グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 自分を生きていく

自分を生きていく

寒い日が続いております。暖かい春が待ち遠しいですね。
インフルエンザも収束の方向に向いていますが、引き続き、手洗いうがいの励行をお願い致します。また、バザーへのご協力に心より感謝いたします。今回は縮小の形をとらせていただきました。丁寧に準備をして頂いた役員の皆様、ゲームコーナーの開催を中止とさせていただき、本当に申し訳なく思っています。どうぞお許しください。
さて、今月は1歳児クラスから入園し現在、5歳になった4歳児クラスのSくんのお話をさせていただきます。
入園した当初は、とても照れ屋のSくんでしたが、今では、自分の想いや考えをはっきりとことばにすることができています。ひとり歩行は難しく、四つん這いまたは座位の姿勢で移動をします。朝の身支度から始まって、椅子を運ぶ、食事をする、トイレもすべて自分でします。ご家族の対応は、いつも本人の気持ちを大切にしながらも自分でできることは見守る姿勢を保ちます。家庭と園とで専門機関と連携をしていく中で、三輪車が運動発達に有効ということで、Sくんに合った三輪車を用意し、それも移動の手段の一つになっています。
先日こんなことがありました。基本、Sくんの三輪車は遊びには使わないという約束になっています。ところが、2歳児のYくんが楽しそうに遊んでいました。「おーい、それは僕が使うのだよ。」と大きな声で呼び止めるSくん。そこに急いでやってきたのは、Yくんの姉のMさん。「ごめんねSくん。私の弟がどうしても乗りたくて。少しでいいの、貸してくれない?」とSくんに伝えると「わかった。」と快く応えていました。何とも微笑ましい光景でした。お母さまは、Sくんが様々な経験をして、たくましく育ってほしいという願いを常に持っています。大人になった時のことも考えて、先のことを意識して、今をどう考えて生きていくかをお子さんとも話しているようです。
私たちは保育をしていく中で、子どものことで、大人が関わる必要があることも数多くありますが、子どもが“考える”というところを大人が取り去ることのないようにしなければなりません。そんな中で“自分を生きていく”という経験が培われていくのです。子どもが何を経験しているかを見極める、周りの対応が重要になってきます。
最近、Sくんは、お母さまにこんなことを話したようです。「僕は青組(4歳児)になった時に、色々なことを黄組(5歳児)さんにやってもらったけど、僕が黄組になって、何をやってあげられるだろうか。」と。さらに「小学校に行くのに、僕はどうやって学校まで行こうか」など、自分のこれからの生活を見据え、しっかりと自分で考えています。自分自身で見通しを持つことも生きていくのに必要なことです。私は、Sくんの“生きる”ことへの前向きさと力強さに心を動かされることが本当に多いです。
園の理念に基づく、園目標の中に『ひとり一人の違いに気づき、お互いを認め合いながら共に主体的に生活する』があります。障がいがあるないに関わらず、まず、自分の個性を受け入れることが重要になります。その上で、“お互いを認め合いながら主体的に生活する”ことが生きる力の基になるのです。そのためには、日常的に、子ども同士で関わり合いながら、育ち合うことが必要不可欠です。友だちを通して自分自身を知ることにもつながります。幼少期に、人との比較ではなく子ども自身が『自分を生きていく』ことへの喜びと希望を持ち、夢を描いて、自分の人生を生きてほしいと心から望みます。

園長 永島 弘美