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ホーム  > 園長コラム  > 「子どもたちの“今”が未来を創る」

「子どもたちの“今”が未来を創る」

先日の講演、クラス懇談会にご参加を頂きありがとうございました。
私は長年、保育に関わる仕事を通して今の日本の子育て環境を考えた時、本当に「これでいいのかな?」と感じられることが最近多くあり、皆さんにも一緒に考えてもらえたらと思ったのがきっかけでした。
 講演会でもお話ししましたが、日本の少子化対策は1989年の「1.57(合計特殊出生率)ショック」が始まりでした。それから多くの施策が次々と打ち出されましたが、約30年後の現在も一向に改善するどころか、昨年2017年は1.43で、1.57より今までずっと増えることはありませんでした。
「なぜでしょうか?」 1.57ショックから少子化対策として『就労と子育ての両立支援』の名の下に数々の子育て支援なるものが保育園に求められました。「0歳児保育」「延長保育」「日祭日保育」「病児(後)保育」等々です。その時は企業には「子育て中の従業員」に対しての対策はなく、あったとしても「努力義務」として示されていたように思います。「これで少子化対策になるのかしら?」と思いながらも当時は、保育園として「子育て支援」を前面に取り組んできたことが思い出されます。
そして30年余り経った今の日本の子育て環境の現状を考えると、10年、20年後の未来が心配です
なぜならば、今でも経済(就労)優先で親の就労で長時間の保育はあっても子どもの都合では休めない、子どもの生活リズムは、大人の就労リズムに振り回されたりしているのを見ると、子どもにとってこれでいいのだろうかと保育現場では感じられるからです。
何年か前、我が家にホームスティしたオーストラリアの中高生が「日本では夕飯は父親不在の家庭が多い」と話すと信じられないといった表情を見せ、びっくりしていました。彼らの両親も共働きでも「夕食には当たり前のように帰宅し家族揃って食事をする」と話してくれました。「家族で食事ができないことが不思議」と「家族揃って食事をしないことは当たり前」とでは、私は根本的な『人が生きる』生き方の違いを見せつけられたように思います。
中東の難民キャンプで取材していた報道員がそこを訪れたマザーテレサに「この人たちの為に私たちができることは何か」と問うと「家に帰って家族と共に食事をしなさい」と答えられたという話を何かの本で読んだことがあります。
この言葉を報道員はどのように受け止めたかはわかりませんが、私は『人として生きる』ことの基本をマザーテレサはこの言葉に示されたように思います。
また、近年「幼児教育の経済学」(ジェームズヘックマン著)は『幼児期にきちんと保育教育をすることが、将来的に(子どもたちが大人になって生活する)社会経済の負担を少なくする。特に幼児教育においては認知能力を育てるよりも、非認知能力を育てることによって経済的にも、より効果的である』とあります。(ペリーの就学前プロジェクトの研究データーから)
未来はある日突然に訪れるのではありません。今の積み重ねが未来を創っていくことを改めてかみしめ、子どもたちを大切に育てていきたいものです。