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ホーム  > 園長コラム  > 子どものあそび「表出」の重要性

子どものあそび「表出」の重要性

夏本番。子どもたちにとっては、大好きな水遊びが楽しめる季節です。気温30℃になる日も多いようです。熱中症対策を十分に配慮して、楽しい夏を満喫しましょう。6月の花の日には、お花の持ち寄りをありがとうございました。日頃の感謝の気持ちを添えて、届けることができました。また、駐車場の花壇のアガパンサスも紫色の花を咲かせ、玄関に彩りを添えています。子どもたちが季節を感じられるようにお花や果物をお持ち下さる保護者の皆様にも感謝いたします。園の畑には、鈴木さんの力もお借りして、さつま芋そして、カボチャの苗も植えました。年長児はお泊り保育に持っていくスイカの苗も植えました。収穫が楽しみです。

 さて、この時期、雨上がりに水たまりを見つけて遊び出す子もいます。服は汚れるし、ちょっと迷惑な、大人の目から見ると評価されにくい子どもの遊びです。ボディペインティングも身体にペタペタとペインティングをして楽しむ解放感あふれる遊びですが、大人にとっては価値を見出しにくい遊びです。これらは、子どもの成長発達にどう影響を及ぼすのでしょうか?
『教育』という言葉が行き来する中で、一見、無意味なことではないかと思われがちですが、このような遊び(表出)の重要性について、元静岡県立大学教授の塩川寿平氏は、子どもの発達保障の視点と、人権保障の視点から以下のように語ります。
『「表出」は、大人に理解されにくく、常識的には迷惑ですが、しかしながら子どもの発達と人権思想による児童観の受容により①オンリーワンである②点数をつけられない③評価方法がない④恥ずかしくない⑤夢中である等から「かけがえのないあなた」「世界に一人しかいない尊いわが子」「ありのままの君がいい」、等の自己肯定感情を育てることができます。一方、大人の理解が得られやすい「表現」は、文字を教えて文章を書かせる、英語で表現させる、ブロックやレゴで家やお城や乗り物など形あるものを作る、徒競走を行う-中略-等々。建設的で道徳的で、汚れたりしない、評価される、認められる等々で、大人の評価が得られやすく、長所としては①能力主義の奨励②ナンバーワンをめざす③偏差値教育④順位を強調して励ます、等々の充実をめざす園が多いことも理解できます。しかしながら、欠点は①無理に成績をあげさせようとする②能力下位の子を切り捨てる③個性を認めない等、過度の競争は子どもたちを精神的・肉体的に抑圧し、その結果「無気力」「情緒障害」「引きこもり」「いじめ」等として社会問題になっています。』と。
一般社会では、「表現」は高い評価を受け、「表出」は低い評価を受けます。私たちは、ともすると、目に見えやすい成果を追いがちです。そうではなく、乳幼児期の成長発達においては、両者が偏ることなく、バランスよく行われるよう保育環境を整える必要があるのです。そして、何より、子どもが主体となることが一番の条件です。そして、子どもたちがお互いの違いを認め合いながら、行うことが重要です。乳幼児は日々、その時・その時に「表現と表出」の両方が必要なのです。大人になれば、そのバランスを取れるようになるのです。乳幼児期の子どもたちの育ちに欠かすことのできない「表出」を保育の中に取り込みながら、保育者もその子どもの想いに共感しながら、共に生活したいと考えています。幼いこの時期にしっかりと人生の礎となるものを備えられるように援助したいと考えています。
*先日、収穫した“インカルージュ”という名前の皮が赤色のジャガイモはアントシアニンが含まれていて、フライドポテトにすると
ジャガイモの甘みが一層、増します。ご自由にお持ちください。100円程度の献金にご協力をお願いします。

園長 永島 弘美