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【連載中】メタボゼミナール

第1話 新たな闘い

スタッフブログの読者の皆さま。お元気ですか。
本年2月をもって完結したメタボ戦記ですが、その後どうなったか気にされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分自身のことを申し上げれば、現在もリバウンドの徴候はなく、穏やかな日々をおくっています。もしかしたら「新たな闘い」という表題のなかに、リバウンドとの苦闘を期待したかたも少なからずいたかもしれませんが、安心してください・(以下略)。
さて、以前のメタボ戦記では自分自身のことばかり書き綴っていたわけですが、世間というか、現代社会のメタボを巡る環境はどのようになっているのでしょう。ここ数年の栄養学の世界は、激動の時代を迎えており、数年前まで常識とされていたことが覆るような事態が頻回に起こっています。その一つの例としては、写真にありますように、脂肪悪玉論のはっきりとした否定であります。目玉焼きとベーコンの絵は、1984年のアメリカ「TIME」紙の表紙です。食べる脂質を減らしましょうというメッセージでした。しかし30年後同紙において「バターを食べましょう。なぜ科学者たちは脂質を悪玉と誤認したのか」という内容を特集しています。現在は、1980年代からアメリカの国策であった脂質の摂取量削減が方針転換され、脂質をもっと摂取したほうが良い(その代わり糖質の摂取量を減らす)という流れに変わってきています。
今後このコーナーでは新しい栄養学や日本ではまだほとんど知られていない新しいダイエット理論、私が注目している食材などを紹介していきたいと思っています。
ご期待ください。

2016年10月1日 診療部U

第2話 肥満の方程式は打ち破られるのか?

さて、現在肥満の原因について、一般には以下の3点が考えられているのではないでしょうか。

定説1. 消費する以上のカロリーを食物から摂取しているから(=カロリーオーバー説)
定説2. 摂取したカロリーを運動で消費しないから(=運動不足説)
定説3. 脂質の摂取が過剰だから

まず定説1と定説2ですが、いわゆるエネルギー出納という考えに基づいているような印象を受け、いかにも科学的に思えます。定説3に関しては、なんといっても肥満の方はお腹周りを中心にたっぷりと脂肪が貯まっているので、食べる脂質が過剰なのではないかというのは感覚的に正しいような気がします。これが事実なのであれば、食事のカロリーを控え、運動などで体を動かし、脂質の摂取を減らせば自然と肥満は改善するとの解を導き出せます。幸い脂質の1グラムあたりのカロリー量は9キロカロリーで、炭水化物とタンパク質は4キロカロリーといわれているため、脂質の摂取量を減らせば自ずと摂取カロリーは減少することになり、1と3を同時に解決できそうです。そのためカロリー制限をする際は食事全体のカロリーを減らし、その中でも脂質の摂取制限つまり脂質の摂取割合を下げる方向にするのが一般的でした。ほかの方法としては、いわゆるダイエット本などでいろいろな主張のものがあり、どれを信じて良いか全くわかりません。その混沌としたダイエット方法の世界に、本当の意味で科学的に解明した研究が2008年に発表されました。

(続く)

2016年10月13日 診療部U

第3話 “情け無用”の偉大な研究

全世界(の一部の人間)に衝撃を与えたこの研究は、医学雑誌の最高峰といわれる「ニューイングランドジャーナルオブメディスン」に掲載された「DIRECT study」です。これは単施設で行われた研究で、中等度以上の肥満(BMI27以上)の中年男女(40-65歳)と2型糖尿病と冠動脈疾患をお持ちの方を対象に、3つの食事療法(低脂肪食、地中海食、低炭水化物食)にランダム化し2年間継続した後に体重,脂質プロフィール,および糖尿病患者における血糖プロフィールに対する影響を比較した研究です。

1. 低脂肪食:男性1800kcal/日,女性1500kcal/日で、エネルギーの30%が脂肪(10%は飽和脂肪酸)からの摂取
2. 地中海食:男性1800kcal/日,女性1500kcal/日で、エネルギーの35%が脂肪(30~35gのオリーブオイルと5~7個のナッツを含む)からの摂取
3. 低炭水化物食:カロリーは無制限で、当初の2ヵ月は炭水化物を20g/日とし,徐々に120g/日まで増加させる

