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ホーム  > 園長コラム  > 子どもの今の喜びが豊かな未来を創る 

子どもの今の喜びが豊かな未来を創る 

園長 平野春江
 「ねぇ、見て!お月様が一緒についてくるよ。お星様も!」
 「あそこ見て!コウモリが飛んでるよ!」
 この言葉は、5歳児(きりん組)のお泊り保育1日目の『夜の散歩』での子どものつぶやきです。お泊り保育は、子ども達が友達と一緒に1泊2日をどのように過ごしたいのかを話し合うところから始まります。そして、日中、馴染みのある散歩コースを夜に歩いてみたい!という子ども達の想いから実現しました。子ども達は何故、夜の散歩を希望したと思いますか?春頃から、クラスでは、虫博士(虫大好き!虫の事を沢山知っている子)を中心に、虫に興味や関心を持っており、保育室にある図鑑や科学絵本等を毎日のように見ています。そうして得た知識の中で、昼間と夜間では、出会う虫が変わってくるということを知っていたのです。夜行性の虫に出会えるかも…という期待を胸に夜の散歩に出掛けました。薄暗くなった道を懐中電灯の灯りを頼りに、友達と手を繋いで歩きました。ワクワクと、ちょっぴり怖い気持ちが入り交り、繋いだ手にも力が入り、側にいた保育者にも心の内が伝わってきました。予想したように、日中に比べて活発に動く虫を見つけたり、暗闇を飛んでいるコウモリを発見したりと、興奮ぎみに友達や保育者と喜びや驚きを共有していました。そして、帰り道、Aさんが、目を真丸にして「ねぇ、見て!お月様が一緒についてくるよ。お星様も!」とつぶやいたのです。歩いている自分達と一緒にお月様も動いている様に見えたのです。更に、「そうだ!お月様やお星様も一緒にお泊り保育やりたいんだよ」と…。なんと可愛らしいつぶやきでしょう。
 1泊2日のお泊り保育を通して、その他にも様々な体験をしました。アクティ森で一人1匹鮎づかみをしました。自分で掴まえた鮎を現地の方に塩焼きにしてもらい昼食に頂きました。命の尊さを子どもなりに感じる時となりました。就寝前には、保護者の方からお子様宛に秘密の手紙がありました。保護者に代わって保育者がお子様一人ひとりに手紙を代読しました。お子様への愛が言葉で表現されており、聴きながら嬉しさや恋しさで涙するお子様もいました。家族と離れて過ごす中で、より家族の大切さを知る時となりました。この2日間は、グループの仲間と共に夕食作りをし、夜の散歩を楽しみ、お風呂準備をする等、寝食を共にする中で、仲間同士で気遣い、助け合い、力を合わせて過ごす姿がありました。友達を大切に思い、友達のために自らの心と体が動く子どもの姿に感動を覚えました。子どもの姿を通して神様の愛を感じました。
 当園の教育・保育の指針となる幼保連携型認定こども園教育・保育要領の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の中に以下の文章が記されております。
協働性  「友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりして充実感をもってやり遂げる」
 2日間のお泊り保育を通して、子ども達は、多くの学びと成長が得られました。
 最後に、お泊り保育のその後があります!「夜の散歩」が楽しかったB君が、家に帰ってからご家族にお話をしたそうです。大好きなご家族と楽しさを分かち合いたいと思ったのでしょう。その日から、ご家族の方とB君で「夜の散歩」を楽しんでいます。そこで、神様からの自然の恵みがありました。今にも羽化しそうな蝉の殻を発見し、そっと家に持ち帰り、翌朝、羽化する瞬間に立ち会えたそうです。親子で、素敵な時間を共有できましたね。
 8月は、74回目の終戦記念日を迎え『平和』を祈る時が与えられます。子ども達と共に戦争の恐ろしさを考えると
共に人への思いやりや平和の喜びを毎日の生活の中で感じられるような関わりを行ってまいりたいと思います。