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子どもの姿から学ぶ

園長 平野春江
 澄みきった青空が秋の深まりを感じる季節です。園庭で、散歩先で、空を仰ぎ、秋空や雲を眺めて楽しんでおります。
 先月のパワフルフェスタでは、思いがけず雨予報が外れ、前日判断により青城小学校の体育館での開催となり、ご迷惑をお掛け致しました。限られた広さの中でも、皆様のご協力により各年齢の成長発達に応じた日頃の子ども達の遊びの様子をご覧頂けたのではないかと思います。アンケートや連絡帳等で貴重なご意見を多く頂きました。次年度の参考にさせて頂きます。ありがとうございました。
 さて、聖隷こども園こうのとり豊田では、昨年度に引き続き『子どもの育ちを踏まえた保育の在り方』というテーマで園内研究に取り組んでおります。(1月に聖隷保育学会にて研究発表をします)主に、畑やプランターでの食物の栽培活動にスポットをあて、それらに連なる様々な活動を通して見えてくる子どもの姿や保育者の関わり・環境等を検証し、保育の在り方を探っております。研究方法の一つとして取り組んでいるのが、ビデオカンファレンスです。季節ものとして、芋堀や白菜の種植え・収穫物でのクッキング等を通して子どもにどのような経験をさせたいのかを子どもの育ちを踏まえ、計画を立案し、活動を行います。その際に、ビデオカメラ2台で撮影をします。1台は、活動全体の様子を撮り、もう1台は子どもの姿に焦点を当てて撮ります。撮影したものを職員全体で視聴し、気づきや感じた事などをディスカッションします。担当保育者も自分自身の教育・保育を客観的に観ることで、保育中には気付けなかった子どもの言動・心もちに気付く事が出来ます。4,5歳児は、地域の方(ふれあいクラブ)と一緒に行った芋堀を撮影しました。ディスカッションでは、様々な気づきについて話し合いを深め、担当保育者はもとより、その場に居なかった保育者も自分の教育・保育と照らし合わせながら振り返りを行う事が出来ました。映像の中で、収穫した喜びを担当保育者と分かち合うため、大勢の子ども達が「先生見て!(お芋が)取れたよ。」「おっきいよ!」と声に出して自分の想いを表出していました。担当保育者も子どもの声を受け「すごいね」「大きいの、取れたね」と応答し、共感していました。そんな中、Aさんは、自分の取ったお芋を胸の前に大切に抱えて担当保育者の後ろ側で、控えめにお芋を前に出し、声には出さずに、表情で「先生見て!」と語っていました。しかし、その時には、担当保育者は、Aさんの想いに気づけませんでした。Aさんもそれ以上表出することはありませんでした。Aさんの一連の姿を通して、担当保育者も、そこに居なかった保育者も、日頃の教育・保育の中で『Aさんのように自己主張の控えめな子どもの想いに気づかずに過ぎてしまっていることもあるかもしれない…』との振り返りをしました。保育者は集団の中での“個”を大切に、子どもの想いを受容し、仲間や保育者との相互の関わりを通して、豊かな感性が育まれていくようにとの願いを込めて一人ひとりを丁寧に教育・保育をしております。今回は、Aさんの想いを担当保育者に代わって、ビデオを撮影していた保育者が、収穫の喜びを受容し共感しました。こども園では、担任だけでなく、様々な職種や役割の中で、専門性を活かしながら連携をし、子どもの育ちを皆で見守っております。事例を通して、連携の大切さもあらためて確認し合いました。又、地域の皆様(ふれあいクラブ)のお力も視野を広げ、学びへと繋がっております。芋堀の後に、地域の方が芋のつるを捨てずに集めていた為、「何に使うのですか?」と尋ねたところ、「佃煮にしたら美味しいのよ」と教えて下さり、早速、煮たものを分けて下さいました。とても美味しく頂きました。先人の知恵ですね。来年は是非、芋のつるの佃煮をクッキングしてみようと思います。