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ホーム  > 園長コラム  > 育ちに必要な手間をかけて ~西瓜の“ゆりかご”~

育ちに必要な手間をかけて
~西瓜の“ゆりかご”~

雨の日が多く、水遊びがほとんどできなかった7月でしたが、このところ暑い日が続き、水遊びを楽しむ事もでき、子どもたちと一緒に、夏の遊びを楽しんでいます。一方で、頭痛や吐き気の症状が見られる子どももいますので、熱中症などには十分な注意を払い、子どもたちの小さな変化を見逃さないよう、過ごしていきたいと思います。ご家庭でもお気づきの点がありましたら、職員にお知らせくださいますよう、よろしくお願いいたします。

7月には年長児がお泊り保育に出かけました。家族と離れて、友だちと協力し、助け合って、お泊り保育を無事に行うことができました。自然の中で、様々な経験をすることができ、本当に感謝です。鮎のつかみ取り体験やキャンプファイヤーそして川遊びや自然散策そのすべてを行うことができました。雨模様の中、心配されましたが、戸外で予定されていたキャンプファイヤーや自然散策などの活動時間に合わせてくれたかのように、その時間だけ雨があがったことは本当に驚きでした。

さて、北側の駐車場の端にある細長い畑をご存知でしょうか?
作物の育て方を教えてくださる鈴木正宏さんの指導の下、年長児と一緒に、こだま西瓜を育てたのですが、その育て方に興味がわきました。西瓜のつるを地面に這わせるのでは無く、棚を作り、上へ上へと巻き毛を巻きつけながら生長させていくのです。
苗が伸びていく初めのうちは、週に何回もその様子を見に来て下さった鈴木さん。伸びたつるを棚に向かわせるように手助けをしていました。でも決して、巻き毛を人工的に巻きつけさせたりはせず、「自分で巻きつきますから大丈夫」と教えてくれました。雄花と雌花を探して、受粉させるのも「ひとつだけは私が受粉させておきます。万が一、ひとつも実がならなかったら、子どもたちが可愛そうですからね。」「後は虫さんがやってくれますよ。」と優しい表情で話してくれました。
その後、実をつけ、ひとつふたつと増えていきました。そこで、なんと西瓜に“ゆりかご”を作ってやるのです。 “ゆりかご” は、橙色の編み編みの袋(玉ねぎ等を入れて売られているもの)で作り、棚に縛り付けておくのです。西瓜は安心して棚にぶら下がる“ゆりかご”に身をゆだねて大きくなります。その姿は本当に可愛らしく愛らしいものです。在園児の姉である小学3年生の子が興味深く毎日のように、その様子を見に来ていました。つるが枯れ、収穫したものは、給食のデザートとしていただきました。皮の部分が薄く(2ミリ程)甘くて美味しい西瓜でした。
作物の生長は、神様から与えられている自然の大きな恵みの働きなしでは考えられません。そこには世話をする者の、その生長を見極める確かなまなざしが必要です。鈴木さんの中にあるそのまなざしが、育ちに必要な手間をかけ、作物は豊かな生長を遂げるのです。鈴木さんが作物はもちろん子どもたちのこともいつも気にかけ、愛情を持って育ててくださる姿が心に残りました。駐車場ですので、注意をはらっていただかないと危険ですが、ぜひ、見にいらしてくださいね。
子どもを育てることもこれによく似ています。子どもの成長を愛情持って見守り、子ども自身が育とうとしている芽を大切に伸ばしつつ、子どもの育ちに必要な手間をかけていくことも忘れないようにしたいと西瓜の“ゆりかご”を見て思いました。

園長 永島弘美