グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 正統的周辺参加

正統的周辺参加

園長 鈴木勝子
 今年は梅雨入りからしばらくの間、雨が無く夏野菜の苗は大丈夫かしら?と心配されましたが、ここ数日はやっと梅雨らしい天候が続いております。6月中旬から感染性胃腸炎が流行し、保護者の皆様にはご心配をおかけしました。保育室や玩具の消毒、職員・子どもの手洗いの徹底や体調観察と看護師を中心に園全体で普段以上に感染拡大の防止に努めてまいりました。子どもさんの体調不良時の家庭保育等保護者の皆さまのご協力のもと、月末にはやっと終息の方向にむかうことができました。集団生活の中で子どもたちの健康・安全を守ることは園としては当然のことですが、これには園だけではなく保護者の皆さまのご理解とご協力が不可欠であることを改めて感じました。幼い子どもさんが利用する施設です。感染症時対応の手紙を配布いたしました。よくお読みいただき、集団保育のマナーとして今後ともご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 さて、幼児クラスの子どもたちはここ数年、この時期に畑で収穫したじゃが芋と玉ねぎを使ってカレーパーティーを企画しています。今年はカレー大魔王とのやりとりで「一番おいしいカレーを作ろう」と大張り切りの子ども達。3~5歳児の異年齢のグループで話し合い、グループごとにカレーの材料や味を決めました。そして翌週にじゃが芋と玉ねぎの収穫をしました。今年はじゃが芋が予想以上に不作で「もっとあるかな」「もぐらに食べられちゃったかなあ」と一生懸命土を掘って探していました。隠し味もグループで相談しました。「りんご入れる」「はちみつがいい」と3歳児も話し合いに参加していました。最終的には「おうちに帰って聞いて来よう!」ということで、保護者の皆さまからも隠し味のアイディアをいただきました。ご協力ありがとうございました。子どもさんからお話があったのではないでしょうか。
 カレー大魔王のダンスが気に入り「♪カレ~ カレ~♪」と大はしゃぎの子、大魔王の登場に驚いて泣けてしまう子もいましたが、少しずつグループで楽しめるようになりました。異年齢グループで野菜切りやクッキングを予定していましたが、当日は胃腸炎の流行もあり急きょ計画を変更し、隠し味の味付けのみグループごとに行うことにしました。
また、カレークッキングは出来ませんでしたが、はさみと糊を使ってカレーの製作あそびを異年齢グループで行いました。はさみの使い方や糊付けの仕方を4.5歳児が年下の子に教えたり手伝う姿も見られました。
 この異年齢グループの活動から『子どもは一人で学ぶのではない。かかわりの中で学ぶ。』という理論。「正統的周辺参加」の理論を思い出しました。1人ひとり参加の形はさまざまです。それが個性なのです。グループの中心となって‘どっぷり参加’。気がむいた時に‘ほどほど参加’‘見るだけ参加’‘口だけ参加’等々どの様な参加の仕方でも「正統なメンバー」であるということで「正統的周辺参加」というそうです。教科書やマニュアル、テキストから学ぶのではなく「状況そのもの」から学ぶ。「場や状況に入り込む(参加する)ことで、知識や技術を獲得する」という学習方法がベースにあるのです。これは非認知スキルとも繋がります。
 カレー大魔王の登場に泣けてしまっても隠し味の話し合いではしっかり自分の意見を主張して‘どっぷり参加’している子もいました。大魔王のダンスの時は‘見るだけ参加’でも野菜の収穫では、真剣にじゃが芋を探し収穫した玉ねぎを園まで一生懸命運んだ子もいました。どの子もグループの中でその子らしい参加の仕方で、異年齢のかかわりの中で学んでいるのだと思います。
 最後は大好きなカレーをたくさんお替りして、お腹も心も大満足の子どもたちでした。
 さて、次はどんな参加の仕方で学習するのでしょうか。