なんとなく読んでいると“ふーん、それで?”と思うかもしれませんが、冷静に考えてみてください。太っているという理由で、突然職場の上司か研究責任者に呼び出され、「君は太っているから研究にエントリーしてもらうよ。今からサイコロ振るけど、1と2がでたら低脂肪のカロリー控えめな食事、3と4がでたら高脂肪のカロリー控えめな食事、5と6がでたら主食抜きのカロリー無制限食になるから。もちろん朝昼晩3食ともそうしてもらうよ。ああ、あと期間は2年ね。」と言われるわけです。病気で治療中に主治医から研究参加を依頼されるのとは根本的に違います。私も最も太っているときはBMIが27くらいあったので、この施設で働いていたら間違いなく白羽の矢がたったでしょう。このような職場についてどのように思われますか?日本であれば別の意味でブラック企業として告発されるのではないでしょうか?またエントリーしたとしても、日常生活の誘惑などに負けてしまい、街でおいしいものを食べてしまったりしてしまうのではないでしょうか。2年間はさすがに長すぎるでしょう。しかし驚いたことに、この研究には318名がエントリーされ、素晴らしい結果を得ることができました。その理由を自分なりに考察してみました。この研究が行われたのはイスラエルの「ネゲブ原子力研究センター」というところで、イスラエルにある2基の原子炉の一つがある施設です。周りは一面にわたり荒野のようなところがひろがり、近くに人口3万人くらいの小さな街ディモナがあります。職員さんの多くがこの街に住んでいるものと推測されます。興味のある方はグーグルマップで確認してみてください。イスラエルというお国柄と、原子力関連施設という特殊性に加えて、このような地理的な条件があったからこそ、この研究が可能だったのかもしれないと考えました。
さて前回お示しした肥満原因の定説から予想される、この研究の結果はどのようなものでしょうか。まず定説1(カロリーオーバー説)の立場からは、低脂肪食=地中海食>低炭水化物食となるはずですし、定説3(脂質過剰摂取説)の立場からは低脂肪食>地中海食となるはずです。つまりダイエット効果としては低脂肪食>地中海食>低炭水化物食となります。果たして結果は?

(続く)

2016年10月14日 診療部U

第4話 カロリー制限まさかの敗北

さて「DIRECT study」の結果ですが、グラフの青色が低炭水化物食、黄色が地中海食、赤色が低脂肪食です。低炭水化物食は最初の半年間にものすごい勢いで体重が減少した後、少しリバウンドしています。おそらく炭水化物の制限量を緩和する過程を表しているのではないかと思われます。地中海食はリバウンドというものがほとんどないような印象を受けます。低脂肪食は最初の6ヶ月は地中海食とほぼ同等でしたが、徐々にリバウンドしているようです。平均減量は低脂肪食群-2.9kg,地中海食群 −4.4kg,低炭水化物食群 −4.7kgであり、低炭水化物食>地中海食>低脂肪食という結果でした。つまり体重減少を目的にした場合、炭水化物を制限しさえすれば、総カロリーの計算や、タンパク質と脂質の割合を計算することなく自由に摂取しながら最も減量効果がえられることが証明されました。炭水化物制限さえしていればタンパク質も脂質も取り放題なので、空腹感を感じることはあまりないはずです。それ以外に、同じカロリー制限を行っているという条件では、脂質を控えるよりも多く摂ったほうがやせられることも証明されました。人によっては、これは単なる一つの研究に過ぎないという人もいるかもしれませんが、これ以上の研究を行うことはまず不可能です。300人もの人が2年もの長い間協力してくれた貴重なデータという意味だけでなく、エビデンスレベル1(研究結果として最も信頼性が高い)の無作為比較試験なので、この試験に反論するためには同様の試験デザインのものでなければならないからです。この試験の結果から、定説1と定説3に関しては疑いを持つ必要があると思われます。

(続く)

2016年10月17日 診療部U

第5話 メタボはなぜ良くないのか?

