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2021年度

3月

「人とのつながり」                        

 園庭の河津桜が一輪、また一輪と開花し始めました。先日の降園時、3歳児のA君親子が、それを見つけ、上を見上げて指さすその光景はなんとも微笑ましいものでした。静岡県のまん延防止等重点措置適用期間が延長され、市内の感染者数は未だ400人前後と横ばいです。保護者の皆様には、感染予防のための家庭保育の協力依頼にご対応いただき、また、園の感染対策にもご理解いただきまして、感謝申し上げます。子どもたちにとって、そして私たち大人にとっても早く〈安心〉を取り戻したいと願わずにいられません。
 先日、4,5歳児の1部屋が、遠州教会石井牧師とのリモートでの礼拝の機会をいただきました。感染拡大第6波への対策をすべく、園では、年明けより今もなお、幼児クラスの合同礼拝を見合わせています。ひかりの子のホールの広さに対して、4,5歳児約80名が一同に会することは、感染拡大のリスクが高まるとの見解からです。その為、毎回1週間の始まりの礼拝は、各部屋でまもり、担任が話をしたり、時に時間差をつけて私が話をしたりとしています。4部屋ある4,5歳児クラスを牧師に回って繰り返し話をしていただくことは、どうしても遠慮してしまい、1月に続いて2月も牧師礼拝(幼児クラス合同礼拝)はお断りするしかないと考えていた矢先、名案が浮かびました。教会での日曜礼拝を日頃からライブ配信されている石井牧師なら、何か良い方法をご助言くださるかもしれないと。合同礼拝を前に、それが行えない旨を牧師に伝え、早速相談をしてみました。するとその2日後、ズームの招待メールが送られてきたのです。始まりの時間を約束すると、保育室にスクリーンを出し、準備をしました。何が始まるのだろう?と不思議そうな子どもたち。目の前に石井牧師が現れると、嬉しそうに手を振ったり、画面に映る自分の姿を面白がったりと室内は賑やかな雰囲気になりました。そんなひとときを楽しんだのちの礼拝。スクリーン越しで共に讃美歌を歌い、お話を聞き、いつもと変わらぬ流れで進めました。もちろん、その場に牧師がいてくださり、共に讃美し祈る、それに勝るものはありませんが、それでも、これまでの子どもたち(こども園)と牧師(教会)とのつながりが基となり、今与えられた状況下でこんな経験ができるのは、大変ありがたいことでした。
 この他にも、2月は「人とのつながり」を喜ばしく思う出来事が続きました。地域の幼稚園児に毎年、ひかりの子の紙芝居を読み聞かせしていると、紙芝居を借りにいらした民生委員の方。ご自宅の庭からとってきたと、水仙と沈丁花をくださり、早速玄関に飾ると、春の訪れが感じられ、行き来する人たちの心を和ませてくれました。裏面が白い広告を持ってきてくださったのは、卒園児のご祖父様。子どもたちのお絵描きにと、サイズを綺麗に揃え、丁寧にまとめられたその広告紙の束から、園への思いが感じられ、感謝の念に堪えませんでした。
 新型コロナウイルスの影響もあり、人とのつながりが希薄化しつつある昨今。今までのような関わりを持てずに、もどかしさを感じることも多々ありますが、そうした中でも方法を見出しながら、子どもたち(こども園)と人、地域とのつながりを今後も大切にしていきたいと思います。

