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やさしい気持ち

今年も私の好きな金木犀が花を咲かせ、心地いい香りを漂わせ、稲が刈り取られた田んぼには、シラサギがカエルやバッタ等を目当てにやってきます。10月は園外に出かけて、秋の自然を存分に感じられるように、保育活動に取り入れたいと考えています。お弁当の準備などをお願いすることもありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、先日おこなわれました“あそびの広場”(乳児クラスが主体)に、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。地域の子育て家庭の方々の参加も得て、開催することができました。
0歳児クラスの子どもたちのこんな姿に、私はちょっと感動しました。
同じテーブルを囲んで、おやつをいただいていた、男児のKちゃんとRちゃん。二人とも今月で1歳半を迎えます。いつも活発に遊ぶKくんですが、お母さまが一緒にいることで甘えたりして少しぐずれている様子でした。そのKちゃんの姿を目にしたRくんは、慰めようとしたのでしょうか、なんと、テーブル中央に飾ってあった折り紙の花をそっとKくんに手渡したのです。Kくんは快く受け取って、ふたりはお互いに顔を見合わせて、やさしいまなざしを交わし合っていました。ことばは何も交わさなくても、お互いがお互いのことを思っているように感じられました。やっと歩き始めた子どもたち、ことばの獲得もこれからの子どもたちの心の中に、人を思いやる気持ちが育ち、そんなやさしい気持ちを表す術(すべ)を知っているのです。
数日前にも0歳児室でこんなことがありました。引っ張って遊ぶおもちゃがお気に入りのMくん。その日もカタカタと音がする木製の車を引っ張って、ご機嫌で遊んでいました。ところが、その木製の車の動きに魅かれて、ハイハイで後を追うAくんの姿がありました。Aくんがタイヤを掴むと車は止まってしまいます。それが繰り返され、立ち止まってうしろを振り向いたMくん。さあ、どうするかなと見守っていると、MくんはAくんの顔を覗き込みながら、バイバイと何回か手を振ったのです。MくんのバイバイをAくんはじっと見ていましたが、カタカタと車が動き出すとまた後追いをしていきました。最終的には、Aくんは違うものに興味が移り、Mくんとのやり取りは終了。Mくんは満足いくまで、車を引いて遊んでいました。
Mくんはある意味、平和的解決を試みたのでしょうか?この行動は、周りの大人との関わりを通して、身につけたことなのでしょうか?何とも微笑ましい光景で、Mくんの姿に驚かされました。家族との関わりが土台となり、信頼できる大人との応答的なやりとりの中で、気持ちの交流が生まれ、人との関わり方を学んでいきます。さらに、他児との様々な出会いを通して、豊かな人間関係が育まれていくのです。
もちろん、これからの成長過程の中で、自分なりの考えがあって、自分の意思をもって行動するようになると、状況に合わせるということが難しく自分の考えも変えられず、周囲の大人とも他児ともぶつかり合うことも多くなることでしょう。私たち保育者は、子どもを信じて、とことん関わっていきたいと考えています。


園長 永島弘美