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畑から見えてきた「たのしい」「おいしい」「やさしい」

園長 鈴木勝子
 吐く息も白く、暦の上では立春を迎えますがまだまだ寒い日が続きそうです。子ども達と植えたチューリップは凍てつくような寒さの中でも小さな固い芽をのぞかせ、確実に春は近づいている。命は育っている。と感じます。
さて、去る1月20日(土)には保護者の皆さまに家庭保育のご協力をいただき、第11回聖隷保育学会が浜松市中区和合町にあります聖隷こども園めぐみで行われました。聖隷のこども園保育園職員と4月からの新規採用予定者を含めて200名近い参加がありました。
 聖隷こども園こうのとり豊田も“子どもの育ちを踏まえた保育の在り方~畑から見えてきた「たのしい」「おいしい」「やさしい」~”と題して研究発表をしました。昨年度は畑の栽培活動からごっこ遊びやクッキングへと保育の展開やあそびの広がりを報告しました。
 今年は、6月に収穫したジャガイモが倉庫に放置され、段ボール箱の中で芽を出していた様子から植物の生命力に子どもと保育者が共に驚き、そこからヒヤシンスの水栽培へと繋げ、植物が育つためには光と水が必要な事。また園庭の柿の収穫から柿の種類を調べ、渋柿はどうしたら甘く食べられるようになるのかという疑問をきっかけに子どもと共に調べ、干し柿・干し芋・大根切干等干すことによって味が変わる、うまみが増すことを実体験を通して経験しました。また、1月に行ったおさかな教室では魚は自分の身を守るために、深海に住む魚と浅いところに住む魚では色が違う。一旦口に入った獲物を逃がさないよう魚の舌はざらざらしている等、実際に魚を観て触れて新たな知識を得ることができました。目の前でさばかれた魚にも自分たちと同じように内臓があり、命がある。私たちはたくさんの命をいただいて生かされている。「ありがとう」という感謝の気持ちも感じることができました。
 子ども達の「どうして?」「なんで?」に保育者も一緒になって真剣に考え、調べて実践し、失敗して「なんで失敗したんだろう?」と振り返り、再度調べ直し、子ども達と相談し「こうしてみたらどうかな?」…この繰り返される一連の保育活動から子ども保育者も「たのしい!」「できた!」「わかった!」「おもしろい!」「またやってみたい!」の声が聞かれます。
 栽培から始まり食に関する実体験から、保育者は子どもの年齢発達を押えた上で、小さな疑問やハテナ?を見逃さず、一緒になって考えヒントを示し、子どもの声を拾い実践に繋げていきます。
 子ども達は自分達でまたは保育者と一緒に調べ伝え合い話し合う。そして役割分担をしたり、順番や交替で行う。譲ったり譲ってもらったり等々保育の中で様々な経験します。時には意見の相違からぶつかり合い、葛藤が生じることもあるでしょう。そこで自分の気持ちに折り合いをつける。このような過程を経て導き出された「わかった!」「できた!」は机上での学びよりもはるかに子どもの心の栄養となり内面の育ちに繋がります。これは自分一人では決して経験できるものではありません。友達との関わり、保育者との関わり、お家の人との関わりから学び、得られるものだと思います。理屈で答えを得るのは簡単です。知識として知る、覚えることも場合によっては必要とされますが、就学前の子ども達は安心できる環境で信頼できるおとなと一緒にわくわくする体験をたくさんすることで自己肯定感を育みます。そして、知識を得ると同時に心の育ちも保証することが大切だと考えます。
 1月の園だよりでもお伝えしましたが、4月からの学習指導要領が改訂実施されます。その中で育みたい資質・能力『非認知型能力』が新しい学力の考え方として示されております。園では、遊びを通した総合的な学びを常に意識して教育・保育にあたりたいと考えます。

※『非認知型能力』⇒目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールする力などIQなどで測れない内面の力