園長 森下美由紀

2月

「お願い」                             
 
 1年で最も寒さの厳しい季節となりました。大人は特に、外に出ることに億劫になりがちですが、そんな気持ちを抑えて園庭に出たある日、河津桜の蕾が膨らんでいるのに気がつきました。少しずつ、春が近づいていますね。
先日は、感染症に関する登園自粛にご協力いただきまして、ありがとうございました。自粛協力のご家庭が大変多く、感染対策に家庭と園とが思いを1つにして、とにかく園内での感染拡大をなんとか抑え込もうと、共に歩んでいることが実感できた期間でした。もちろん保護者の皆様のご家庭、またはお仕事の状況も様々ですので、自粛したくてもできないご家庭もおありだったことでしょう。感染対策=登園自粛ということでは決してありませんが、それでも、各ご家庭がその時にできる対策をとってくださったことが感じられ、改めて感謝の念をお伝えしたいと思いました。急な園の対応にもかかわらず、保護者の皆様より、温かなお言葉もたくさん頂戴しました。本当にありがとうございました。
この期間を通して、私がふと思い出した出来事(職員の一言)があります。私がひかりの子に来て間もない今年度の五月、親子遠足のお知らせを作成した時のこと。完成間近のそのお便りを見て、とある職員がこう言いました。「〈感染対策のためのお願い〉って、これは、私たち園が保護者の方に〈お願い〉することではないですよね?」と。職員の思いとしては、感染対策は園が一方的にお願いするものではなく、園と共に各ご家庭が必要性を感じて対応するものと考えたい。だから「お願い」ではなく「確認」などという記載はどうか?ということでした。例えば〈お願い〉の中に記載していた、マスク着用。園からお願いされているから着用するのではなく、お子さんを感染症から守りたいから着用する。それはつまり、同じ目的に向かって共に歩むということです。その話を聞いて、私は子どもの育ちを一緒に支える者同士の、正に理想的な関係性だと思ったのです。とは言え、日頃から園のお願いというのは多いものです。今回の登園自粛も、「お願い」でしたので、園から言われて仕方なく…という方もいらしたかもしれませんが、でもそこには、マスク着用と同様、「園からのお願いだから」というより「感染のリスクから我が子を守りたいから」という思いがあるように、私には感じられました。今後も園からの「お願い」は、保護者の皆様にも、わかりやすく納得していただける内容でお伝えすることで、同じ目的に向かって、保護者の皆様と共に、お子様の育ちを支える園でありたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
最後にこれは、子どもとの関係に於いても言えることではないでしょうか。大人の一方的な「お願い」は、子どもは反発するか、仕方なくやるかでしょう。そこに子どもが納得できる理由が加わると、子どもの気持ちはぐんと変わります。十一月の育児講演会で今井先生が仰っていた「同意形成」につながってゆく部分もあるのではないでしょうか。親が知らずにやっているマルトリートメント(不適切な養育)として挙げられる命令口調。「命令口調を“一緒に決めていく同意形成”に変えていきましょう」と今井先生は言われました。「こうしなさい」ではなく、「どうしようか?」「どうしてそれをしようと思うの?」そんな風に同意形成ができるのは四歳ぐらいからとも加えて仰られましたが、年齢に関係なく、本人が納得できるための説明を加えての「お願い」を、子どもに対しても大切にしたいものです。

園長 森下 美由紀

1月

「かみさまからのおくりもの」                          

 新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。感染症への不安が尽きない毎日の中で、苦しさやもどかしさが募りますが、いつの時も変わらない子どもたちの元気さと、明るい笑い声に私たち大人も前を向かせてもらっているような気がします。第6波感染拡大が不安視される新年のスタートとなりましたが、今年も保護者の皆様と共に、子どもたちの健やかな成長を願い、支えていくことができたらと思っています。
 さて12月には、ひかりの子が基盤とする日々のキリスト教保育の中で、保護者の皆様とクリスマスのお祝いができましたことに感謝いたします。祝会当日を共有できました4,5歳児クラスに比べると、3歳児以下のクラスの保護者の皆様とは「共に」ということがなかなか難しかったかも知れませんが、送迎時に親子でクリスマスツリーやまぶねをご覧いただいたり、お子さんが可愛らしく讃美歌を口ずさんでいる声を耳にされたりと、少しでも「クリスマスの喜び」を感じていただけましたなら幸いです。11月末からのアドベントの期間を、それぞれの年齢に合った方法で過ごして来て、4,5歳児クラスは祝会(18日)に、その他のクラスはその翌週にクランツの4本のろうそく全てに火を灯し、お祝いの時をもちました。どのクラスに於いても、4本全てに火が灯った時の「わぁ!」という感激の声や雰囲気。静かな中にも大きな「喜び」を私も子どもたちと共有することができました。
 3歳児クラスでの礼拝では、絵本『かみさまからのおくりもの』(ひぐちみちこ作/こぐま社)を子どもたちと楽しみました。(2歳児クラスでも担任が、紙芝居やペープサートにしてお話しました。)「あかちゃんが うまれるとき かみさまは ひとりひとりのあかちゃんに おくりものを くださいます。」こんな書き出しで始まるこの絵本。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ストーリーを簡単にお伝えします。《病院に5人の赤ちゃんが産まれました。「この赤ちゃんにはこの贈り物が良い。届けておくれ。」神様に託された天使が、贈り物を届けます。ほっぺの赤い赤ちゃんへは、「よく笑う」、大きい赤ちゃんへは「力持ち」、泣いている赤ちゃんには「歌が好き」でした。》以前から私はこの絵本が好きで、園でもよく読んでいましたが、自分自身が出産や子育てを経験させてもらうことで、(本当にその通りだなぁ。)と実感してからというもの、より一層この絵本を気に入っています。子どもの姿は、もちろん生育環境に左右されるものも多くあるでしょう。でもそれに関わらず、神様からいただいたもの、絵本を解釈して簡単に言ってしまえば〈個性〉は一人ひとり違う…と、我が娘を見ていても思うのです。保護者の皆様が神様からいただいた贈り物は何ですか?お子さんへの贈り物は何でしょう?神様からイエス様という贈り物をいただいたこのクリスマスの時、身近な人の〈かみさまからのおくりもの〉に思いを巡らすことにまた、幸せを感じられるのは私だけではないはずです。
 ちなみに、3歳児クラスの子どもたちにも聞きました。「みんなは神様からどんな贈り物をもらったかな?」当日が24日であったことや、私が絵本からの引用で、プレゼントを見せながら話したこともあってか、聞こえてきたのは、サンタさんからもらいたいプレゼントの中身でした。そんな素直な思いも受け止めつつ、これからも日々の保育・教育の中で、「1人ひとり素敵な贈り物をいただいている」そんな感謝や喜びを、どの年齢のお子さんとも共有しながら過ごしていきたいと思っています。

