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好奇心と探究心

園長 平野春江
 色鮮やかに咲く紫陽花が雨に美しく濡れる季節となりました。6月は、神様が創造された豊かな恵みの雨に感謝をし、子ども達と共に楽しんでまいりたいと思います。
 さて、今月は、子ども達のエピソードをご紹介しながら、お話しを進めてまいりたいと思います。どうぞ御一読下さい。
 エピソード① ~ダンゴ虫はここにいるよ~
 3歳児のA君が、花壇にしゃがみ込んで「ダンゴ虫いないかな。たんぽぽの下にいるんだけどな…」と夢中で探していました。なるほどA君は、自分の経験を基にダンゴ虫はたんぽぽの花の茎の根元にいると考えているようです。その隣で4歳児のBくんは、大きな石やプランターをどかしながら「いないな…」とダンゴ虫を探しています。A君よりも1年先輩のB君は、何故だかわからないけれど、ダンゴ虫は大きな石の下やプランターの下にいる事は、わかっているようです。さらに先輩の5歳児のC君は、「あのね、ダンゴ虫は、湿った所が好きなんだよ。それと、枯れた落ち葉を食べるんだよ。だから、枯れ葉の下や土の湿ったじめじめしたところにいるんだよ。絵本に書いてあったもん」と教えてくれました。
 エピソード② ~しろつめ草でかんむり作ろう~
 5歳児の子ども達と公園で遊んでいると「園長先生、しろつめ草のかんむり作って!」とのリクエストがありました。「いいよ。作り方を教えてあげるから一緒にやろう」と、ゆっくりと作り方を見せながら伝えました。Dさんが、実際に自分で作ってみると簡単にはいかず、私が手を添えつつ苦戦しながら一緒に編み上げました。さて、それから、3週間ほど経ったある日、Dさんを含め、3~4人の5歳児の女の子達が園庭に咲いているしろつめ草で上手にかんむりを編んでいるのが見えました。私は、驚いて駈け寄り「Dさん、素敵なかんむりだね。一人で編めるようになったのね。」と声を掛けました。 
 Dさんは、何度も作る中で、どうやったら上手に出来るかを考えていきました。そして、自分一人で作れるようになると、今度は、お友達に自分が教えてもらったように教えてあげたのです。それが、1人、2人と増えていき、しろつめ草のかんむり作りが広がっていったそうです。
 こどもたちは、出逢う不思議なものやこと、知らないものやことに対して、こころが大きく開かれていきます。又、一度知り得たものやことを試行錯誤しながら、さらに深く分かろうとします。好奇心や探究心の芽生えです。たとえ、ダンゴ虫一匹でも、子ども達は目を輝かせ、その動きに夢中になって何匹も探し求めます。どんなところにダンゴ虫が好んで住んでいるのか等、自らその生物の営みへ魅せられていきます。保育者は、そのような子どもの姿を『専門職としての目』でしっかりと捉え、今、この子(達)に必要なもの(物的環境・人的環境)は何かを考え、さりげなく整えていきます。5歳児Dさんのしろつめ草のかんむり作りも『作ったことがないけど、やってみたいな…』の好奇心の目が開かれたのです。そして、その後も身近な環境(園庭)にしろつめ草があり、保育者のさりげない手助けのもと、繰り返し遊ぶ機会に恵まれました。こどもの姿を通して、子どもの内に秘めたる学びの力と共に身近な自然や資源への感謝の念を抱きました。

 ~聖隷こども園こうのとり豊田 教育・保育理念より~  自己発揮できる環境の中で創造性を育てる