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聖隷三方原病院は、地域医療支援病院として、質の高い地域完結型医療を目指しています。
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「冠動脈インターベンションとクリティカルパスの日々」 なるみやハートクリニック 宮澤総介氏

なつかしい聖隷三方原病院の思い出   ~冠動脈インターベンションとクリティカルパスの日々~
                                       なるみやハートクリニック 宮澤総介   

 聖隷三方原病院に在籍したのはわずか9年間であった。この間、様々なことを見たが、なかでも記憶に残る3つのことを書いてみたい。それは、聖隷の職員のことであり、冠動脈インターベンションのことであり、そしてクリティカルパスのことである。  

 聖隷の骨格に相当する要素は、医師以外の職員という人材であると感じる。これらの人々は、きわめて勤勉であり、努力家であり、それと同時に真のやさしさを兼ね備えていて、人間を扱う医療の最前線で働くに最もふさわしい人間性を持っている。この特異な性質がどのようにして育まれてきたのかは知らないが、私はそのすばらしい特質に接したとき強いカルチャーショックを覚えた。特に、循環器科のベッドがあった6病棟の看護師たちには思い出深い経験をさせてもらった。かれらとは患者の治療方針をめぐって対立することがしばしばあった。無駄かもしれない侵襲的治療を強行しようとする私の前に立ちはだかり、「それが患者さんのためになるんですか?」ときびしい口調で攻撃した。 一方、新しい治療に挑み、結果として患者を救うことができたときには、かれらは私とともに喜び、達成感を共有することができた。看護師がこれほど医師との間に意思疎通をはかろうとする病院は経験したことはなく、これが私を最も驚かせた。  それに引き換え、聖隷の医師は流れ者の集団であった。理念を共有するなど、夢のまた夢。思えば私も、自己の技術向上と学会や論文での業績に拘り、無私の精神で臨床ひとすじという生活ではなかった。この特色こそが、聖隷三方原の強みであり、同時に弱みである。  

 それでも、私にとって誇りに思う1つの仕事ができたことも事実であった。それは聖隷三方原病院に冠動脈インターベンションを定着させたことである。大学病院での心臓カテーテル4000例の経験をもとに、持てる技術を完全に還元した。昼も夜も急性冠症候群の患者さんが来るたびにアンギオ室へ行き、治療を行った。それは毎回のように真剣勝負であり、私の心臓がどうかなってしまうのではないかと思えるほどであったが、香坂先生と成味先生の絶大なる支援と、救急室、アンギオ室の職員や放射線技師、臨床検査技師たちの協力に支えられてなんとか乗り越えることができた。冠動脈インターベンションは医師の哲学を基礎として行われる芸術と言うことができるものである。自分の技術が患者の安全に直結するシビアな側面を有している。老眼が進んで集中力が持続しなくなった49歳のころ最前線を降りることになったが、それまでの9年間に行ったカテーテル治療は私の循環器内科医としての集大成であった。  

 ある日、新居院長に呼ばれて行くと、「critical pathway」という本を渡された。これについてどう思うかを聞かれたが即座には答えることができなかった。その後、この本を読んだ私は、この種の管理は医療には必要だと思えた。それが私とクリティカルパスとの最初の出会いであった。クリティカルパスそのものはすぐに作成することができたが、どのように使えばいいのかという点について路頭に迷った。とにかく実際に使い、どんな可能性があるのかをC3病棟の職員たちと毎日のように話し合った。まるでクリティカルパスという病におかされ全員が感染し、発熱したような状態であった。クリティカルパスが理想とする経過を示す仮説に過ぎないということと、目標とするアウトカムをチームで共有することが重要だと気づくまでにはしばらくの時間を要したが、その後はとんとん拍子で進化し、パス研究会も立ち上げて、病院のソフトウェアを大きく変貌させることができた。今では私と同じ開業医になった新居前院長と、「あれはすごいことだった」とふたりで昔を懐かしんでいる。  

 紹介患者さんを快く受け入れてくれる聖隷三方原病院には大いに感謝しているが、病院といえども地域医療においては単なる1つの要素に過ぎない。内部にいる人にはなかなか見えない現実であることは経験上よくわかるが、浜松市北部の実際にお付き合いのある近隣施設との関係こそが将来の聖隷三方原病院の運命を左右することは間違いない。わが国をリードしていく、地域連携のモデル地区となるくらいの気概を持って、地域というチームメートとのコミュニケーションを推進していただくよう切に希望している。


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