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恵まれた環境の中で

園長 岡田 尚久
梅雨時、毎日雨が続いています。湿度も高く、人にとっては過ごしにくい季節ではありますが、木々や草花、生き物たちはきっと喜んでいることでしょう。
園の子どもたちはなかなか外に出られず、体力が有り余っているようです。室内でも気持ちを発散できる体を使った活動も取り入れていきたいと思います。
さて、こうのとり東は恵まれた自然環境の中にあります。散歩に行けば、道路やあぜ道の上をヘビが這っていたり、バッタが跳んでいたり、カメはのんびりのんびりと歩いています。田んぼの中や水路の中を覗くと今度はアメンボやタニシ・カエルやザリガニ・カニ等のたくさんの生き物に出会えます。図鑑ではなく本物に触れることで生き物の生態により興味をもったり、飼い方を自分たちで調べたりと学びにつながっていきます。
6月の始めに延期になっていた田植えを5歳児クラスの子どもたちが行いました。当日は地域の方にもご指導いただき、共に田植えをすすめていきました。地域の方々と交流できることにも本当に感謝です。子どもたちは裸足になり、やる気満々で田植えがスタートしました。Aちゃんは田に足を入れると「ヌルヌルして気持ち悪い~」、反対にB君は「泥が柔らかくて気持ち良い~」と、それぞれが自分の感じたことを言葉にして表現していました。Cちゃんは黙々と手を動かして1時間近くずっと田植えをしていました。D君は足にあたる泥の感触が嫌で田んぼには入ることができませんでした。保育教諭が何度か声をかけても断固として入ろうとはしません。しかし、その後どうするか様子を見ていると、実際に田んぼに入らなくてもあぜから手を伸ばして一番隅の通りに苗を1本1本植え始め、途中からは「もっとやる!」と楽しみながらやっていました。一人ひとりがそれぞれの楽しみ方で田植えを行いました。
自分たちで植えた苗の成長を観察しながら、稲刈り・脱穀・もみすり・精米・炊飯の一通りの体験をすることは何よりの食育です。しかし、田植えは食育につながるだけではなく、他にも様々な要素が含まれています。足の先を水に入れると「水が冷たい」、「ぬるい水」等を感じます。次に足を泥につけると何ともいえない感触を足の裏で感じます。歩こうと思っても、泥に足をとられて思うように動けません。倒れそうになるところを体全体でバランスをとって支えようとします。田んぼのにおいも感じます。このように田植え一つとっても子どもは様々な刺激を受けるのです。
幼保連携型認定こども園教育・保育要領(内閣府・文部科学省・厚生労働省)の中に“幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿”というものがあります。その一つに【自然との関わり・生命尊重】という項目があります。内容は以下の通りです。

『自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探求心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるととともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる、また身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。』

当園の子どもたちはこの恵まれた環境の中で生活することにより、上記のことも自然と学んでいくこともあると思います。このような環境が与えられていることに感謝し、今後も存分に五感を使って自然を感じ、この乳幼児期に大切にしたい体験をしながら成長していってほしいと願います。私たち保育教諭もこの時期の子どもたちにとって何が必要かを日々考えながら保育・教育を展開していきたいと思います。