園長 森下美由紀

12月

「クリスマスを 保護者の皆様と共に」

園庭のアメリカフウが綺麗な色に染まり、〝ひかりの子の秋〟を楽しませてくれましたが、今ではすっかり葉を落とし、新しい季節の訪れを知らせてくれています。新しい季節の訪れと言いましても、暦の上では立冬はすでに過ぎています。今年の秋は昨年同様とても暖かで、日中は汗ばむ日もあるほど。実感の湧かない方もおありかもしれませんが、今日から12月です。12月初旬ぐらいから寒さが厳しくなると言われていますので、子どもも大人も体調管理に気を配りながら過ごしていきたいですね。
 さて先日の収穫感謝祭には、ご家庭にある果物や野菜をお持ちくださりありがとうございました。いただきました果物や野菜を囲んで、クラス毎に礼拝をし、たくさんの実り・神様からの恵みを感じる時をもつことができました。0歳児クラスの礼拝では、籠いっぱいの果物に手を伸ばし、りんごを手にすると思わず口に持っていくAちゃん。手元にあるみかんを抱えながら、「もっとちょうだい!」と言わんばかりに保育者に催促するBくん。そんな純粋な姿からも「恵みの喜び」が充分に感じられました。幼児クラスの子どもたちは、感染症対策として、昨年度から花の日と収穫感謝の地域訪問を、控えていましたが、ここ最近の地域の感染状況を見ながら、方法をこれまでと変えて、今年度は訪問も経験することができました。近くのインマヌエル教会では牧師夫妻が玄関外に出てきてくださったり、少人数で伺ったあんこやさんは、「中に入っていいよ」と店の中に少しだけ入れてくださったり。これまで感謝祭の折に訪問先(収穫物やカードを渡すお相手)として挙がっていなかった、リトミック講師や給食室職員にもと子どもたちから聞かれ、感謝祭当日でなくても、可能なタイミングで日頃の感謝を伝える機会を持つことができました。国内にて新型コロナの新たな変異株が確認され、油断できない状況になってきましたが、今後も感染症対策を第一に、その中でできることを考えていきたいと思います。
 収穫感謝祭を終え、園内はクリスマスを迎える準備が少しずつ進んでいます。クリスマスツリーにも今後少しずつ飾りが増えていきますので、保護者の皆様も是非お楽しみください。アドベントクランツは1本目のろうそくに火が灯りました。これから、クリスマスまでの期間、1週ずつろうそくの灯りを増やして礼拝を守ります。アドベントカレンダーも、入室制限をしております園内では見にくいかもしれませんが、各保育室に飾られています。それぞれのクラスの担任が、現状の中でもできるだけ保護者の皆様の目にも触れ、共にクリスマスを待つ喜びを味わっていただきたいと飾り方を考えました。一方で、日々の生活の中で1枚ずつめくったり増やしたりし、「あと少し!」とクラスの友達と喜びを分かち合いますので、子どもたちにとって身近な保育室内に飾っています。
 クリスマスは神様が、独り子イエス様を私たちのために与えてくださったことに感謝し、主イエスキリストの降誕を
喜び祝います。世界中の人々が12月25日をクリスマスとして祝いますが、キリスト教の教会や園では毎年、感謝と喜びの日として、クリスマスを待ちながら祈り準備をしていきます。子どもたちの発達段階に合わせた、それぞれの方法で、「感謝」や「喜び」を園内だけでなく、保護者の皆様とも共有して、クリスマスまでの期間(アドベント)を過ごしていきたいと思います。

