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実体験を通して学ぶ

園長 岡田 尚久
9月に入りましたがまだまだ暑い日が続きます。今年の残暑は厳しく長く続くようです。
しかし、暑いというものの秋は少しずつ近づいてきています。朝の風が涼しくなり、虫の音も夏から秋へと変わってきています。先日、今年初めての鈴虫の音を聞きました。鈴虫の音を聞くと、なんだか気持ちがホッとします。
 さて、こうのとり東では放課後児童クラブ“オリーブ”を併設していますが、この夏休みの間は小学生が朝から登所してきていました。毎日、園で学習に取り組んだり、友だちと同じ目的をもってあそんだりと日々を過ごしていました。そんなある日。事務室の片づけをしていた職員が棚の奥深くから旧園舎からもってきた昭和初期?に作られたと思われる映写機やカセットテープ・スライド等を見つけました。その内容は“日本おとぎばなし”のシリーズで何本もありました。かなり古い物なのでもちろん取扱説明書はなく、使用できるのかもわかりません。その映写機等を小学生の所に持っていくと、子どもたちは興味津々。男児を中心に機械の使い方を自分たちで考えながら、知恵を出し合いながらいじり始めました。その際、職員はあえて手伝ったりせずに見守っていました。するとどうでしょう、なんと映写機が動き始めスライドが映ったのです! 子どもたちは大喜びで大興奮! 付属でついていたカセットテープも流れ、上映会が始まりました。密をさける為に、1回5名で行われていました。初回上映作品は「やまたのおろち」。上映が始まったのですが、白い壁に映し出された画は反転していて、タイトルのひらがなも逆でした。その日は直すことができませんでしたが、その後に再度子どもたちは相談をし、試行錯誤しながら見事スライドを正常に映し出すことに成功しました。まさにアクティブ・ラーニングです。(アクティブラーニングとは、主体的・対話的で深い学び)⇒簡単に言い換えると「好奇心を伸ばし様々な人と関わることで考えを深め、問題解決能力を育む学び」。本当に子どもたちの力はすごいです。そのような姿を見ていて、改めて実体験を通して学ぶ大切さを痛感しました。  この事を考えていた時に、自分がまだ学生だった頃に保育実習に行った時のことを思い出しました。私が実習で入った3歳児クラスに園に入園したばかりの女の子がいました。ある日、皆で公園に行き、トイレへ行った後に手を洗う場面がありました。公園のトイレの水道の蛇口は自分の手で回さなければ水はでてきません。しかし、その女の子は水道の下に手を出してずっと水が出るのを待っていたのですが、蛇口をひねらない限り待っても待っても水は出てきません。しばらくその様子を見ていたのですが、自分で水を出すことができなかったのです。見たことを担当の保育者に伝えて後日わかったことは、その女の子の家の水道は全てが自動で手をかざせば水がでるものでした。実際に体験したことがなく使うことができなかったのです。
子どもたちは毎日様々な体験をしながら、生きる術・生活する術を学んで吸収していきます。
子どもが自分でやろうとしている時、試行錯誤している時こそ、自分で考え学ぶ機会が与えられているのです。その時に私たち大人が「これはこのようにやるとできるよ。」と一言発したり、すぐに手助けしてしまったら、その子のその時の学びは終わってしまいます。生きていく為に大人が教えなければならない事はもちろんたくさんあります。その反面、子ども自らが考え・体験して学んでいくこともたくさんあります。この事を頭の片隅においておくだけでも子どもとの関わり方が変わってくるのではないでしょうか。