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全部自分で出来なくてもいい

園長 平野春江
 園庭の金柑(きんかん)が黄色に色づき、初冬の園庭に彩りを加えてくれています。熟した金柑が地面に落ちていると3歳児の子ども達が「拾わないといけない!小さい子が食べちゃうといけないから」と拾ってくれる姿が見られました。日常の中に小さい子へのいたわりや優しさが溢れています。
 さて、キリスト教保育を行っている当園では、教育・保育の中で子ども達と礼拝の時を持ちます。3歳児以上の子ども達は、週のはじめ礼拝をまもり、祈りをもって1週間が始まります。3歳児は、クラス礼拝を行い4,5歳児クラスは合同で行っております。礼拝では、聖句を唱えたり、讃美歌を歌ったり、神様のお話を聴いたり、お祈りをしたりします。お話は、日本キリスト教団 中遠教会 牧師 兵藤辰也先生が月1回来園してお話をして下さいます。その他は、園長や主幹保育教諭、保育者が話をしています。今回は4,5歳児の礼拝の様子をお伝えします。毎月第4週目の月曜日、兵藤先生がお話をして下さいます。11月の礼拝でこんな話をして下さいました。内容を抜粋してお伝えします。『パウロさんという人がいました。パウロさんは重い病気を患っていました。そのため毎日の生活に生きづらさを感じておりパウロさんは、神様に「病気を治して下さい」とお祈りをしていました。そんなある日、イエス様がパウロさんのいる街にやってきます。そこでパウロさんは、イエス様に「イエス様、私は体が弱いのです。病気を治して下さい」とお願いをしました。イエス様はパウロさんの願いにこのように答えました。「あなたはそのままで大丈夫です。弱いままで良いのです。弱いところにこそ神様が恵みを与えて下さいます。」お話の最後に兵藤先生が「私たちは自分のことを良いなと思う所と、困るなと思う所があると思います。それは、みんなもっているものです。困るところは助けてもらったり、助けたりすればいいのです。全部自分で出来なくてもいいのです。助けてもらえばいいのです。そういう私達のことを神様はいつも見ていて下さり守って下さいます。そして一番良い時にいちばんすばらしい答えを与えて下さいます。」とのメッセージを子ども達に届けて下さいました。兵藤先生のお話が始まると子ども達は、すーっと海面の波が引くように話に引き込まれていき静かに耳を傾ける姿が見られました。もしかしたら、イエス様が病気を治してくれると思って聞いていたお子様もいたのかもしれません。『そうか…病気は治さないのか。そのままでいいのか。弱いままでいいのか。神様がそのままのパウロさんを守ってくれるのか…』と驚いたお子様もいたのかもしれません。お話を聞いたその時に何かを感じ取るお子様もいれば、成長していく過程で、様々な経験の中で繋ぎ合わせて感じ取るお子様もいるのではないかと思います。子ども達は、入園したその日から同じクラスの仲間と1年1年を共に過ごしながら成長していきます。一緒に毎日を過ごし年月を重ねる中で、自分の周りにいる仲間の存在に気づき、自分と同じではないということにも少しずつ気づき、相手のことを知ろうとします。その中で、『この友達は、ここを手伝ってあげれば、後は一人でも出来る』等と理解して出来ないところだけを手伝ってあげたり、泣いている友達がいれば自分も同じような表情をしながら「どうしたの?」と優しく声を掛けたりする姿も見られます。それは、けっして同じ子どもだけがやってもらっているのではなく、やってもらう時もあればやってあげる時もあるのです。同じ時間を過ごしながら一人ひとりの違いに気づきお互いを認め合いながら共に育ち合うという事を大切にしております。
 今月は、クリスマス祝会があります。今週は第1アドベント礼拝を迎えました。年齢に応じた内容でお子様が製作した献金箱をご家庭に持ち帰って頂きました。日本の被災者や世界の貧困等にも目を向け『遠いところにいる友の為に私たちができること』を見つけて献金という形で気持ちを表すことができたらと思っております。アドベントを通してご家族でも優しい気持ちでクリスマスが迎えられますようにと心より願っております。