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ホーム  > 園長コラム  > 年長組のお泊り保育 ~子どもの命を預かるために~

年長組のお泊り保育 ~子どもの命を預かるために~

残暑きびしい中、蝉の声と水あそびをする子どもたちの歓声が、大きく園庭に響きわたります。小学校が夏休みに入り、学童保育の子どもたちも園で生活しているため、いっそう保育園が活気づいています。また、夏祭りでは、保護者会役員の皆様をはじめとして、保護者の皆様と共に夏祭りを盛り上げることができましたことを嬉しく思っております。また、納涼踊りでは、子ども達と一緒に踊りに加わって下さり、より楽しむ事が出来ました。
まだまだ厳しい暑さが続くようです。体調を崩さぬようにお過ごしください。
今年も7月に年長児クラスのお泊り保育がありました。1泊2日で『ならここの里』のコテージに宿泊しました。雨模様で始まったお泊り保育ですが、すべてのプログラムを行うことができました。あまごを捕まえて、その場で塩焼きにしていただいたり、スイカ割りやキャンプファイヤーも楽しみました。今年の年長児特製カレーには、収穫した玉ねぎ、ナス、ピーマンが入り、バーベキューでも、ゴ-ヤ、カボチャも加わって、お腹いっぱいになるまでいただきました。自分たちで育てた野菜の味は格別だったことでしょう。本流での川遊びは水位も高く、危険だったので、支流で、手作りの〝いかだ〟を浮かべてワイワイと楽しみました。山登りでは鳥の声を聞き、モリアオガエルの卵と大きなオタマジャクシに遭遇し、それを狙う蛇の姿も目にした子どもたちでした。初めて見る職員も感動していました。
お泊り保育は、いつもの保育園の環境とは違い、万全の注意をはらう必要があります。必ず、毎回、下見に行き、実際、子どもたちが行く場所はすべて現地調査を行います。当日も子どもたちに危険な場所や危ない行為については十分に話してすすめていきました。こんな場面がありました。沢ガニを捕まえた時のことです。「水や石を入れてあげないと死んでしまうね。」と子どもたちと話していた時、Aくんはすっと立ち上がって、「ぼく、この石を入れてあげたい。川のお水で洗ってくる。」と本流に向かおうとしていました。「待って!あそこは危ないから行かないで!足をすくわれたら死んでしまうよ!」と返すと〝うん〟とうなずいて行くのをやめました。その時、私は思いました。『Aくんが何も告げずに本流に行っていたら、どうなっていただろう』と。改めて、子どもの命を預かっているという責任の重さを考えさせられました。カニのことを思い、すぐに行動に移そうとした優しいAくんですが、それが仇(あだ)になってしまうこともあるのです。自然の中では、貴重な体験をたくさんすることができる一方で、危険と常に隣り合わせでもあるのです。
私は常日頃から、子どもたちに自分の命は自分で守るようになってほしいという願いをもっています。折にふれて、子どもにも職員にも伝えています。私たち大人の安全管理はとても重要なことですが、子ども自身がリスクを察知できるようになることも非常に重要です。ですが、子どもの経験からはまだまだ未熟な部分も多々あるのです。
保育計画を立てる時、ましてや園外保育の場合、その場の環境そして状況を視野に入れて、予想される子どもの姿を入念に考えます。担任保育士だけでなく、付き添う職員全員が集まり、園長主任はもちろん看護師も加わって話し合います。当たり前のことですが、命を預かるということはそれほどに重みのあるものなのです。これからも十分な注意を払いつつ、自然体験の中で子どもが心を動かし、輝きを増すことのできる保育を行っていきたいと考えています。

園長  永島 弘美