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最小限の援助

園長 平野春江
 静岡県にも新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が発令され、磐田市の感染者も日を追う毎に人数が増え続けている状況にあり、教育・保育を行う上でも、感染防止対策や園児の健康観察をより一層強化しながら行ってまいりたいと思います。早期対応が大切となります。日頃、お子様の側に居る保護者様や職員が『何か、いつもと違う様子だな…』という少しの変化に気づく目が大切であり、確かな目でもあると感じております。ご家庭や園でのお子様の様子を共有しながら対応してまいりたいと思います。デルタ株は今までの新型コロナウイルス感染症より感染力が強いとされています。大人(保護者・外部関係者・職員等)の健康管理も継続して行っていきたいと思います。風邪症状のある方は、園への入室をお断りさせて頂きます。事前に園へご連絡頂けましたら、お子様を玄関にてお預かりさせて頂きます。ご理解ご協力の程よろしくお願い致します。
*緊急事態宣言中の家庭内保育のご協力ありがとうございました*
 さて、今回は、1歳児Aさんの12分50秒間の驚くべき姿を通して乳幼児期の学びについて保護者の皆様にお伝え致します。1歳児Aさんは、人と関わることが大好きな笑顔の素敵なお子様です。何でも自分でやりたい思いがあり、保育教諭の手伝いを求めず自分でやろうとする姿があります。(保育教諭はさりげなく援助したり環境を用意します。)ある日、Aさんが、『おんぶひもで人形をおんぶする』という行為を自分の力でやろうとし始めました。まずは、人形の顔を下に向けた状態で床に寝かせ人形の背中におんぶひもの布を当てます。この際、長い紐をまっすぐに伸ばすだけでも一苦労です。そして自分の背中に背負わせようとするのですが、おんぶ紐から人形が外れてしまいます。(この行為を何度も繰り返しました。)繰り返す中で、今度は少し高い台の上でおんぶ紐と人形をセットしました。そして自分は、床に座って段差を利用して背負ったのです。(高い台の上の方が背負いやすいことに気付いたのでしょう)一瞬ですが人形が持ち上がると『よいしょっ』と自分の膝をばねにして人形を持ち上げる動作をしました。(これは、大人が赤ちゃんをおんぶする際にやる動作ですね。子どもは、大人のことをよく見ています。)あ!残念。またしても人形が落ちてしまいました。すると今度は、台の角を利用して人形を斜めに寝かした状態で背負ってみます。集中して繰り返しやってみようとする姿に感動し、途中からカメラを回しました。12分50秒の間、上手くいかなくてもあきらめることなく試行錯誤しながら何度でもやってみようとする姿が見られました。
 乳幼児期は、遊びを通して「次はこうやってみようかな」と繰り返しやってみることが発達を促す上でとても重要となります。専門職である保育教諭は、子どもの姿を観察し、何に興味を持ち、何が育とうとしているのかを見極め、関りや環境を考えていきます。子どもが自力では到達できないけれど、大人や年上の子どもや周りの友達の手助けによって達成可能な範囲をレフ・ヴィゴッキー(ロシアの心理学者)は、発達の最近接領域(ZPD)と呼んでいます。子どもの発達を助長するためには、子どもに何が育とうとしていて何
につまずいているのかを見極め、手掛かりや足場(最小限の援助)となるものを用意します。子ども自身が自分でやり遂げた(思考した)という満足感や自信が得られるように今後も主体性を大切に見守ってまいります。
~聖隷こども園こうのとり豊田 教育・保育理念より 『自己発揮できる環境の中で創造性を育てる』~