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主体的に生活をする

園長 平野春江

梅雨の合間の夏空がまぶしい季節となりました。プール遊びを楽しむ子ども達の歓喜の声が聞こえてくるようになりました。夏の間、コロナウイルス感染症対策を図りながら、この時期ならではのプール遊びや水遊びを楽しみたいと思います。
 さて、1歳児(りす組)は、初めてプールに入るお子様もいます。数名ずつ順番に入りますが、思いっきり入っていき手で水面をバシャバシャと叩き、水しぶきが顔にかかっても気持ちよさそうに歓声をあげている姿も見られます。そんな中、Aさんは、シャワーを浴びる前から大粒の涙を流し泣いていました。プール遊びの場所に近づくことを拒んでいるようでした。そこで、Aさんには、シャワーを足のつま先に少しずつかけていき気持ちの良い所で、その日はプール遊びを終えました。同じくプール遊びに消極的なBさんには、「見ていてね」とAさんのシャワーの様子を見ていてもらいました。『あれなら、大丈夫かな…』と思ってくれたのでしょうか、自分からシャワーの所まで行く姿がありました。プールに入ることに抵抗のあるお子様用に水遊びができるたらいも側に用意して、この夏ゆっくりと時間をかけて個々に応じて楽しめるように援助していきたいと思います。プール遊びの事例のように、一人ひとりのお子様には、資質や能力等にそれぞれ特徴があります。10人いれば10通りの育ちがあります。遊びや活動に対しても、それぞれの反応や姿があります。保育教諭は、一人ひとりの子どもの姿を受け入れ、どうしてあげたら成長に繋がるのかを考えながら教育・保育を計画し進めていきます。また、当園で大切にしているのが日課です。『子どもの自己決定を大切にする』ために、子どもが生活を見通せることが重要となります。乳幼児期の子どもは、たとえ時計の数字が読めたとしても、時間軸を理解することは、とても難しいことなのです。そのような発達の中で、子どもが生活を見通せるためには、時間軸を目に見えるようにすることです。それが日課です。子どもが、自分のまわりの人たち(保育者や友達等)の行動の変化を目で見ることで時間を確認することが出来るのです。例えば、保育者がエプロンや三角巾を着け始めたら『そろそろ給食かな…』と感じたり、自分がいつも食事をしている机に保育者がテーブルクロスを掛けたら『いよいよだな…』と思ったり、自分よりも前に食事をとる友達の姿を目にして『次は、私の番』と分かるのです。先日も1歳児のクラスで、このことがわかる子どもの姿が見られましたのでご紹介します。1歳児クラスは、3名ずつ順番に給食を頂いています。起床時間や登園時間等を考慮して、めやすとして食べる順番を決めています。Aさんは、後半のほうで食べるため、私と一緒におままごとで遊んでいました。すると突然、Aさんの動きが止まり、はっとした表情になり自分の顔を何度も指さしました。最初何を伝えたいのか分からずに私はAさんを観察し続けました。Aさんは、遊んでいたおままごとを自ら片付けて、トイレの所に行きました。その姿を見てやっと理解が出来ました。実は、Aさんがおままごとで遊んでいる時に担当の保育者がAさんよりもひとつ前に食べるお子様の名前を小さい声でそっと呼んで食事に誘いかけていたのです。Aさんは、自分のまわりの人たち(保育者や友達)の動きの変化から『もうそろそろ給食を食べる時間』という見通しが持てていたのでしょう。保育者の小さな声を聞き逃さず自から遊びを終え、自から給食の準備を始めたのです。毎日繰り返される生活の日課を大切にすることで『子どもの自己決定を大切にする』ことに繋がります。この繰り返しの中で自分で考えて主体的に行動できる能動的な資質が育っていくのです。このことは、園の理念にも繋がります。
聖隷こども園こうのとり豊田 教育・保育理念より~
一人ひとりの違いに気付きお互いを認め合いながら共に主体的に生活をする~