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学びの評価

園長 平野春江
 暖冬とはいえ、やはり厳しい寒さが身に染みますが、春陽を見つけて戸外遊びを楽しんでいきたいと思います。
 さて、時折、各クラスの保育室を回って子ども達が過ごしている様子を見に行きます。子ども達のどんな姿が見られるかなと心躍らせながら向かいます。先日、ひつじ組(3歳児)の子ども達が数名でメモリーカード(絵合わせ)ゲームを楽しんでいました。3歳児の発達や育ちの面白さがわかる可愛らしい姿が見られましたのでお伝えしたいと思います。メモリーカード(絵合わせ)ゲームは、色々な車の絵が登場するもので、裏にして置いてあるカードをめくって絵を合わせていく遊びです。私が、後ろからそっと覗いていると、Aさんが、1枚だけめくったところでした。1枚めくったあと2枚目をめくるまでがとても長いのです。にこにこしながら楽しそうにAさんの時間が流れていきます。Aさんのゆったりとした時間の流れに対して一緒にゲームをしている友達は誰ひとりとしてせかすことなく待っていてくれます。Bさんは、自分の順番が回ってくると嬉しそうに自分が目についたカードを2枚めくります。「やったー!」と、偶然当たることもありますが、自分以外の友達がめくる時には、見ていません。自分以外の友達のめくるカードも覚えておくと良いことまでは、まだBさんの中では関連付けが出来ていないようです。Cさんは、自分以外の友達がめくる時もじっと見ていて、次に自分の順番が回ってきた時には、そのことも踏まえてカードをめくっています。Dさんは、ゲームには参加していません。側で遊ぶ様子を見ています。実際には参加していないのですが、Dさんの表情を観察していると、誰よりもゲームを理解しているのがわかります。それでも今は見ているという形を自分で選択して楽しんでいます。こうして書き連ねてみますと、一人ひとりの発達はそれぞれに違いますが、参加している(側で見ているDさんも含めて)すべての子ども達がメモリーカードゲームを主体的に楽しんでいるのです。これが、3歳児の育ちの面白さです。さて、このような遊びの場面に出くわした時、大人は、どのような関わりをなさいますか?もしかしたら、Aさんに対して、「ほら、みんなが待っているから早くめくって。」という言葉を。Bさんに対して、「ほら、友達がやるのも見ていないとわからないよ。」という言葉を。Dさんに対しては、「見てるだけではなくて一緒にやろう。」という言葉をかけるかもしれません。しかし、保育者は、子どもの育ちを見守り、そして待ちます。その際には、一人ひとりをよく観察し、『どんな事に心が動いているのか』『今、何を楽しんでいるのか』『育ちの経験を活かして新たにどんな事に気づいているのか』『何が育とうとしているのか』等の理解を深め、関わりを考えたり環境を整えたりします。乳幼児期の子どもの育ちを評価する時、○○が出来た、○○が出来ないという個別の成長を見るというよりも知識や技術を獲得する過程において成長を見ています。教育・保育の指針となる幼保連携型認定こども園教育・保育要領には、こども園において育みたい資質・能力として①知識及び技術の基礎②思考力、判断力、表現力の基礎③学びに向かう力、人間性等と記載されています。これらは、遊びや生活の中で、主体的に繰り返し取り組む中で、友達と共に活動する中で育まれていきます。遊びというのはとても普遍的なもので、子どもにとって遊ぶとは「おもしろさを発見すること」です。メモリーカードゲームをしている3歳児の子ども達も繰り返し楽しむ中でどんどんおもしろさを発見しながら遊びを深めていくと思います。
最後に…3歳児の担任からその後の報告がありました。いつも側で見ているDさんですが、何気ない友達の声掛けがきっかけとなり参加することが出来ました。
「Dくん!いつも私がするとき見てくれてるから、今度はDくんがやっていいよ!(見てあげるから)」 魔法の言葉ですね。