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ホーム  > 園長コラム  > 『 幼児期、学童期に大切なこと 』

『 幼児期、学童期に大切なこと 』

厳しい寒さが続くこの頃。子どもたちは、ひんやりとした空気を肌で感じたり白い吐息を吐いたりと、小さい体で季節を感じながら過ごしています。空気が乾燥していて、この時季特有の感染症にも気を付けなければいけない季節が続きます。しっかりと予防対策をして乗り切りたいと思います。今年度も残り2ヶ月を切りました。これまで以上に1日1日を大切に、子どもたちと過ごしていきたいと思います。
年長児の保護者の皆様、就学前懇談会へのご参加ありがとうございました。グループに分かれて感染症対策を行いながらではありましたが、子どもたちの成長、日々の関わり、卒園まで大切にしていきたい事等を共有することが出来ました。そして就学に向けてのお話を磐田市立向笠小学校の安藤佐織教頭先生より伺うことができ、大変充実した時間となりました。「保護者の皆様はお子さんにどんな人になって欲しいと思われていますか?小学校卒業の頃、高校、大学…いえ、社会人(大人)になった時にどんな人になっていて欲しいですか?」という投げ掛けから始まりました。出生率の低下、34歳以下の死亡原因の1位は自殺であること等のお話から就学前、小学校の間大切にして欲しい事、お願いしたい事をお話して下さいました。それは何だと思われますか?2つ挙げられました。1つ目は「遊び」。もう一つは「対話」でした。非認知能力、自己肯定感、自己有能感のお話もして下さいました。21世紀型教育(学習指導要領改訂)は幼児期に大切にされてきた子どもに即した教育に準じて、子ども達の興味や関心を引き出しながら学習へと移行でき、新しい環境へと馴染みやすいことも先生のお話から伝わり、安心しました。
この頃「非認知能力」という言葉をよく聞きますが、ご存知でしょうか?読み書き・計算・IQ(知能指数)などの数値化=認知できる能力を「認知能力」と呼ぶのに対し、数値化=認知できない能力を「非認知能力」と呼びます。例えば、物事をやり抜く力や他者とのコミュニケーション能力、思いやりなどが含まれ、自分の力で生きていくために大切な能力です。数値化できない力というと無限にありますが、「自分と向き合う力」「自分を高める力」「他者とつながる力」と大きく3つの能力群に分けると理解しやすくなります。なぜ、いま「非認知能力」が大切だと言われているのでしょうか。いままさに私たちが置かれているコロナ禍の状況を例にあげますと、2020年、未知のウイルスの蔓延により私たちの生活は一変しました。予測不可能なことが起こりうる状況において「テストで〇〇点取れた」というような認知能力だけでは太刀打ちできません。状況を見極め課題を見つけて、自分で考えて行動すること。変化の速い、激しい時代を生き抜くために、いわゆる「非認知能力」が求められているのです。自分で悩んだり迷ったりしながら考えていける非認知能力を身につけるためには、「自分でやっていい」と思えるような「大人に思いを受け入れてもらえた経験」が大切です。子どもは生来、自己中心的なもの。特に3~4歳までは周りの人のことが見えず、自分中心の世界です。ですから3~4歳まで、極端に反社会的なことは除いてすべての意思・行動を受けとめてあげましょう。大人に思い切り受け入れてもらえると、子どもは「自分はここに存在していていいんだ」と思えるようになります。いわゆる自己肯定感(自己受容感)です。非認知能力の中には、他者と協調・協働する力や自分をコントロールする力などがあります。周囲にいる他者が見え始めるのは5~6歳ごろから。このとき自分で自分を肯定できる深い自己肯定感があれば、これらの力をより身に着けやすくなります。「受け入れてもらえた嬉しさや安心感」を知っているからこそ、今度は自分をコントロールし他者を受け入れる側になれるのです。幼少期に養った深い自己肯定感が非認知能力の土台になるということです。
生きるために必要な力は時代とともに変化しています。いまの子どもが社会に出るころには、さらにテクノロジー化が進んだ新しい時代になっていることでしょう。予測不可能な未来においても、その子がその子らしく自分の力で生きていけるように、子どもの様々な感情に向き合い、受け止め、立て直してあげたり、あるいは子どもの自発的な遊びを支え、促したりしていけるといいですね。幼児期や学童期は、たくさんの友達と幅広く触れ合う機会が多いほか、家族で過ごす時間も長いです。楽しい時間を共有する中で、非認知能力を鍛え、子どもの将来につながるような豊かな力を育んでいけるといいですね。
                                     園長 梶山 美里