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子どもと保育者の協同的な関係

園長 平野春江
 美しい茜色の夕日が見られる季節となりました。先日、「この地域に住むものですが…」と電話を頂きました。その方が「ステンドグラスがついている緑色の三角屋根が私の住んでいる所から、とても綺麗に見えます。素敵な屋根ですね。園では、あの部分を何と呼んでいますか?私は、三角塔と呼んでいるのですが、その呼び名でもいいですか?」とおっしゃられました。蒼空や夕焼け空に三角屋根が綺麗に映し出されているようです。新型コロナウイルス感染症対策のため、今は、地域の方との交流が想う様に出来ない状態にありますが、違う場所から同じものを見て美しいと感じている方がいて下さると思うだけで、温かな気持ちになりました。当園は、地域の方々に支えられ、見守られ、この地で、安心して教育・保育を行う事が出来ています。一本の電話から、地域の方との繋がりを感じられた出来事でした。
さて、8月に予定していました『夕涼み会』は、新型コロナウイルス感染症対策の3密を防ぐことが難しいため、保護者会役員の皆様との協議の上、中止させて頂きました。その代わり、子ども達にとって楽しい経験が出来るように教育・保育の中で、各年齢の興味や発達に応じた夕涼み会ごっこを計画しました。その中から幼児クラスの様子をお伝えします。
「いらしゃいませ~りんご飴は、いかがですか~」「お餅のなる木のお餅ですよ~」「ヨーヨー屋さんですよ~」
当日は、3,4,5歳児のお店屋さん役の子ども達の声がホールに響き渡りました。夕涼み会ごっこは、子ども達と保育者との話し合いから始まりました。「どんなお店屋さんをやりたい?」との問いかけに子ども達は、自分の経験を基に自分の思いを伝えます。お友達の意見を聞きながら、アイディアが浮かぶ子もいます。そうして決まったものを今度は、保育者と共に子ども自身が形にしていきます。主体的にやり始めた子から仲間へと広がっていき、2週間程度かけて作り上げていきました。
 お店での役割決めも子ども達で考えて決めていきました。そして当日を迎えたのです。
今年度、聖隷のこども園・保育園では、ジャン・ピアジェ(スイスの心理学者1896-1980)の理論をもとにした構成論について学びを進めています。構成論に基づく教育が第1の方針としてあげているのは、『他者を尊重する態度がいつも行動に現れているような社会・道徳的雰囲気を育てなければならないということ。』(構成論のいう道徳的な子どもとは、彼らの生活の一部である人間関係に関する問題を努力して解決しようとする子どものことを意味する)そして、構成論を実践する保育者と子どもの関係は、『協同的な特性をもっていること。』(著書:子どもたちとつくりだす道徳的なクラスより抜粋)です。これは、当園のキリスト教保育の理念とも繋がるところがあります。子ども自身が保育者や友達の助けを借りながら、共に育ち合いながら、生活や遊びを創り上げていく。そのような毎日の中で、お互いを認め合い尊重する気持ちが育まれていくということを願いながら、微力ではありますが、一人ひとりのお子様に応じて、時間をかけて丁寧に援助しております。
 さて、夕涼み会ごっこには、続きがあります。数日たったある日、3歳児のAさんが、「園長先生、私ね、パパとママと一緒にお家でチョコバナナとりんご飴とお餅のなる木のお餅を色紙で作ったよ。」と嬉しそうに話してくれました。娘さんから楽しかった夕涼み会ごっこの話を聞いた保護者の方が、ご家庭でもお子様と一緒に作って楽しさを共有して下さったようです。素敵なご家庭ですね。