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ホーム  > 園長コラム  > 共に育ち合う保育をめざして

共に育ち合う保育をめざして


朝夕の涼しさに、秋を感じますね。先日は“プールおさめ”を行い、子どもたちができるようになったことを赤組から順番に披露してくれました。得意気に「潜れるようになった」と見せてくれるAくん、「あんまりないけど」と話しながら、頭からの水かけを頑張っていたBさん、ひとりひとりが真剣な表情でのぞんでいました。皆で拍手をしてお互いを称え合いました。大切な水を使わせてもらったこと、無事にプール遊びを楽しめたことを神様に感謝しました。
さて、先週の土曜日に、浜松磐田地区の9ヶ園の130名の職員が集い、保育学会の中間発表(報告)会を行いました。職員の保育の質の向上を目的として、子どもたちの成長発達に基づいて、保育の振り返りを行い、保育の実践課題を基に、研究テーマを明確にし、その成果や効果について中間発表を行いました。テーマとしては“創造力(想像力)を育む”“食育”“自然の中で育つ”等が各園から出されていました。
こうのとり保育園は“共に育ち合う保育(統合保育)をめざして”をテーマに取り組んでいます。こうのとり保育園は開設当初から、障がいがあるないに関わらず、子どもの受け入れを行い、今に至っています。職員も開設当初の48年前から随分、替わりました。今ここで、振り返りをおこない新たな一歩を踏み出したいと考えています。保育園の保育教育目標のひとつに『ひとりひとりの違いに気づき、お互いを認め合いながら共に主体的に生活する』があります。統合保育を行う中で、共に遊び、共に学び、共に生活することの意味を再考してみたいと思います。子どもたちはわけへだてすることなく、その子のそのままを受けとめようとします。以前いた保育園では4歳児で離乳食を食べているCさんに対して「こんなの食べてるの?」と不思議に思う子がいたり、また、体に麻痺があるDさんはよだれがたくさん出てしまうので、初めのうち、いやがる子もいました。でもDさんはいつも笑顔でした。上手に拭くことができないことを知った子どもたちは、日常的に共に生活する中で、よだれがでたら拭くことを何気なくやってくれていたのです。違いのある子たちとの出会いから、様々な疑問や質問が生まれ、生活を共にすることで、自然に関わることができるようになるのです。大人が思うような優しい言葉かけから始まることばかりではなく、受けとめたそのままをことばに表します。出会いはとても大切です。その時、子どもの疑問に応えたり、一緒に考えたりすることで双方に子どもの育ちは大きく変わります。
先日、大学の先生からこんな相談がありました。「保育士を目指す学生ですが、右半身に少し麻痺があります。実習させていただくことは可能ですか?」と。「単位実習の前に夏休みに、保育園にいらしてみてはいかがでしょう?」とお返事しました。先日、園で自主実習として3日間、3歳児クラスに入りました。「お姉さんオオカミね」と鬼ごっこの遊びにも誘われて、楽しい実習だったようです。3日間の実習を終えて、彼女はこう話していました。「子どもたちには自分の体のことを話しましたが、翌日『お姉さん、足はもう治った?』と話しかけてくれたんです。子どもたちは私のことを気にかけてくれて、そういう風に考えるんだと思いました。」そのことを通して、子どもを知ることができたと話し、2月の実習への意欲も増した様子でした。
“共に育ち合う保育”は子ども同士だけではなく、保育者も共にと考えています。

園長 永島 弘美