園長 森下美由紀

11月

「子どものあそび」

朝晩の冷え込みが厳しくなってきた一方で、日中はさわやかな秋の気候に誘われて、園外へ散歩に出掛けるクラスも多くなってきました。秋の自然をお土産に持ち帰ったり、春とは違う逞しい足取りが感じられたり、この季節ならではの子どもたちの姿が見られ、嬉しく思います。
 さて、以前まで毎年10月に行われていました〈あそびのひろば〉は、感染症の流行状況から昨年度に引き続き形を変え、今年は〈あそびのお知らせ期間〉として四週間を設定して、保護者の皆様に日頃の教育・保育をお知らせしてきました。いかがでしたでしょうか。
例えば1歳児クラスでは、日頃の運動的なあそび(歩く・のぼる・くぐる・跳ねる)に着目し、子どもたちの様子・発達を発信しました。ひかりの子の園庭に〝毎日変わらずそこにあるもの〟を介するだけでも、子どもたちの発達は促されていきます。築山(ホール東側)の階段で、子どもたちは繰り返し「のぼる」を経験しました。はじめは手も地面に着いて四つん這いで、それが少しずつ自分でバランスを保ちながら立った状態で昇るようになります。一度できると自信がついて、また繰り返します。園庭真ん中の楠の周りでは、大人や年長児に手を繋いでもらって丸太の上を歩く子どもたち。進行方向とは90度身体の向きを変えて足を横に動かしていくカニ歩きのような足運びから、経験の度合いや発達段階によっては次第に、身体を進行方向に向け進みます。進み方も、先ずは右足を前に出すとその後ろに左足、また右足を出して…というところから、右足を出すと、その右足の前に左足、そしてその前に右足というように変わっていくのです。お子さん一人ひとりにとって、その経験の時期は違いますが、私たち保育者は、その一つ一つの段階を大切にしたいと考えます。また、園での集団生活では、友達の様子に刺激を受けて(やってみたい)という気持ちが芽生えることも少なくありません。そのような機会も大事にしたいものです。
加えて、ご家庭ではどうでしょう?自宅の中や、ご近所にも〝いつも変わらずある〟子どもにとっては絶好の遊び道具になったり、成長発達のきっかけになったりするものがあるかもしれません。小さな月齢のお子さんであれば、ちょっとした段差も、一つずつが運動になります。大きなお子さんは、道路の側溝の蓋の上を両足跳びで進んでいくのも楽しそうですね。とは言えども、後述の道路は、安全確保のできるところでなければいけません。よくありそうな、リビングのソファの上をピョンピョンと跳ねる。これも、保護者の皆様の許容範囲や、生活環境(例えば階下の人が他人の場合など)によって違うでしょうから、全てを大切な遊びと捉えて大事にするという訳ではありません。園の庭は、子どもの成長発達を考慮して構成していますから、〝いつも変わらずある〟と言っても少し意味合いは変わってきますが、それでも皆さんの身の周りにある環境もご活用ください。子どもは、大人が思いもしないようなものを遊びの道具や材料にして遊ぶこともありますね。その様子を見守ることが私は大好きです。
子どものあそび、そしてその中での発達。今後も大切に捉えて保護者の皆様と共有し、お子様の成長を共に喜び合うことができましたらと思います。ご家庭での様子もぜひお聞かせください。

園長 森下美由紀

10月

「育児講演会を前に」                          

 「ねぇママ、糸はどうやってできている?」テーブルの上に置かれた刺繍糸を見て、3歳児の我が家の娘が私に尋ねました。「どうやってできていると思う?」聞き返すと、「じゃあ携帯で調べてみよっか!」と娘。
 皆様のご家庭では、お子さんたちが、また保護者の皆様が、どのようにメディアと関わっていらっしゃいますか?インターネットやテレビ、そして前述のスマートフォンもそれに含まれます。加速する情報化社会にコロナ禍も拍車を掛け、より一層、私たちにとって身近なものとなり、無くてはならないものになっているのではないでしょうか。メディアの活用については否定する訳ではなく、私たちの生活が便利になったり充実したりと、良い作用をもたらしている点も大いにあります。とは言うものの、自分自身が程よいメディアとのかかわり方をしてきただろうか?娘の提案を聞いて、自問自答させられる出来事でした。
私たちが幼い頃、娘のような疑問を抱いたとしたら、どのように解決をしていったでしょうか?人に尋ねたり、本で調べたりするのではないでしょうか。その中で人との関わり方に気付いたり、調べ方を覚えたり、また、それだけの苦労を重ねて知ることができたことに達成感もひとしおだったことでしょう。先日、二歳児クラスの水道を借りに保育室に入った時のこと、私が水道に行くと何人かの子が集まってきました。そして水道の蛇口をひねると、まずAくんが私にハンドソープのポンプを差し出してくれました。手に石鹸をつけ水を流し終えると今度はBくんがペーパータオルをくれます。幼いながらに、他人の手洗いの手順を見通し、人のために何かしようと行動を起こすその気持ちに感心しました。メディアからの一方向の働きかけではなく、このような人と人とのコミュニケーションの中でこそ、子どもたちの健やかな成長発達はより促されるのだと思います。
さてこの度、11月の育児講演会に、浜松学院大学短期大学部学部長の今井昌彦教授をお招きし、ご講演いただけることになりました。昨年度計画していたものですが、感染症の感染拡大防止のために止む無く中止をした講演会です。演題タイトルを『メディアと子ども~親として知っておくべきこと~』と伺っています。実は私も三年程前に、保育者向けのものでしたが、今井先生の講演を聴く機会をいただきました。当時娘がちょうど一歳になった頃で、職場の研修として参加したものの、聴いているとすっかり母親の立場になっていたことは否めず、先生のお話に感銘を受けたことをよく記憶しています。「ヒトの脳の完成において、乳幼児期がいかに重要な時期か。そのためにメディアとはどうかかわるか。子どもと日々、どう関わったら良いか。」考えさせられました。是非、当日を楽しみにご参加ください。
最後に、長く感じられた新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言が本日より解除されます。九月も、大きな事態に至ることなく過ごすことができましたこと、保護者の皆様のご協力に感謝申し上げます。しかしながら静岡県の警戒レベルは9月24日に警戒レベル5に下げられたばかりであり、本日から「4」にはなりますが、県は【感染拡大のリバウンドの抑止と社会経済活動を緩やかに再開するための「そろりスタート期間」】としています。子どもに対しても感染力が非常に強い変異株が、変わらずまん延していることからも、園内の対応はこれまでと同様とし、皆様と一緒に対策に努めてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

