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自然との触れ合いを通して

園長 大塚 麻紀子
梅雨時期にアマガエルが、夏には先月の園だよりで伝えたカニが、そしてつい先日にはコオロギが・・・と、玄関先や園庭に現れる珍客の変化で、季節の移ろいを感じています。こんな発見が日常茶飯事で、「〇〇を見つけたよ」「昨日もいたよ」「えぇー、どこで!!」という会話が子どもからも大人からも聞こえていて、さすが自然が身近な環境だなぁと思います。
先日の出来事です。一人の子が、ジーっと一つの水槽に顔をぴったり寄せて見続けていました。あまりにも真剣に見ていたので、邪魔にならないよう音を立てず、そーっと後ろを通り過ぎようとしたのですが、気配に気づいたのか振り返って私を見るなり「せんせい、ちょっとみて!!」と、大きな声で呼び止められました。彼女の目線と同じ高さで覗きながら「なになに、どうしたの?」「あのね、あそこ。かべじゃないのに、どうして??」とつぶやくのです。指で示す方を見ると水槽の前面ガラスにくっついているタニシでした。何が気になるのだろうと思いながら「これ?」と聞くと、「ちがうちがう、もっとあっち」と、先ほどよりも強い口調で水槽の奥の方を指し示すのです。言われた通りよ~く覗くと、水槽の水面を這うように逆さまのタニシを発見!!「あれ、ほかのタニシと違うね」と言うと「ねっ。かべじゃないのになんでだろう??」と、とにかく不思議で仕方がないという表情でそのまま観察を続けていました。
別の日、カメの水槽の前で、また別の子が一人でじっと見ていました。なんだか浮かないその子の表情とカメが水槽の中で動き回る音が気になり「どうしたの?」と声をかけてみました。「そとがきになるのかなぁ、でたいのかな。・・・」と、水槽のガラス面に前足を付けて体を起こそうとしたり、絶えず動き暴れていたりする、いつもと違うカメの様子を心配をしていたようです。
子どもたちはいつもと違う様子や変化にとても敏感で、言葉巧みに表現できない乳児も指差しで教えてくれたりもしますね。その気づきを教えてくれるたびに、よく見ていることや、思いを聞くたびにいろいろ考えていることに驚かされます。今回ささいな変化に気付いた事も、毎日何気ない行動のように見えてよく観察していたことが窺えました。タニシの見たことない行動に「なんでだろう」と理解したい気持ちやカメの行動を見て芽生えた寄り添う感情は、もっと知りたいという学びに向かう探求心や、過去の経験等で自分の知っている知識と関係づけて、状況を理解しようとさまざまな思いが巡っていたことでしょう。幼保連携型認定こども園教育保育要領で示されている『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿』の一つに“自然との関わり・生命尊重”がありますが、これは自然についての知識を習得したり経験値を上げたりすることだけではありません。実体験で自然の変化や不思議さを感じる経験を通し、様々な生きる力の源となる豊かな感情、好奇心、思考力、表現力等の基礎が培われることを示しています。恵まれた自然環境と、この夏存分に味わった夏ならではの遊びの経験を活かし、この秋もこうのとり東の子どもたちが、どんな成長をしていくのかを楽しみに見守っていきたいです。