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遊戯(遊び)を通して育む力

園長 平野春江
 『あらゆる善の源泉は、遊戯のなかにあるし、また遊戯から生じてくる。力いっぱいに、また自発的に、黙々と、忍耐づよく、身体が疲れきるまで根気よく遊ぶ子どもは、また必ずや逞しい、募黙な、忍耐づよい、他人の幸福と自分の幸福のために、献身的に尽くすような人間になるであろう』  *遊戯…現代の遊びの意味
これは、世界で最初の幼稚園創設者でありドイツの教育家F.フレーベル(1782-1852)の言葉です。
 乳幼児期の子どもにとっての遊び(この時期の子どもにとっては、生活も遊びの一部です)は、子どもが様々な能力を獲得するために欠かすことのできない学習経験となります。当園でも子どもの成長・発達に応じた生活・遊びの環境を整え、子ども達の主体性を大切にし、創造性を育む教育・保育を目指しております。その中で、昨年度より継続して聖隷クリストファー大学 准教授 細田直哉氏のご指導の下、各年齢で子どもの姿を見ながら『今、子ども達は何に興味・関心を持っているのか。どの感受性が特別に敏感になっているのか。』を教育・保育の専門である保育教諭がしっかりと捉え、その時々に応じた環境を整え、実践し、振り返ることを繰り返しながら日々、研究を進めております。先日は、1歳児クラスの子ども達の生活や遊ぶ様子をビデオで撮影し、『丁寧に保育をする。一人ひとりの子どもの成長・発達や活動のテンポに応じた適切な援助をするために』をテーマに職員全体で視聴し考え合う機会を持ちました。そのような経過を辿る中で、子どもの姿や保育教諭の子どもを観る視点にも少しずつ変化が見られております。保育教諭は、子どもの力を信じて待つという意識がより高まってきているように感じます。具体的には、子どもが自分で遊びを選択して取り出せるような環境を考えて整えることで、保育教諭は、側で見守り必要な所に言葉を掛け、援助し、共感するという関わりです。子ども自身も生活や遊びに見通しを持つことが出来ることで安定して過ごす姿が見られております。先日も、私が1歳児クラスの様子を見に行った際に、Aさん(2歳4か月)が玩具の棚のいくつかあるパズルの中から自分で考えて1つを選び、机まで運んで椅子に座り、パズルが入っているジッパーを開け、袋を椅子の脇に挟み、そして遊び始めました。パズルが完成するとまた、ジッパーに片付ける。そしてもう一度ジッパーを開け、同じパズルで遊ぶ。この工程を3度繰り返すと、満足した笑みを浮かべて遊びを終え、棚に戻しておりました。子ども達は、日々成長し、変化を遂げております。その為、常に保育教諭は、省察を繰り返しながら、より良い教育・保育を目指して話し合い実践しております。全てが上手くいくことばかりではなく、子どもの姿を通して子ども達から学ぶ事も多々あります。また、保護者の皆様や地域の方々のお力をお借りして共にお子様の成長を見守り、共有し、喜び合うことが大切であると考えております。このように遊びを通して、仲間と共に育ち合ってまいりましたきりん組(5歳児)30名が、巣立ちの時を迎えます。レストランごっこ、卒園遠足等の行事で共に過ごす中で、5歳児の子ども達に目標を達成するための「意欲」「自己抑制」「粘り強さ」「自信」仲間と協力するための「社会性」「思いやり」等が育っているのを感じました。保育年数の一番長いお子様で6年間をこの園で過ごしました。『自分は、神様や周りの人から愛されている』という実感を携えて新たな一歩を踏み出してほしいと思います。ここで育まれた力はすぐに成果が出るものばかりではなく、10年後、20年後に表れるものもあると思います。30名の卒園児のこれからの成長を楽しみに心を込めて送り出したいと思っております。
 今年度も、保護者の皆様のご理解・ご協力を賜り感謝致します。1年間ありがとうございました。