園長 森下 美由紀

9月

「お弁当の日を前に」                             

 とんぼが空を舞い始め、日の長さも少しずつ短くなってきました。賑やかな声が響き渡った水遊びも、終わりにさしかかり、今日から9月です。月に1回の「お弁当の日」も始まります。さて、このお弁当の日、保護者の皆様はどんな風に迎えられますか?ひかりの子のお弁当の日は昭和64年の園だよりにも毎月、行事予定として記載されています。以前は年間通して毎月1回だったようですが、進級して間もない時期や、弁当の傷みやすい時期は避け、近年は1年間の後半から実施するようになったと聞いています。そして、2年前の育児講演会は、まだ記憶にある保護者の方々もいらっしゃるかもしれませんが、園でずっと続いてきたこのお弁当の日の目的やねらいを家庭と園とで共に考えようと、講師に竹下和男先生をお招きして実施されました。残念ながら私は当時、ひかりの子の職員ではなく、講演会に参加することは出来ませんでしたので、9月からのお弁当の日を前に今回、著書を読んでみました。竹下先生は、香川県の元小・中学校の校長先生で、2001年より小学校にて「弁当の日」をスタートされました。弁当の日とは・・・〈子どもが自分でお弁当を作って学校に持ってくるという取り組みです。何を作るかを決めることも、買い出しも、調理も、弁当箱に詰めるのも、片付けも、子どもがします。親も先生も、その出来具合を批判も評価もしないという約束です。〉竹下先生がその取り組みを始められたねらい(目標)、それは、明確な部分では「子どもが弁当を作れるようになること」というものでした。しかしそこに向かう過程で、様々なねらいがこの弁当の日には組み込まれています。弁当の日があることで、親子のふれあいの時間「一家団欒」が生まれる。その中で、感謝の気持ちで食事をおいしくいただくことが、子どもの成長に最も大切。というのが、竹下先生のお考えです。
 4月のある月曜日、土曜日の代休で小学校が1日休みとなり、2人の小学2年生を学童保育でお預かりしました。ふたりとも、ひかりの子の卒園児です。午前中を過ごした2人が、いつものお昼より少し早い時間に「お腹が空いたから、そろそろお昼にしようかな。」と並んでお弁当を食べ始めました。Aさんが弁当を食べながら、「これ、昨日の夜ごはんにお母さんと一緒に作ったハンバーグ!お弁当用にこのサイズにしたの。」とBさんに話します。よく聞くとAさんは、その日がお弁当持ちであることを考え、前日の夕飯のメニューをお母さんと相談し、ハンバーグに決めたようでした。先を見通し予定立て、主体的にそこに関わろうとするAさんの家庭での様子が目に浮かび、感心していた私に、近くにいた職員が言ったのは、お弁当の日を経験してきたからこそかもしれない。ということでした。
 私自身、我が子をこども園に預ける母でもありますので、「どんな風に迎えますか?」と問われたら正直、平日の朝に用意することへの負担もどこかでは感じます。とは言え、こんな小学生の姿を目のあたりにすると、前向きに迎えられるような気もしてはこないでしょうか。先日、こども園では食べると聞くピーマンやナスを、家では滅多に食べない娘と、夕飯のおかずを1品一緒に作りました。「私がやる!」と計量スプーンを取り出す娘に、ミニボウルの中へ砂糖、醤油、味醂・・・と調味料を全て入れてもらい、それを加えて完成。久しぶりに家でも苦手な食材を口にしました。園の4、5歳児クラスでは、おやつがおにぎりの日は、自分の分は自分で握っておにぎりを作っています。また、スマートフォンでは見比べは難しいかと思いますので、図書館でお弁当の本を借りてきて、「今度のお弁当、どんなお弁当がいい?」親子で相談するのもいいかもしれません。忙しい日々をお過ごしのことと思いますが、その中で少しでも園のお弁当の日が「一家団欒」の一助となればと願います。

