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新しい時代『令和』

新しく『令和』の時代を迎えました。「令和」の「令」は美しい、「和」は調和そして平和の意を表すものです。30年余り続いた「平成」が終わり「令和」に改元されました。
新聞紙上の記事や報道される番組から、日本国の象徴として、国民統合の象徴とする平和憲法のもと、象徴天皇として、どう生きていくかを考え、模索しながらもご自身の意思をしっかりと持ち、歩まれた前天皇陛下や新天皇陛下の姿を垣間見ることができました。上皇様が残された「令和に伝えたい 10のお言葉」は、誰にも分かりやすく、話されている上皇様のお気持ちが伝わってくる内容でした。一つ一つの言葉が心に残り、豊かな人間性とその愛に包まれる想いがしました。
上皇様は、少年期を戦時下で過ごし、食料もなければ住まいも皆焼け、被害に遭われた人たちの悲しみも感じて過ごした日々でした。戦争のない日本として平成を終えられたことについて、「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と述べられました。私も「令和」の時代も戦争のない時代となるようにと心から祈ります。
私が興味深く観たのは、上皇様と上皇后様が行った皇室の育児改革です。
5月の父母の会総会講演会で、三輪邦子氏から「家庭教育」についての講演をお聞きしました。その中で、家庭教育の中心にあるのは「人と人とのつながり」だと。そして、人との付き合いに時間をかけていくことの重要性も話されました。皇室の育児改革は、一般家庭と同じように、皇后様の母乳育児に始まり、天皇家の幼少期に親元から離れて暮らす習慣も見直し、家族で同居、そして、上皇后様はお料理もされていたのです。新天皇陛下の幼少期が映し出され、天皇家では初めての幼稚園通園。1クラス40人程の園で、後ろで順番を待つ姿がありました。その時のことは、「親の手作りのお弁当を友だちと一緒に食べる。一般家庭と同じ環境作りに力を注がれていた」とも伝えられました。特別扱いをされることなく、子ども同士の中で成長することの大切さを感じます。友だちとの関わりの中で、共にあそび、共に学び、泣いたり笑ったりしながら育つようにされたのです。
日常で繰り返される何気ない生活やあそびの大切さ、人と人とがつながり合い、関わり合うことの重要性が人間としての成長に欠かせないことが明らかです。さらに大学時代には、2年間、イギリスのオックスフォード大学で、150人の学生と寮生活をされたのです。「自分でものを考え、自分で決定し、そしてそれを自分で行動に移すことができるようになったと思います」と語られていました。一方で親友に、将来、天皇になることに対しては楽しみに思うとゆるぎない意思をもちながらも「オックスフォードで得た経験や友だちはもう2度と手に入らないだろうね」と友だちとの別れを惜しむ言葉を友人にされていたという話を聞いた時、人との関係や結びつきを深められてきた姿に心を動かされます。
新天皇陛下は、間近で公務を行う両親の姿を観て育ち、自分なりの天皇像を形創ってほしいという父の願いを受けて、その歴史を学び、自分自身がどんなことを目標として、どのように生きていくかを考え、歩まれてきました。立場は違っても、保育をする上でも、子どもたちが自分の将来像を描きながら、目標を持って進むことの大切さを改めて実感しました。これは、私たち大人にも同じことが言えますね。

園長 永島弘美