仕事遂行を通して訓練をすること。

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浦安べテルホーム 施設概要

浦安せいれいの里

浦安ベテルホームは1階と2階

所在地 〒279-0023 千葉県浦安市高洲9-3-2
電話番号 047-700-6600 FAX 047-700-6665
開設日 2006年4月 定員・定床数 100床
施設種別
  • 無料又は低額介護老人保健施設
  • 居宅介護支援事業
  • 通所リハビリテーション事業
  • 短期入所療養介護
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