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『共に育ち合う統合保育をめざして』

立春を迎える2月。園での感染症の流行はみられませんが、予防に心がけて下さいますようお願い致します。
 1月に行われた聖隷の保育学会の中で、『共に育ち合う統合保育をめざして』というテーマでこうのとり保育園は発表いたしました。その中で紹介したエピソードは、相手が嬉しそうにしている姿を見た子どもたちが、自分も相手を喜ばそうと関わり、ひいては、相手の喜びが自分の喜びとなり、心が通い合っていくという内容のものでした。
 障がいのあるないに関わらず一緒に生活することで、双方の育ちに影響を与え合います。ここに統合保育の意義があります。日常の何気ない関わりですが、そこに目をおいて気をおいて子どもの育ちを見ることが大切です。
さて、少し前ですが、二人のお子さん(兄と妹)がいらっしゃる保護者のAさんより手紙をいただきました。前回の懇談会で、妹のクラスの保護者のBさんそしてCさんから、子どもに障がいがあるということを聞いたことから、『素敵な出会いに感謝の気持ちでいっぱいです。我が子(兄)は同級生にNちゃんがいて、自分とは違うと少し思っているかもしれませんが、当たり前にNちゃんとお話する時は近づいたり、手を触ったりして「バイバーイ」とか「Nちゃんかわいいね」と声を掛けている姿に、こんなに優しい子になれたのだと感謝すると共に、小さい頃からNちゃんと出会えて、とても良い影響を与えてもらったなと思っていました。妹にもこんな素敵な出会いと学びの場を自然に与えてもらえるなんて、すごく嬉しく思っています。私なんか理解できない苦労や葛藤がたくさんあるかと思いますが、こんな風に思っているお母さんが居ること、機会があれば伝えていただけたら幸いです。』とこんな内容でした。Aさんは障がいのある子どもたちと一緒に生活することを“素敵な出会い”と捉えています。随分前ですが「障がいのあるお子さんを受け入れて、うちの子をちゃんと見てもらえるのでしょうか?」とそんな質問を受けたことがありました。丁寧にお応えし、統合保育を続けていく中で理解を得ました。統合保育は保護者の理解があってこそのものです。お手紙をいただき、私たちも統合保育の意義をあらためて考えることができました。
幼い頃から様々な子どもと関わることで、最初はどう関わっていいか戸惑う姿も見られますが、1年2年と生活を共にする中で、障がいに対しての理解が生まれ、思いやりの心を持ち、偏見を持たないようになるのです。そして、自然な形で受け入れられるようになっていきます。障がいのある子も家族以外の大人や子どもと接することで社会経験の機会が与えられ、成長を助長していきます。例えば、身体的な育ちがゆっくりでも、元気に動く子をまねたりする中で、身体的な機能の発達も自然に促されていきます。様々な専門機関と連携していく中で、職員は専門的知識も増し、子どもを見る目が養われ、小さな育ちも見逃さないといった専門性が培われていくのです。子どもは思ったまま感じたままを口にします。そこで否定せずに、子どもが分かるように話していきます。例えば、よだれが出てしまうことやコミュニケーションがとりにくい等の様々な状況の中で、子どもと「どうしてなのか」「どうしたら一緒にすごせるか」などを一緒に考えていくのです。一方で、私たち大人が子どもに教えられることもたくさんあります。子どもたちは保育者の姿を本当によく見ています。私たちは、園の保育理念を基盤とし、子どもの育ちを専門的な視点で捉え、これからも保育の質を高めていけるよう進んでいきたいと考えています。

園長 永島 弘美