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ホーム  > 園長コラム  > 家族から離れて友だちの中で育つ子どもたち

家族から離れて友だちの中で育つ子どもたち

夏まつりにたくさんのご家族の皆様に参加いただきまして、感謝申し上げます。父母の会会長をはじめとしまして、役員の皆様には、事前の準備からお手伝いいただき、当日も大盛況でした。ありがとうございました。
さて夜空を見上げると、たくさんの惑星をみつけることができます。西の空には木星が、南東方向には、土星と火星が美しく輝いています。土星と火星のそばで、さそり座も大きくその姿を現しています。7月の年長組のお泊り保育の夜もキャンプファイヤーの時、子どもたちと夜空を見上げ、星を探してみました。「おばあちゃんの家で“夏の大三角形”見たよ。」と教えてくれる子もいました。建物や街の灯りなどで遮られることがないので、大きな宇宙に抱かれているという心地良さを味わうことができました。この他にも、ならここの里の自然の中で、川遊びや山登りをしたり、食事も友だちと一緒に力を合わせて作り、思い出深い2日間となりました。
毎年のことですが、お泊り保育の夜、寝る前に、家族からの手紙を子どもたちは受け取ります。思いもかけないことで、照れている子、真剣に手紙のことばに聞き入る子、嬉しそうな笑顔の子と表情は様々でした。寝付く前にいただいた家族からの手紙を、それはそれは大切に枕元に置いて、眠りにつく子が多かったです。その中で、家族のことを想い、布団に入ってからも泣けてしまう子が何人かいました。友だちが「一緒に寝よう」と優しく誘っている姿も見られました。保育者は一人ひとりが眠りに就くまで、そばに付き添いました。手紙を読んでもらい家族から『愛されている』『大切にされている』ことをしっかりと感じ取り、家族への想いを新たにした子どもたちは、離れている寂しさや辛さを実感するのです。少し、可愛そうな気がしますが、日頃、家族で一緒に生活する中では、なかなか味わえない感情です。そして、家族から離れて、友だちと生活を共にすることで、友とのつながりは深まりを増し、園に帰ってきた時は、より強い結びつきの中で、あそびが展開されていくのです。ひとり一人の今後の成長に、益々、期待が高まります。
私事ですが、娘が第2子の出産で、里帰りをしていました。娘が入院している間の1週間は、上の子は私と夜は眠りました。母親と離れて眠ることはなかったので、心配もしていました。3歳の誕生日を6月に迎え、先の見通しも少しは持てているのか、私が「病院で赤ちゃんが産まれたから、ママはもう少し病院にいるの。その間は、ばあばとねんねしようね」と話すと「ママがよかったのに」と返しながらも自分を納得させている様子でした。母親を思い出しては「ママは」と口にすることも何度かありましたが、無事に1週間が過ぎていきました。保育園の一時保育も利用させていただいて、本当に助かりました。職員の皆様にも本当に感謝でした。ただ、母親が帰ってきても一人で独占することはできず、葛藤の日々が続いていましたので、可愛そうにも思っていました。そんなある日、私が迎えに行った日のこと、こんな光景を見たのです。帰りがけに、同じクラス(2歳児)の子どもたちが、集まって来て、孫のそばまで来ると、「またね」とタッチをしてくれたり、名前を憶えて呼んでくれたりする姿に、思わず涙ぐんでしまいました。まるで『大丈夫だよ。みんな友だちだよ』と言ってくれているようでした。クラスの子どもたちにも支えてもらっていることに気づき、感謝の気持ちでいっぱいでした。
人は愛されることで愛する心を宿す力を神様から与えられています。これが平和を創り出すための“重要なかぎ”となると思います。子どもたちは愛されることで、それを基盤として、家族から離れても友だちとのつながりを広げ、様々な葛藤を繰り返し乗り越えて、お互いを支え合い、生きていくようになるのだと実感した私でした。

園長 永島 弘美