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ホーム  > 園長コラム  > 遊びの重要性と保育者の役割 

遊びの重要性と保育者の役割 

園長 平野春江
 空が高く、雲がくっきり見える、すがすがしい季節となりました。自然の移り変わりを感じながら存分に戸外遊びや散歩を楽しみたいと思います。
 さて、10月24日(土)に3歳以上児対象のパワフルフェスタが行われました。当日は、秋晴れでしたが、前日の雨により青城小学校のグランドの状態が良くなかった為、体育館で年齢ごとの開催となりました。(3密防止)前日に体育館で行う事を決定したのですが、子ども達や保護者のことを想うと職員も残念な気持ちでおりました。そのような中、A君のお母様が「息子に、体育館になるかもしれない事を話すと、息子は『お母さん、ぼくは良いと思うよ。だって、体育館なら、ぱんだ組の時にやっててわかるから。みんなも嬉しいと思うよ』って言ってくれたんです。」とお話して下さいました。子どもから学ぶことって本当に沢山あります。その話を伺い、職員も気持ちを切り替えることが出来ました。今年度は、絵本『11匹のねこ』をテーマに楽しみました。当日まで年齢に応じて物語の世界を体験していきました。登場人物との手紙のやりとりや足跡が部屋に残されている等の仕掛けを通して、子ども達はどんどん話の世界へ入り込んでいきました。同時に、意欲に繋がるような言葉や環境を用意することで、一人ひとりが楽しみながら目標を持って取り組む姿が見られていきました。きりん組(5歳児)のサーキットの鉄棒は、前周りや逆上がり、足抜き周り等自分が取り組んできたものを披露しました。サッカーが大好きで毎日のように友達と楽しんでいるBくんが、ある日「俺、今日はサッカーやらない。鉄棒練習するから」と自分で決めてやり始めました。Cさんは、遅番の時間までずっと繰り返し挑戦する姿が見られました。Dくんは、リレーでもっと早く走れるようになりたい…との思いから早朝、お父さんと一緒に走る練習をしていました。
ひつじ組(3歳児)の子ども達も日頃から体を動かすことが大好きです。日常の遊びを基に競技内容を組み立てましたので、はじめてのパワフルフェスタでしたが、安心できる担任と一緒に保護者の温かな見守りの中、楽しむことが出来ました。
 ぱんだ組(4歳児)の子ども達は、登場人物からの手紙や仕掛けを目にする度に、目をまんまるにして「ねぇ、見て!この足跡は、ぜったいへんなねこ(登場人物)だよ!」と興奮気味に友達や担任とイメージを共有していました。保護者の方もお子様の話に丁寧に耳を傾けて下さる様子を拝見し、当日は子ども達も保護者も笑顔溢れる時間を過ごす事が出来ました。
 パワフルフェスタは、日頃の教育・保育の延長線上にあります。つまり遊びが基になっています。『遊び』とは、自らやること、やりたいだけやること、面白いからやること、自発的なものです。遊びの動機づけ(意欲ややる気)には、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」に分けられます。外発的とは例えば、先生が褒めてくれるなら褒められたいという気持ちが原動力になるのです。内発的とは、行動の中に報酬があること、行動自体が面白く行動そのものの持つ魅力が原動力となっている状態です。外発的な動機としての環境を、子ども達が自分のものとして取り込んだ時、内発的な動機になるのです。子どもが、やりたい時にやりたいようにどこからでもできて、モデルとして動いている友達がいて、それをそこでずっとやり続けているという歴史的文化もある、そういったことが重なって初めて、子どもにとって内発的な動機を高める環境になっていきます。今回のきりん組の鉄棒での子ども達の姿もまさにそうです。保育者は子どもが遊びの中でどう自分の能力を向上させていこうとしているのかを行動の中から読み取り、必要な教育的要素を環境構成に込められるように努めています。
 なんと!なんと!5歳児のEさんのご家庭で、お子様が折り紙で魚を作り、お手紙と共に置いておくと、
翌朝、魚が食べられており『11匹のねこ』から手紙の返事があったそうです。ご家庭にも『11匹のねこ』
が来てくれたのですね!              (参考文献:園と家庭をむすぶ〝げんき“NO.144)
 ※新型コロナウイルス感染症対策のため、保護者の皆様には多くのご協力を頂き感謝申し上げます。