園長 森下 美由紀

8月

「〝今〟を生きる子どもたち 」                          
 
 7月下旬、1年越しの東京オリンピックが開幕しました。コロナ禍での開催については是非が問われ、多角的に捉えると素直に喜べない側面もありますが、日々、子どもたちと関わり、教育・保育に携わる者としては、賛否は別として、この機会を最大限に活かしたいと考えるところです。例えばある子は、様々な競技があることに興味をもつでしょう。またある子は、世界にはたくさんの国や、人種があることにも目を向けるかもしれません。フェアプレーで競い、一位となることの喜びに気づく子がいるかもしれません。どれも子どもの育ちにとってプラスになるだろうと思われることばかりです。
 園では様々な遊びを、それぞれの年齢毎に年間通して計画しています。音楽に関わる遊びや、製作遊び、そして運動遊び等です。例えば四歳児クラスにじ組では、運動遊びの中でも担任は特に、体幹を鍛えられる遊びを意識しており、それを子どもたちがどうしたらより楽しく、また意欲をもってできるかを考えています。5月のある日、チーム対抗の「雑巾がけリレー」が開催されました。ホールにて、各チーム10名程の4チームが、雑巾をバトンにリレーをつなぎ、どのチームが速くゴールできるかを競うものです。レース終了後、保育者が結果発表をしました。最下位からの発表です。「4位、○○チーム!」「イエーイッ!」リレーのルールがやっとわかり始め、とにかく友達からもらった雑巾を手に、自分なりに必死に走り抜け、次の子に雑巾を渡した子どもたちは、その達成感と保育者が楽しめるようにと盛り上げる場の雰囲気に、最下位でも喜ぶ表現が、多くの子に見られました。そんなにじ組が、7月に入り、「にじリンピック」を開催。遊びはリレーだったり、鬼ごっこだったりと、以前から行うものばかりですが、いよいよ東京オリンピックが開催されるかな?ということで、保育者は「にじリンピック」と称して、子どもたちの意欲を盛り上げます。その日は園庭での「ケンケンリレー」でした。片足ケンケンでスタートし、コーンを回って戻ってきます。1レースが終了し、保育者がまた、最下位から結果発表をしました。「4位、○○チーム!」「・・・・・」以前とは違います。そして、2位の発表にて、2位ではない、もう1つのチームの中に喜びを表す子が数名。2位が発表された時点で、1位が確定することを理解し始めたのです。〝今、この時〟を生きる子どもたちにとって、こういう「遊びや経験を積み重ねての学び・気づき」を大切にしたいと思います。これからもしばらく「にじリンピック」が盛り上がるだろう四歳児の子どもたちは、これからどんな経験ができるでしょうか?楽しみです。
 話は変わり、なつまつりごっこでのこと。今年度も感染症対策をとり、平日の保育の中で行いました。4、5歳児はクラスでどんなお店を出したいか話し合い、友達と関わり合いながら、売るもの(かき氷やチョコバナナ、りんご飴に金魚すくいの金魚など)を製作して準備を進めます。はじめは売ることばかりに気が向いていた子どもたちが、毎日の遊びの積み重ねで、買いに行くことも考え始めました。「お金が必要だね。」「お財布も欲しいんじゃない?」「私は(クレジット)カードにする!」「じゃあ私はペイペイ!」子どもたちはそれらを作り始めました。〝今を生きる〟子どもたちの主体的な発想を受け入れ、遊びに組み込む一方で、実際のお金でのやりとりの経験(所持金で買えるかを考えたり、お釣りの計算をしたり)は、今後も出来ることを望みますし、子どもの育ちにとって必要だと私は考えます。保護者の皆様はどんな風に思われますか?

園長 森下 美由紀

7月

「食育」

 園庭に、プールが並び、本日よりいよいよ水遊びが始まります。この季節が嬉しい子もいれば、そうでない子もいるかもしれませんが、この時期ならではの〈たのしい〉〈おもしろい〉〈ワクワク〉をそれぞれのペースで、存分に感じてもらうことができたらと思います。
 さて、六月の絵本献立は六月二十五日の『パパカレー』(ぽるぷ出版/武田美穂作・絵)でした。絵本献立とは・・・聖隷のこども園保育園給食・栄養担当の職員が、毎月1冊、テーマとなる絵本を決め、それを献立に組み込んでいるものです。毎月、献立表の下にも紹介していますので、今後も楽しみにしていてください。ひかりの子でも給食担当職員が中心となり、六月の一ヶ月を過ごしてきました。「カレーライスのうた」を日頃から楽しんできた二歳児クラスは、「お鍋に材料を入れてグツグツ煮よう」との担任の誘いに、具材に糊をつけて、思わず「にんじ~ん♪たまねぎ~」と口ずさみながら貼りました。出来上がったものを満足そうに見た子どもたちは、「じゃあ、みんなのカレー、グツグツ煮とくからね!」との担任の一言に一層目を輝かせたようです。現実と想像の世界を行き来する経験を楽しんでいることがわかります。三歳児クラスでは、色画用紙をじゃがいもや玉ねぎ、肉などカレーの具材に見立てて、はさみでチョキン!切って鍋に入れました。パネルシアターや絵本でカレーにまつわる歌やお話を楽しんだクラスもあり、しばらく前から、折り紙に熱中している学童は、様々な食材を折り紙で作って給食室に貼ってくれ、それを見て乳児クラスの小さな子が楽しむ場面も見られました。
二〇〇五年に制定された食育の基本的な理念を示した法律「食育基本法」の前文には、次のように記されています。―子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。―制定されてから十五年が過ぎていますので、「食育」という言葉は保護者の皆さんも、どこかで一度は耳にしたことがあるかと思います。こども園では、管理栄養士が行う「食育講座」を、年長児クラスを対象に月一回計画しています。四月は三色食品群の役割とバランスよく摂ることの必要性をペープサートを交えて伝えました。また箸の持ち方の確認も行い、ゲーム感覚で箸の使い方に慣れるという活動も組み込まれました。このような、教育的要素のイメージが強いものが「食育」と捉えられがちかもしれませんが、前述の、園内での様々な「食」と子どもたちとの関わりも、こども園が行う「食育」です。現在、各クラスが進めている夏野菜の栽培もクッキングも、また、トウモロコシの皮むきも、子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくために、今後も共に、園全体で楽しんでいきたいと思います。最後に、六月の行事、お父さんと遊ぼうが中止となり、代わりにご家族で遊ぶヒントとなるものを園より配布しました。乳児/幼児と用意したものが違いますが、乳児のご家庭には、『家族ふれあい遊び~カレーライスを作ろう!~』と題し、身体をさすったりくすぐったりして楽しむふれあい遊びを提案しています。食を題材に遊ぶことだけでも、子どもの食への興味につながります。是非ご家庭でも「食育」をお楽しみください。(幼児のみのご家庭で、『家族ふれあい遊び』が必要な方は、事務所に用意がありますので、担任または事務所にお声がけください。)

