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主体的な学び

園長 平野春江 
 長雨の後には、小春日和の穏やかな日が続いておりますね。子ども達も待ってましたとばかりに戸外に出て思い思いに自分の好きな遊びを楽しんでおります。
 さて、先月は、パワフルフェスタ(幼児の親子・学童対象)のご参加ありがとうございました。今月の園だより(右下)にも掲載しましたが、アンケートでは保護者の皆様から温かなご感想や建設的なご意見を多数頂きました。中でも3,4,5歳児の異年齢競技についてのご感想を拝読して、この競技の趣旨が保護者の皆様にも伝わり共有できたことを嬉しく思いました。 『みんなが協力できる内容になっており、異年齢競技は見ていて可愛かった』『各競技、園での生活の一部を活かしているのがわかりほのぼのした』『異年齢競技では、泣けてしまうひつじ組(3歳児)に対して、優しく対応するきりん(5歳児)の姿を見ることができた。それぞれの良さを見ることができて感動した。勝ち負けではなく、子ども達が身体を動かすことを楽しんでいるということが伝わってきた』(アンケートより抜粋)異年齢の競技は、5歳児を中心に4歳児と共に、3歳児を優しくリードし、パワフルフェスタのテーマである『虫』の衣装を着せて変身させ、最後は段ボールに乗せて、4,5歳児が押してゴールを目指すという内容でした。行事は、日頃の教育・保育の延長線上に位置しており、日頃の異年齢の関わりを盛り込んだ競技内容にしました。5歳児は、6月頃より毎日、午後のおやつ時に、小さい組(0~4歳児)の部屋に数名ずつ交代で入り、お世話をしたり一緒におやつを食べたり遊んだりして夕方まで、一緒に過ごす時を設けてきました。家庭においては、兄弟の末っ子であったり一人っ子であったりと年下の子との触れ合いに慣れていない子もおり、初めの頃は5歳児の方が緊張気味で、どう関わってよいのか分からず戸惑う姿もありました。しかし、経験を重ねていく中で、保育者の関わりを見て真似て、そして考えてやってみるという姿が見られるようになり同時に表情も和らいでいきました。先日も5歳児の男児が1歳児の部屋で甲斐甲斐しく動く姿を見ました。1歳児の子の手を引いてトイレに連れて行き便器に座らせてあげ「出るかなぁ」と一緒に待ってあげたり、ズボンを履かせてあげたり、手洗いを手伝ってあげたりと、少々、手を出しすぎるぐらい一生懸命お世話をしてくれておりました。1歳児の子も、いつもは自分でやれるところもお兄さんにやってもらい、心地よさを感じているようでした。保育者が関わり方を教えるのではなく経験を重ねる中で5歳児自身が考えたり試しながら学んでいけるように見守ってきました。きっと、この後、1歳児の子が自分でやれところがもっと分かって、それに応じたお手伝いをしてあげるようになっていくことでしょう。
 イソップ物語に『からすと水差し』というお話がありますのでご紹介します。
▼ノドが渇いたカラスが街角で水さしをみつけました。でも、水さしのなかには水が三分の一ぐらいしか入っていないため、くちばしが届かず水が飲めません。そこで、カラスは水さしを傾けて水を飲もうとしましたが、うまくいきません。もう、カラスはノドがカラカラです。「目の前に水があるというのに、飲めないなんて悔しい。でも、絶対に飲んでやる」こう考えたカラスが、ふと地面をみると小石がたくさんあったので、それをくわえて水さしの中に入れました。すると、何度か繰り返すうちに、水の表面がだんだんと上がってくるではありませんか。そして、とうとう、カラスはたっぷりと水を飲むことができたのです。▲
 この物語のように、子ども達は生活や遊びの中で「どうなっているんだろう」「やってみたい」等、考えたり試したりすることを繰り返す過程の中で学びが深まっていきます。今後も、子どもの主体的な学びの姿勢や態度を引き出していけるよう援助してまいりたいと思います。