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考える力を育てる

園長 平野春江
 8月31日に、各年齢に応じたプール納めが行われました。私も、ひよこ組(0歳児)と幼児クラス(3,4,5歳児)に参加致しました。0歳児クラスでは、その日、出席していた9名の子ども達と保育教諭が絨毯の上に、小じんまりと座り『うみでおよぐ』の讃美歌を歌いました。小さな子ども達ですので、歌えるお子様はいなかったのですが、保育教諭が歌いだすと、メロディーを奏でているのが子ども達の様子で確かに分かりました。それは、よく観察しないと変化に気付かないほどですが、少し顔を斜め上にして、メロディーを聴いているのが表情(目)からも読み取れました。最後に、神様の恵みの中で水に親しんで遊ぶことができたことへの感謝の祈りを捧げました。讃美歌を歌い、お祈りをしている間、子ども達と保育教諭の温かな一体感を感じ、喜びに満ち溢れておりました。
幼児クラスでは、礼拝を捧げた後、年齢ごとに、この夏の成長を披露し合いました。仲間や保育教諭に見守られながら一人ひとりが、自分の出せる力を発揮して挑戦する姿は、周りでみている者にも伝わり、自然と「頑張れ~」という声援が上がっていました。最後は、ミニーゼリー拾いを行い、プールサイドにて頂きました。その時に、4歳児らしいエピソードがございましたので、ご紹介致します。
 エピソード ~ 換えてあげるって言ったのに ~
 ミニゼリーは、りんご・桃・みかん味があり、その中から1人2個ずつ拾って食べました。4歳児のAくんは、桃と、りんご味のゼリーを拾い、初めに桃味を食べたところ、とても美味しかったのでしょう。もう1個も桃味が食べたいと保育教諭に訴えてきました。保育教諭は、「そうか。美味しかったんだね。また、桃味が食べたいのか…。どうする?お友達にかえっこしてくれるかどうか聞いてみる?」と気持ちを受け止めながら提案しました。すると、4歳児Bくんが「僕が換えてあげるよ」と言ってくれました。それを聞いてAくんは、嬉しそうにBくんの持っている桃味のゼリーに釘付けになりました。保育教諭も私も4歳児のAくんとBくんの様子を観察していました。ところが、Bくんは、自分が何気なく言った言葉を悪気なく、言った先から忘れてしまい、(悪気がないのは、表情から読み取れました)なんと、Aくんがみているその前で、桃味のゼリーを食べてしまいそうになりました。保育教諭と私は顔を見合わせ『この雰囲気だと食べてしまうんじゃない?!…』と心の中で会話をしました。保育教諭としては、「Bくん、換えてくれるんだったよね」と、食べるのを止めることも出来ましたが、様子を見守ることにしました。無情にも、Aくんの目の前で桃味のゼリーをBくんが食べてしまい、Aくんは、「食べちゃった…」と泣き出しました。保育教諭は、そうだね。食べたかったね。」とAくんの想いを受けとめました。
 保育・教育を行う中で、子ども達は、様々な姿や要求を表します。『決まりは、決まりだからダメ』と保育教諭がすぐに結論を出すのではなく、子どもと対話をしながら、子ども同士又は、子ども自身が納得して解決策を見出していけるように発達に応じた援助をしております。4歳児の子どもは、自己主張はできるのですが、周りのお友達の気持ちまで汲み取る余裕はありません。そのため、思いのぶつかり合いやすれ違いにより、喧嘩にもなります。保育教諭は、間に入って丁寧に相手の気持ちを言葉にしながら、子ども自身が相手の立場や周囲の状況も考慮に入れた「提案・交渉・折り合いを付ける等」ができるように配慮しております。ちなみに、Aくんの結末は、やっぱりどうしても桃味が食べたかったので、余っていた桃味のミニゼリーと換えてもらいました。

~聖隷こども園こうのとり豊田 教育・保育理念より ~  自己発揮できる環境の中で創造性を育む