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     仲間
~ 共に育つ経験 ~

 


待ちに待った梅雨明けに、嬉しそうな子ども達。いよいよ夏本番です!夏ならではの遊びを取り入れながら、思い切り楽しみたいと思います。
 さて、7月17,18日は年長児(黄組)のお泊り保育が行われました。今年度は感染リスクを考慮し、ならここの里の利用はキャンセルしましたが、お泊り保育の経験はさせてあげたいという思いから、園内に泊まる方法に変更させていただきました。初めての試みで職員も迷いながらも、子ども達と話し合いを重ねながら楽しいプランを立てていきました。いつもは家族と家庭で何をして過ごしているのか?お家の人がいない夜の保育園で、友達や職員と何をしたいか?夕飯、朝食は何をどのように食べたいか?等々様々な意見が出てきました。子ども達の思いや願いを一つでも多く叶えてあげたいという担任の思いには脱帽でした。単に友達と一緒に過ごすということにとどまらず、黄組全員の共通の願いや目的(魔法の合言葉)『力を合わせて助け合う 笑顔が素敵な黄組さん』が生まれました。一人ひとりが自己を発揮出来るように、仲間と工夫したり、協力したりする楽しさを十分に味わうことができるように担任も丁寧に関わりながら準備を進めていきました。子どもの仲間関係は順調な時ばかりではなく、強い者勝ちになったり、ルールや約束事が守られなかったり、嫌な想いをしたり、様々の葛藤を経験する時もありました。このような経験を通して子どもは自分の思いを自覚し、他の友達にも思いや気持ちがあることに気付き、自らを育てていきます。保育者だけではなく、仲間が仲裁に入ったり、落ち着きを取り戻し互いに話し合ったり、さりげなく一緒に行ったり、手伝い合ったり…準備からお泊り保育が終了するまで自制や自省、相手を思いやる気持ちと自立が子どもの中にみえるようになってきました。
 夜の探検では暗い保育園をグループ毎にライトを持って探検しました。毎日過ごしている保育園ですがドキドキで、なかなか前に進みません。グループ全員がしっかり手を握り合い一歩一歩恐る恐る進み、ヘラクレス王妃に出会います。名前を聞かれると、よりギュッと手に力が入り「○○です」と目を見開きながらも伝えます。合言葉は?と聞かれ力を合わせ、大きな声で必死に合言葉を伝えてくれました。その後褒めてもらい、頑張った証にカブトムシやクワガタの折り紙をもらうと、そこで安心し力が抜け手を放し、笑顔で仲間と顔を見合わせ誇らしげに堂々と力強く歩き戻っていきました。この1場面に限らず、どの場面を見ても、自分のありのままの姿を温かく受け入れてくれる職員や友達との信頼関係が築かれているからこそ、安心して自己表現が出来る。一人では出来ないこともみんなで力を合わせれば、実現出来る。一人ひとりのよさが響き合う集団の素晴らしさを実感できました。
 お泊り保育を通して、自分の思いが実現できる喜びや充実感を味わい、仲間と過ごす喜びをもたらしましたが、それと同時に家族と離れて過ごす中でこれまで知らなかった戸惑いや不安、さらには葛藤を経験する機会にもなり、家族の大切さにも気付くことが出来ました。このような様々な経験が、今後子どもから園生活について提案する雰囲気を創りだし、保育者と共に保育を創り出すようになっていくであろうと楽しみにしています。新型コロナ対策を長期的に継続していく今、集団の魅力を見つめ直し、「園児一人ひとりみんなが育ち合う社会(保育園)」を子ども達、保護者の皆様と共に創造していけたらと思います。

園長 梶山美里