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9月コラム 実体験から学ぶこと

実体験から学ぶこと

 先月は夏季特別保育にご協力いただきありがとうございました。今年は天気の急変が多く、予定の変更を余儀なくされた方もいたのではないでしょうか。人間にはどうすることもできない「自然」の偉大さを感じました。

 8月には終戦の日を迎えることもあり、「かわいそうなぞう」の絵本を年長児のクラスに読み聞かせに行きました。大人の方も涙してしまう、昔からある絵本です。初めは何の気なしに見ていた子どもたちも話が進むにつれ、真剣な表情に。絵本の最後にあえて何も特別な話をせずに終わりましたが、その後で「戦争なんておれがやっつけてやる!」と言っていた子がいました。言葉は乱暴かもしれませんが、大事なことが伝わった気がしました。
 子どもは、実体験を通して物事の秩序を学んでいきます。自分が体験し、感じたことが学びになっていくのです。戦争の体験は絶対にないほうがいいのですが、知っていくことは大事で、そこから命の大切さや、人を思う心のあり方を感じてほしいと思いました。

 先日、ある職員とこんな話をしました。「そういえば、葉っぱで指を切る子が少なくなったね。」と。私たちが子どもの頃はしょっちゅう葉っぱ(特にススキ)で指を切った気がします。どうしてだろう?と考えた時、散歩に出ると、歩きながら葉っぱを触る行動に対してつい無意識のうちに「指切るよ!」と言っていたかもしれないと…私たちの何気ない一言で子どもの経験を妨げていたことに気付きます。痛い思いはしない方がいいのかもしれませんが、でもこんな体験を通して知っていくことが多いのだと思います。もし葉っぱで指を切ってしまっても「痛かったね。この葉っぱはこうなるんだね。」とその体験を共感していくことが大事なのではないでしょうか。

 子どもには、その時にしか発達しない力があります。興味を持ったその時に十分に経験させてあげないと、その興味はなくなり、その時につくはずの力がつかないそうです。大人の何気ない言動でその力を奪ってしまうことがないように、年齢や興味に合った環境を作っていかなくてはいけませんね。そして、なにより大人の関わりが重要なのだと思います。

岡田 絵里子