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優しい声

園長 平野春江
姉「かばより ちいさい かばのこ」
妹「かばのこより ちいさい かめのこ」
母「かめより ちいさいもの なんだ?」
姉・妹「あぶく!(顔を見合わせ声を揃えて)」
妹「じゃぁ、今度は私ね!」「僕は紙の帽子をかぶり・・・」
姉「新しいラッパを持って」
母・姉「森に出かけました(顔を見合わせ声を揃えて)」 
我が家の母と子(二人)の会話です。ある日の食卓で、何となく始まった心躍らせるクイズ大会です。この後も永遠と続きました。会話を読まれてピンときた保護者の方もいらっしゃると思います。このクイズは、絵本クイズです。記憶に残っている絵本の言葉から始まりあとに言葉を続けていくクイズです。現在22歳と18歳の娘に絵本の読み聞かせをしたのは、10年、15年以上も前の事になりますが、娘達が大好きでよく読んであげていた絵本の言葉を今でもはっきりと覚えている事に驚きました。絵本の力は凄いですね。私も含めて一瞬であの頃の記憶が心地よさと共に蘇ってきました。共通の記憶を分かち合えた瞬間は喜びに満たされました。仕事と家事と子育てで忙しくしていたあの頃、絵本を読むひとときは本当に幸せな時間でした。お話が終わって、そっと絵本を閉じる時、娘たちは満ち足りた表情で思わず吐息をもらす時もありました。同時に読み聞かせをしている私の心も満ち足りていくのを感じていました。これが絵本の魅力です。絵本は子どもと読み手(親や家族身近な大人等)の絆を豊かに育んでいくものだと思います。絵本を読み聞かせる言葉によって、子ども達は自分が必要とされている愛されているという喜びを感じることができると思います。読んでくれた人の優しい声によって紡がれ共有した時間は、生きる糧となって、きっとその子の生涯を支え続けてくれると信じております。そして絵本は子どもだけに恵みをもたらすのではなく、子どもと一緒に絵本を楽しむ親や大人たちにとっても大きな恵みをもたらしてくれることは経験者として実感致します。園でも絵本の時間を大切にしています。乳児(0,1,2歳)に絵本の読み聞かせをする時には、子どもと保育者が1対1で膝の上で座らせて行うようにしています。絵本を通して絆を豊かに育んでいくためです。一人ひとりを大切にした絵本の読み聞かせをしたいとの思いがあります。幼児クラスでも子どもの求めに応じて1対1で読む機会も大切にしています。よく見かける光景は、1階の絵本コーナーで、保育者はもちろんのこと、看護師や事務員、主幹保育教諭等が1対1で絵本の読み聞かせをしている姿です。絵本の読み聞かせをすることで互いに心の栄養をもらっているように思います。子どもにとっても職員にとっても豊かな時間です。
 今、コロナ禍により家の中で過ごす時間も増えていると思います。テレビやインターネットメディア等をお子様が視聴する時間も増えているのではないでしょうか。それはやむを得ない事だと思います。しかし、それらの視聴は一方向の関係です。絵本は双方向の関係なのです。一冊の絵本は、時間にすればほんの短い時間です。その短い時間が貴重なかけがえのない時です。夜寝る前の日課の数分を絵本の読み聞かせに使って頂ければと思います。数分の日課が生きる糧となっていくと思います。
聖隷こども園こうのとり豊田教育・保育理念より
~愛されて愛する心を知りお互いが大切な存在であることを知る~