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子どもを信じて待つ

園長 平野春江
 秋風が心地よい季節になりました。過ごしやすい季節となりますので、戸外に出る機会をたくさん設け、自然との交わりの中で五感を使って、楽しんでまいりたいと思います。先日、プール納めも無事に終えることが出来ました。乳児クラスは、クラス毎にこの夏、プール遊びを見守り導いて下さった神様に感謝の祈りを捧げました。幼児クラスは、年齢ごとに自分が頑張って取り組んだことを披露し合いました。みんなの声援が力となり、一人ひとりが力を出し切って取り組んでいるのが表情や全身の動きから伺えました。太陽のひかりと子どもの内より放たれるひかりが相まって生々たる輝きが子ども達から放たれておりました。最後に感謝の祈りを捧げ、皆でゼリー拾いゲームを行い、プールサイドで頂きました。
 さて先日、4歳児(ぱんだ組)の部屋で私が給食をいただいた時に『子どもって面白いな。子どもってすごいな』と思わず笑ってしまう、そして成長の喜びを感じた心温まるエピソードをご紹介します。4歳児では、子どもが給食のメニューを確認して、果物の皮や野菜の皮(枝豆等)のゴミが出そうな時には、各々が自分で判断して、それらのゴミを入れる紙パックをグループで1つテーブルに用意します。私が一緒に食べたグループの子ども達も準備をしていました。そして「いただきます。」をした後、Aくんが折り畳んである紙パックを手に取り「やるよ」と言って紙パックを優しく少しだけ広げました。すると、「はい」と隣に座っている子に渡し、受け取った子は「ありがとう」と言って、また優しく少しだけ広げ、また隣の子へ…そうやってグループのみんな全員が少しずつ広げて最後の子が、みんなの手が届くテーブルの中央に紙パックを置きました。この間、特に子ども同士で取決め等の相談もなく互いに暗黙の了解といった感じでした。『わぁ、すごいな。子ども達の中で暗黙のルールが出来ている…?!』と思い、担任に聞いてみました。すると担任は、喜びの笑みを浮かべ、ここまでに至ったプロセスを話してくれました。このグループの子ども達は、4月の頃から毎日のように、「紙パックは、ぼくが広げるんだ」「わたしだってやりたい」等と喧嘩になっていたそうです。自分の思いを主張することができると共に、相手の視点に立ち、相手がどんな気持ちかが分かり始める年齢とはいえ、まだまだ自分の思いを前面に出すため、時には手が出てしまったり、泣き出してしまったりという姿もあったそうです。その度に、担任が仲介に入り「そうだね。やりたいんだね。」と気持ちを受け止めながら、「みんながやれるようにするにはどうすればいいかな。」と繰り返し話をしてきたそうです。繰り返し、繰り返し…。その中で、自分達で考えて、今回のようなルールを考えたのだそうです。大人が、ルールを決めて子ども達に提案をして、トラブルを治めることは簡単ですが、担任の想いとしては、喧嘩になりながらも、子ども同士の関わりの中で、葛藤を繰り返しながら、仲間と共に考えて良い方法を見出してほしいという願いがありました。
 以前、読んだ本にこのような事が記されておりました。▼「学力試験で測定されているような認知能力は、広範囲な知性のごとく一部に過ぎない。……自分自身の感情や他人との関係をうまく処理する能力は知性の一部であり、しかもそれは人生を最終的に大きく左右する知性だ」(ゴールドマン著『EQ(こころの知能指数)』)▲そして、そう
した力は、日々の何気ない生活経験の中で子ども自ら学びとっていくものなのです。そのため、子どもの姿から『今、何を経験しようとしているのか』をしっかりと捉え、子どもを信じて待つ姿勢が大切となります。今後も、子どもから学ぶ姿勢を大切に子どもの力を信じて教育・保育をおこなってまいりたいと思います。

~聖隷こども園こうのとり豊田 教育・保育理念~
自己発揮できる環境の中で創造性を育てる