グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 園長コラム  > 子ども参加

子ども参加

園長 平野春江
 園庭の金柑が色づき始め、それに気付いた5歳児数名の子ども達が「金柑がオレンジになったから食べたい!」と知らせにきてくれました。自分で選んで決めたものを採り、その場で消毒して頂きました。「金柑ってどこ食べるの?」と初めて食べる子も多く、「どうかな。自分で食べて試してみて」と声を掛けました。「美味しい」「わぁ苦い」等感想は様々でした。
 さて、11月21日(土)に、聖隷保育学会の中間報告会がリモートにて行われました。家庭保育のご協力ありがとうございました。当園は、『子どもの育ちを踏まえた教育・保育のありかた~自分で考え、自分で行動する~』を研究テーマとして進めています。中間報告会では、幼児の主体性を大切にした教育・保育の中の給食に焦点を当て発表しました。現在、幼児クラス(3,4,5歳児)では、給食の時間を一斉ではなく決められた時間軸の中で、一人ひとりが自分で決めたタイミングで食べる方式をとっています。毎日必ず行う食事の時間だからこそ、子どもが『お絵かきの女の子が描き終わったら、給食を食べて続きは食べ終わったら描こうかな』等と自分は遊びをどのあたりで切り替えて食事に入ろうか、今日は誰と一緒に食べようか等一つひとつ自分で決めることが出来ることを大切にしています。
 学びや育ちは、その学ばなくてはいけないことだけが真ん中にあるのではなくすべては生活する中の文脈や物語がつながっており、その中で学びと出逢います。給食の場面も象徴的かもしれません。遊びと生活、学びと行為とシンプルにわけることができません。じっくりと時間が流れている中で遊んでいた子ども達が自分で、遊びの区切りをつけ徐々にお昼の準備に向かいます。一斉に時間で区切られるのではなく、徐々に流れるように場面と時間が変化していきます。決められたことをみんなで守ることで維持される安定ということではなく自分たちが、生活を作っているということの安定を子ども自身が感じられるようにと願っています。
 ユニセフ・イノチェンティ研究所が9月3日に発表した報告書『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度』がホームページに掲載されています。日本の「子どもの幸福度」の総合順位は38か国中20位です。身体的健康は1位であるにもかかわらず、精神的幸福度(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率等)は38か国中37位です。これらの結果も踏まえて教育評論家・法政大学名誉教授  尾木 直樹 氏のコメントが掲載されていましたので一部ご紹介します。
▲「子どもの権利条約」にも謳われている子どもの「参加する権利」が、あらゆる場面で重要だと思います。一斉主義を脱し、子どもも学校も多様であるべきです。そして、子どもの声を聞き、あらゆる面で子ども参加が実現すれば、おのずと幸福度は上がっていくと思います。▲
 園の教育・保育理念に掲げています一人ひとりの違いに気付きお互いを認め合いながら共に主体的に生活をすることを大切に子ども自身が自分で考え、行動できる時間・空間・環境を整え、出来る限り子どもの声(姿)に耳を傾け、子どもが参加して生活・遊びを作り上げていけるように今取り組んでいます。そのような毎日を繰り返していく中で、状況や場に応じた集団に子ども自身が主体的に入ってきてくれると考えております。行事等で一斉に会食する際、防災訓練等で大勢で話を聞く場面等では、保育者の話に耳を傾け、状況に応じた行動をする子ども達の姿が見られます。集団という外枠を形作ってその中に子ども達をはめこむのではなく、子どもの力を信じて待ちます。大人が子どもの声に耳を傾けると子どもの発想の豊かさや面白さに驚かされることがあります。保育者は毎日そのような子どもの声や姿から沢山の喜びと学びをもらっています。きっと保護者の皆様も子育ての中において、お子様の言葉や姿に一喜一憂されていることと思います。園とご家庭とがお子様を中心において成長や姿を見守っていきたいと思います。是非、御家庭でのお子様の様子を聴かせて下さいね。
 今月は、クリスマスを迎えます。イエス様の御降誕の物語を通して神様の温かな愛に触れる時となりますようにと祈ります。