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ホーム  > 研修医日記  > 地域医療研修報告 ~浜松市国民健康保険 佐久間病院~ 9/4(金)

地域医療研修報告 ~浜松市国民健康保険 佐久間病院~
9/4(金)

地域医療研修に出掛ける前の2年目O先生☆
ビタミンカラーのオレンジ色スクラブが似合っています(笑)!

こんにちは!

当院での地域医療研修先として、「浜松市国民健康保険 佐久間病院」「医療法人徳洲会 沖永良部徳洲会病院」「聖隷淡路病院」がありますが、その一つの「佐久間病院」(以下、佐久間病院)に地域医療研修に行っていた2年目研修医O先生が9月に戻ってきました!!

O先生は、当院北部の山間部にある「佐久間病院」で経験した症例や見聞きした研修内容を細かくノートに纏めて研修センターに報告してくれましたので、今回は「佐久間病院」の研修についてご紹介します!
浜松市天竜区佐久間町は、2007年4月の“平成の大合併”により城西地区、山香地区、佐久間地区、浦川地区の4地区を構成するようになりました。
佐久間町はかつては主要産業の林業や久根鉱山で栄えていたところ。
しかし、佐久間ダム建設後に人口流出し始め、現在人口は約3000人、高齢化率に至っては60%台後半に迫っているそうです。
佐久間町の医療を支える「佐久間病院」は、浜松市の北西部に位置し静岡県西部のへき地医療を担う大切な医療機関の一つ。
このような中山間地区の地域医療研修では、生活者の視点にたった地域に根付いた診療のほか、制約のある診療環境下で医療を実践する力が求められます。
O先生は佐久間病院の一般外来のほか訪問診療、往診、通所介護、無医地区への巡回などを病院の先生方について実習させて頂きました。

通院実習 ~中部佐久間から城西まで~

佐久間病院では病院での診療以外に各地域に点在する診療所の巡回診療や通所介護訪問などがあります。
この日は「通院実習」として、地域のコミュニティバスを利用して病院から城西まで行き、帰りはJR飯田線を使って帰ってくる体験をしました。遠方からお越しになる患者様のご苦労がわかります。

定期外来診療 ~佐久閒病院附属山香診療所~

隔週水曜日に山香診療所へ定期診察に行きます。
山間部のご高齢者の方々は驚くほど足腰がしっかりしており、とてもお元気な方が多い印象。
診療所では患者さんのお話を聞いたり、バイタル測定や採血等を行ったりしました☆

浦川診療所には、隔週火曜日に定期診療に伺っています。
患者様は15名程度おり、山香診療所より多いそうです。(多い日には30名ほど診療に見えることもあるとか・・)
浦川診療所では患者様の殆どが車もしくはコミュニティバスを利用しており、
この違いは各診療所がカバーしている生活圏の広さが異なるためなのだと感じたそう。

巡回診療 ~吉沢しゃくなげ会~

無医地区の吉沢集落の中心部にある旧吉沢小学校校舎の教室で活動している「吉沢しゃくなげ会」☆
吉沢集落は佐久間町浦川地区にあり、JR飯田線の浦川駅からも8㎞ほど離れ、往診にも50分~1時間ほどかかる場所。
「吉沢しゃくなげ会」は“生活に密着した小地域単位で行われる住民による自主的な福祉活動”の一つで、その構成員は10人ほど。
会のメンバーの平均年齢は80歳代後半の方が多く、ご近所同士の相互扶助のつながりを集落の力で維持している地域です。

かなり山深い中にあっても吉沢での生活に満足している方々ばかり・・。
生協の移動販売があり、野菜は畑で各々栽培、水は沢からと井戸水で賄っているそう・・・。
また、このような定期的な巡回診療もあり不便は感じていないとのこと。

「吉沢しゃくなげ会」の活動は、全国で“限界集落”と言われる多くの地域からもその活動が注目されているところ。
小規模集落がずっと維持してきた地域社会のつながりの弱体化が懸念されつつも、行政になるべく頼らずに自分達の集落で人とのかかわり・つながりを現在も繋げているという点において、その存在意義は大きいと感じたそうです。

上記以外にも「社会福祉法人さくま さくまの里」での診療やディサービス(通所介護)の活動に参加し、利用者の方々と約70年前の佐久間ダム建設時の佐久間の賑わいについて色々と話を伺うことができました。

「佐久間病院」での地域医療研修を通じて、小規模集落の住民同士がお互いに支え合い地域のコミュニティを自ら創出し維持している生活を目の当たりにし、住民の生活や背景にたった診療とは何か、生活者に密着した視点を持つことができたと感じた貴重な1ヶ月でした。
佐久間病院の先生方はじめ佐久間町の皆さん、本当にありがとうございました。