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親子で味わう絵本の時間

園長  冨永 裕美
吹く風の心地良さ、聴こえてくる虫の音に秋の深まりを感じるようになりました。静岡県内に出されていた緊急事態宣言も解除となりほっとしています。しかし今後もリバウンドの心配もありますので、引き続き状況をよく見ていきながら園としてできる対策を続けていきたいと思います。保護者の皆様にもご協力をいただくことが多いですが、よろしくお願いいたします。また新型コロナウイルス感染症だけでなく、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもあり、他の感染症の流行も心配されます。生活リズムを整え、健康に過ごせるよう十分注意していきましょう。
さて、秋といえばスポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋、読書の秋などと言われますが、皆さんはどんな秋を思いうかべますか?私は体を動かすことと同じくらい、読書も好きです。最近は忙しさからかなかなかじっくりと本を読む機会が少なくなってきていますが、それでも記憶の中で思い出すのは自分自身が小さかった頃、親に読んでもらった絵本の思い出です。その中の1冊が今でもある「かばくん」という絵本。今見るととても素朴な絵本ですが“動物園に朝が来た。いちばん早起きだあれ。いちばんねぼすけだあれ”からはじまり、“きた、きた、きた、きた…靴下はいてる、スカートはいてる、半ズボンはいてる、下駄の子もいる”“かばより小さいかばの子。かばの子より小さいかめの子。かめより小さいものなんだ。あぶく”そんな言葉の繰り返しややりとりが面白くて、何度も何度も読んでもらったことが今でも思い出されます。また、皆さんと同じように、子育て真っ只中の時にはわが子に絵本を読んでいたことがとても懐かしいです。読み聞かせをしながら、自分の方が先にうとうとしてしまって子どもに顔をのぞき込まれてしまったことや、毎日毎日同じ本を読んで欲しがり繰り返して読んでいるうちに子どもも私もすっかりことばを覚えてしまったりと、忙しい中でもわが子との大切な時間だったように思います。今の世の中、子どもたちの周りには刺激的なものも数多くありますが、絵本を通した親子のふれあいの時間を是非作ってみてください。大好きなおうちの人に読んでもらったことはきっと子どもたちの心の土台となって残っていくことでしょう。先日福音館書店の元編集者であり、現在相談役の松居直さん(92)の文章を読む機会がありました。その中で松居氏は絵本の最も大切な役割は『共に居ること』だと語ります。『一緒に読むことで、同じ時間と空間の中で言葉の喜びを共有する。「作者の名前は覚えていなくても、誰に読んでもらったかは覚えている。読んだときの喜びや楽しみが大きいほど、子どものなかに生涯残り続ける」』『気持ちを込めて語られた言葉は、人間のものすごく深いところに伝わり、残り、ときを経て出てくる』『乳児に絵本を語りかけることは、子守歌と同じ「言葉の体験」になる』『絵本はおとなが子どもに読んであげる本であり、親と子の心を強く結びつける』と、子どもといっしょに絵本を楽しむときに大切にしていきたいことを、語りかけるようにしたためてありました。長い人生のなかで、子どもが心の底からたっぷり絵本を楽しめる時期は、それ程長くないのかも知れません。子どもはどんどん成長して、気づいたらあっという間に大きくなってしまう。だからこそ、幼い今この時を逃さずに、親子でたっぷり絵本を味わっていただきたいなと思います。
(松居直 「絵本は心のへその緒」・「言葉の消える時代に」より)
気持ちの良い気候になり、園では各クラスの子どもたちがお散歩に出かけたり、園庭で運動遊びを楽しんだりと戸外での遊びを楽しんでいます。まな広場や遊歩道では小さな草花や虫たちとの出会いもあります。子どもたちは、戸外で自然とたくさん関わったり、体を沢山動かしたりしながら、好きなことを見つけ夢中になって遊ぶ経験を繰り返しています。子どもが自らやってみたいと感じたり、好きなことを見つけ、集中して遊ぶ中で興味や関心は広がっていき、遊びを工夫しようと考える力が育ちます。子どもたちの遊びを充実させ、子どもの育ちをより豊かなものとしていけるよう関わっていきたいと思います。