園長 森下 美由紀

6月

「子どもの育ちを支える」
 
今年は例年にないほど、早い梅雨入りをしましたが、ここ数日は爽やかな青空が広がっています。新型コロナ対策として国が三回目の緊急事態宣言を出し、一ヶ月が経ちました。静岡県は、その対象都道府県ではないものの、浜松市内でも感染患者数が急増し、『感染拡大警戒宣言』が五月末に発令されています。発達著しい乳幼児期のお子さんの子育てをこのコロナ禍ですることは、これまで以上に気にかけるべきことが増えたり、もどかしさを覚えたりと安易ではなく、保護者の方自身も苦しさを感じる日々をお過ごしのことと思います。
さて、五月に予定していました、「乳児クラス連絡会」と「親子遠足」は、前述の状況と、静岡県の警戒レベルが5に引き上げられたことを踏まえ、職員間で検討を重ねました結果、中止と決定しました。(六月も左記予定表の通り、中止決定したものがあります。)五月開催の行事ということもあり、いずれも昨年度より感染対策を考えながら計画を進めてきましたので、私たちとしても大変残念であり、苦渋の決断でした。中止決定と共に話し合ったのは、今回の行事のねらいを他の方法でどう叶えるか?何を重要視すべきか?遠足については、子どもたちの期待が日々増していくのを感じていましたので、中止をどう説明するか?ということでした。子どもたちに中止を伝えたのは、保護者の方への手紙配布の日でした。後の担任の報告によれば、全体的には子どもたちは落ち込んでいるようには感じられなかったとのこと。大人が(あんなに楽しみにしている遠足の中止をどうやって伝えようか?)とあれやこれやと心配をしていたのをよそに、「遠足は行けなくなって残念だけど、別の楽しいことを、こども園で、みんなでしよう」との提案に喜びまで見せた子どもたちの姿は、私たち職員を元気づけてくれたのです。後日、クラス毎にリュックサックを背負って、遠足気分で散歩に出かけたり、予定献立のものを給食室でおにぎりにして、パックに詰めた〈お弁当〉を、シートを敷いて食べたりしました。三歳児のお弁当は室内にて。担任の呼びかけに、シートにすぐに集まって座り、とにかく待ち遠しくて仕方のない様子で、子どもたちのその雰囲気に職員は配膳を急かされるようでした。四歳児、五歳児は、今週と来週にかけて、部屋ごとにお弁当を楽しむ予定です。
とは言うものの、とある活動中に職員の話を受けて5歳児の男の子が発した、「コロナなんて嫌だ。」という本音も耳にしています。またある時には、トイレが混み合い、「密!」と友達に呼びかける子の姿に、子ども自身が考え、意識していることが伺え、感心しました。一方で、担任が環境を整え直したままごとコーナーに、「遊びたい!」との一心で、子どもが自然と密集してしまった場面には、子どもらしさも感じ、微笑ましく思いました。(密集したことについては、職員間で振り返りをしました。)
今後も保護者の皆様のご理解・ご協力と、私たちの保育・教育との両輪で、この状況下での子どもたちの育ちを支えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

