グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 子どもたちの“今”

子どもたちの“今”

 梅雨が明け、気温・湿度共にぐんぐん上がり、こんなに早く盛夏を迎えました。戸外遊びはもちろん、室内でもこまめな健康観察や水分補給などを心がけ、子どもたちの汗対策・熱中症対策等、健康管理には十分気を付けていきたいと思います。
 先日0歳児クラスを覗くと、穏やかな空間が流れ、保育者に見守られながら一人ひとりがゆったりと遊んでいました。食べ物の玩具をパクパク、モグモグ食べる仕草をしては、にこっと笑い、手をパチパチ。「どうぞ」「ありがとう」と私が言いながら物をやり取りする度にパチパチ。戸板の坂道を登ってはパチパチ、降りてはパチパチ。何かをする度に大人を見て手を叩き笑顔を見せるお子さんが沢山いました。思わず、一緒に手を叩きながら幸せを感じ、癒されました。
 6月25日に第15回保育学会が開催され、浜松磐田地区10園の研究発表を行いました。今年度も聖隷クリストファー大学 社会福祉部 こども教育福祉学科 学部長補佐 太田雅子氏より総評(ご指導)をいただきました。その中で、「子どもの中で今、どういう学びが起きているのか?子どもは、体験から知り得た知識を更に学び、次に繋げていくことが面白い。」とおっしゃった言葉が心に残りました。その言葉を聞き、先日のパチパチが思い浮かびました。手を「パチパチ」できる、ということは、目の機能が発達して、右の手と左の手との「協調運動」が出来たことを意味しているそうです。「協調運動」とは、目と手、手と足、右手と左手など、それぞれ別の動きをするものが、まとまって一つの動きをすること。たとえば、手を伸ばして目の前にあるおもちゃを右手で掴むことは右手と目の協調運動、手を叩くことは、右手と左手、そして目の協調運動と言えます。いずれは縄跳びやボール遊びなど、体のダイナミックな動きに発展していく「協調運動」は子どもの発達にとって重要です。そもそも、手を叩くためには、左右の手を自分の目の前まで持ってきて、それぞれの手がピッタリくっつく位置で合わせなければいけません。まだ動きに慣れていない時は、手がぴったり合わず、すれ違ってしまうこともあります。毎日少しずつ練習を重ねて、やっと上手にパチパチ出来るようになるのです。周りの人の動きの「真似をする」ということが出来るようになるのは、1歳になる頃と言われています。子どもは真似をしているうちに、言葉と動作が結びつき、意味を理解していくのだそうです。周りの大人が何かが出来たとき、頑張った時などに「やったね!」の気持をこめて笑顔で拍手をする姿は、自分のことを見てくれている!という安心感や喜びにつながり、そのうちに、どんな時に拍手をしているのか、「拍手」の意味が分かってきます。子どもは、親や兄弟、保育者など周囲の人を見ながら成長していきます。全く何もわからないゼロの状態から、毎日たくさんの刺激を受け、一つ一つ吸収していくのです。何気ない遊びや日常の行動の中の『パチパチ』も、子どもの中で今、どういう学びが起きているのか?を見ていくと、子どもは何気ない行動の中で多くのことを吸収し学び続けていることがよくわかります。聖隷のテーマ『子どもたちの“今”が未来を創る』にもあるように、発達のプロセスを学び続け、子どもたちの“今”を保育のプロフェッショナルとして捉え、何を根拠にするのかを見出し、最も適したものを子どもの姿から生み出していきたいと改めて思いました。
                                          園長 梶山 美里