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『相手の気持ちになって考える』

 


いつの間にか、季節はすっかり秋模様となってきました。先月初めの新型コロナウイルス感染症については保護者の皆様に大変ご心配をお掛け致しました。家庭内保育のご協力等もありがとうございました。引き続き感染対策を徹底していきますので、ご理解とご協力をお願い致します。
 先日子ども達が遊んでいる様子を見ていると、4歳児のAくんと目が合いました。視線を合わせ微笑みかけると、また遊び出しました。その日の午後(おやつ後)廊下でAくんに会うと珍しく抱っこを求めてきました。少し驚きましたが、抱き上げると私の耳元で「今日ありがと。嬉しかった。」と言うのです。私は「良かった。」と言いながらギュッと抱きしめると、「またね!」と笑顔で部屋へ戻っていきました。
このように遊びに没頭しながらも子どもが大人の存在を確かめるように振り返る姿を保護者の皆様も経験されたことがあるのではないでしょうか。子どもは、集団の中で社会性にかかわる多くの要素を身につけていきます。自分を無条件に受け入れてくれる大人と出会うことは、子どもが成長する上でとても重要です。保育者は、抱きしめたりぐずった理由をわかろうとしたり、子どもが「(この遊びを)やってみたい!」と思える環境を用意したりといった日常的な関わりを通して、子ども同士の関係性にも目を向けています。4月より半年が過ぎ、様々な経験を重ね、子ども達は一人ひとりのペースで成長をし、安心して園生活を送られるようになってきています。そんな今だからこそ「アタッチメント」をとても大切に考え、職員間でも共有をしています。アタッチメントはスキンシップとは別物です。子どもが不安や恐怖といったマイナスの感情を抱いたときに、保護者や保育者など信頼できる人との関係を通して「もう大丈夫」と安心感を得ることをいいます。子どものマイナスの感情を立て直し、安心感を与える大人は、子どもにとって「避難所」ともいえる存在です。安心感を得た子どもは、1人で冒険や探索を楽しむようになります。その際、大人は、子どもの失敗を先回りして防いだり、後追いをして処理したりはせず、子どもがそこから元気よく飛び出していける「基地」のように見守ります。こうして、子どもにとって「避難所」と「基地」の機能を果たすのがアタッチメントです。大人が避難所として子どものマイナスの感情を受け止めることで、子どもは自分は愛される価値のある存在だと自覚します。これは、社会情動的発達の「自己」にかかわる力の土台となります。また、大人が基地として子どもを離れたところから見守ることで、子どもは自発的な遊びに没頭し、1人でいられる力を身につけていきます。そして、「助けて」と言えば人は助けてくれる、いつも自分は見守られているという他者への信頼感は、社会情動的発達の「社会性」にかかわる力の土台となります。そして好奇心、協調性、がんばる力、自己抑制、自己主張などの「学びに向かう力」の土台ともなっていくのです。ウィズコロナで何かと不安が多い今、愛着形成といわれるアタッチメントは、今まで以上に大切です。保護者の皆様同様、私達保育者も子ども達の「安全な避難所」「安心の基地」であり続けたいと思います。


                                           園長 梶山 美里