園長 森下 美由紀

5月

「三角小屋」 
    
 新緑がまぶしい季節となりました。園周辺の土地勘が全くない私は、先日四、五歳児クラスの散歩に連れて行ってもらいました。「あともうちょっとで着くよ。」と得意げに案内してくれたり、「あれ、与進小だよ。」と教えてくれたりした子どもたちとの外出はとても気持ちが良いものでした。そして、道中の色鮮やかな野草の数々に感激しました。白いシロツメクサをはじめとし、水色のオオイヌノフグリ、オレンジ色のナガミヒナゲシ、黄色、ピンク…それが園舎前(東側)の道路に咲き乱れていたのです。田んぼの中でも比較的交通量が多く、安全面にも注意が必要な道路が多いひかりの子周辺ですが、身近の豊かな自然との関わりを、それぞれの発達段階に合わせた方法で楽しんでいきたいと感じたひと時でした。
 ところで皆さんは、園庭南側にある「三角小屋」をご存知ですか。三角小屋のてっぺんは大人の背丈と同じくらいのところに位置しますが、幼児クラスの子どもたちはそこによじ登って屋根にまたがったり、時にはかくれんぼや鬼ごっこの隠れ場になったり、またある時には乳児クラスの子が、こじんまりと座り込み、黙々と遊びこんだり、様々な光景が微笑ましく感じられる遊具です。その小屋が、保護者の方による手作りだと私が知ったのは、園庭に鯉のぼりが泳ぎ始めた、父ちゃん会での活動「鯉のぼり出し」の日でした。鯉のぼり出しの後、限られた区域の園内整備を終え、掃除用具庫を皆さんで囲んで何やら話し合い。聞けば、以前その用具庫を固定したのだけれど、具合はどうだろう?倒れてくることはないだろうか?とのこと。「これも父ちゃん会でしてくださったんですか。」と父ちゃん会の活動の幅広さに私が感心していると、続けて「三角小屋も俺らが作っただよ。」と教えてくださったのです。現在の園舎になって十三年になりますが、あの三角小屋の板は、旧園舎の床板を一枚一枚使用して作られたものだということも同時に知ることが出来ました。
 さてその数日後、小屋の板の一枚が朽ち果てた為、処置をしたいとの職員の申し出に、素人ながらにも一緒に行ってみることになり、電動ドライバーでその一枚を外してみると、本当に丁寧な造りであることが感じられました。ひかりの子の歴史が刻まれた旧園舎の床板を使い、園庭で遊ぶ子どものことを想い、造られたこの三角小屋には、本当に多くの方々の思いが込められていることがわかり、改めて感謝の念でいっぱいになりました。父ちゃん会のメンバーの中には、お子さんがすでにひかりの子を卒園しているご家庭もあるとのこと。それでもなお、園のことを、子どもたちのことを想い、活動を続けてくださっていることを大変ありがたく思います。これまでの歴史をしっかりと繋ぎ、今後も保護者の皆様に、地域の方々に、愛される園を目指して、職員一同まい進していく所存です。

園長 森下 美由紀
 

4月

「入園進級おめでとうございます」

 やわらかな春の陽射しの中、二〇二一年度がはじまりました。お子様のご入園、ご進級を心よりお喜び申し上げます。
私は、このたび鈴木勝子園長の後任として聖隷めぐみ保育園よりまいりました森下美由紀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今年度は、三十七名の新入園児をお迎えすることができました。これから、共に『ひかりの子として歩んでいく』仲間との出会いに感謝いたします。また、昨年度末には保護者の皆様のご協力をいただき、年度末研修会および新年度準備を滞りなく行うことができました。お忙しい時期に家庭保育のご協力ありがとうございました。
 これまで年度末には毎年、浜松磐田地区の聖隷こども園・保育園の職員が一堂に会して研修を行い、どの園にも共通する園目標を確認する機会となっていましたが、昨年度より、感染症予防対策のもと方法が検討され、今年度はリモート形式での研修を園にて受けさせていただきました。講師は井桁容子先生で、過去に東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学非常勤講師を務められ、現在は、非営利団体コドモノミカタ代表理事で、NHKEテレすくすく子育てにも出演されている方です。「子どもの心が育つ保育」と題してお話されたその講義は、〝これまで「できる」ことを目指してなされてきた日本の教育・保育に今、求められているのは、心を育てることであること、それは具体的にどのようなことであるのか?〟が示されるものでした。保育者として今まで保育に携わり、また、家庭では一児の母でもある私が感銘を受けたことの一つをご紹介いたします。それは、「花屋さんが花を輝かせるプロであるように、私たち大人とりわけ保育者は、一人ひとりの良いところを専門家として説明できる者でありたい。」とのお話でした。花は色も形も香りも様々。花屋さんは、それぞれの花の特性をよく理解し、それぞれに合った方法で長持ちさせ、輝かせることのできる職業です。隣の花が華やかに見えるかもしれませんが、それぞれに良さがあり、魅力があり、それはこちらの関わり方次第で、より輝かせることができるのです。ひかりの子の園目標の一つ、『一人ひとりの違いに気づき、お互いを認め合いながら、共に主体的に生活する。』は、まさにこのことだと、再確認ができました。
 今回の研修がまた一つ、職員一人ひとりにとって刺激となり、心新たに新年度を迎えております。微力ではありますが、職員一同、力を合わせ心を込めて大切なお子様と関わり、保護者の方々と共に一つひとつの「花」を輝かせて教育・保育をしてまいります。一年間よろしくお願いいたします。

園長 森下 美由紀