さて今回はメタボの語源であるメタボリックシンドロームについて解説してみましょう。本来は最初に行うべきだったのかもしれませんが、この話から始めると退屈になりがちなので、あえて後回しにしました。
メタボリックシンドロームの診断基準は2005年に策定され、特定健診が2008年にスタートしています。メタボリックシンドローム特定健診の目玉は、今まで洋服を買うときにしか行われていなかった腹囲測定を、健康状態の指標として採用したことです。なぜ腹囲なのでしょうか?なぜ体脂肪率ではないのでしょうか?それには明確な理由があります。日本国民の健康を害する一番の理由が内臓脂肪の過剰な蓄積にあると断定したからなのです。体脂肪は大きく内臓脂肪と皮下脂肪に分類されます。内臓脂肪は腹筋の内側の腹腔内に存在する脂肪組織です。皮下脂肪は文字通り全身の皮膚の下にある脂肪組織のことです。正確に内臓脂肪を測定しようとするとCT検査を行う必要があるのですが、健診でCTを行うと費用が莫大になってしまうため、腹囲で大まかに評価しましょうということになりました。内臓脂肪が過剰に蓄積するといわゆる動脈硬化を引き起こし最終的に大きな病気になってしまうので、最初の段階をなんとかしましょうというのがメタボ根絶の基本戦略です。決してやせているとカッコいいからという理由ではないのです。
(続く)

2016年11月7日 診療部U

第6話 内臓脂肪は悪いやつなのか?

内臓脂肪の過剰な蓄積が生活習慣病の原因という話をしましたが、内臓脂肪は悪いやつなのでしょうか?内臓脂肪などは外科手術などで切除してしまったほうが良いのでしょうか?決してそんなことはありません。健康的な脂肪組織はとてもいいやつなのです。脂肪細胞はエネルギーを蓄えて、必要なときに供給する重要な働きを持っています。デスクトップパソコンは1秒間停電になっただけで電源が落ちてしまいますが、バッテリーのあるノートパソコンなら停電してもしばらく使えることをイメージすれば良いでしょう。脂肪組織はノートパソコンのバッテリーの役割を担っています。それだけではありません。脂肪細胞は様々なホルモンを分泌することがわかってきました。摂食行動のメカニズムは解明されており、脂肪細胞が分泌する“レプチン”は脳の視床下部(自律神経の司令塔)に作用して食欲をなくさせるようにします(いわゆる満腹中枢の刺激)。それと同時に交感神経に作用し、肝臓や筋肉に、より多くのエネルギーを消費するように指令をだします。正常な状態であれば、脂肪細胞の働きで、肥満を防止できるはずなのです。そのほか短時間的な反応として小腸からコレシストキニン、ペプチドYYという消化管ホルモンが同じ仕組みで満腹感を生み出すとされています。ちなみにレプチンの逆の作用を持つ物質は“グレリン”といい、主に胃から分泌されます。グレリンも視床下部に作用し、強力な食欲増進効果があります。また成長ホルモンの分泌促進、筋肉増強、体重増加を促します。胃切除をした人がやせてしまう原因はこの作用が原因みたいです。脂肪細胞はレプチンのほかにも“アディポネクチン”という血管壁に働いて動脈硬化を抑制したりインシュリンの効きを良くして糖の代謝を改善する、身体にとてもよい物質も分泌しています。
(続く)

2016年11月14日 診療部U

第7話 脂肪組織が輝くとき・・・

現代社会で普通の生活を送っていれば、特殊な状況にならない限り日々の食べるものに困ることはありません。では特殊な状況について考えてみましょう。海難漂流における最長記録は、日本人が保持しているということをご存じでしょうか。今からおよそ200年前の江戸時代1813年に督乗丸という、大きさ1,200石(いわゆる千石船)、14人乗りの船が漂流します。江戸から尾張へ帰る途中で海難にあったのです。江戸時代の海運は主に江戸・大阪に向けた国内航路のみで、陸地を見ながら航海する“地見航海”というものでした。日本海、瀬戸内海は穏やかな航路ですが、太平洋ルートは陸地をはなれ潮流に乗ってしまうと遭難のする危険性がありました。江戸からの帰りに暴風雨にさらされた督乗丸は、舵や帆柱、艀(はしけ)を失い、丸坊主の船となってしまいました。しかし船長の小栗重吉という人が強い精神力でサバイバルを乗り切ったと言われています。もともと船には米6俵と大量の大豆が積み込まれていましたが、86日目に米がつきてしまいます。魚もなかなか釣れなかったそうです。150日頃から壊血病と思われる症状のため起き上がることができない人が出てきて続々と死亡し、約1年後には残り3人になってしまいました。その後の漂流も大変厳しいものでしたが、最終的に484日目にアメリカ西海岸のサンタバーバラ沖で英国船に救助され、その後重吉はロシアの船で日本に戻ることができました。帰国後は名古屋市のお寺に仲間の供養塔を建立していて、いまも残っているそうです。もしこの話に興味があれば「船長日記(ふなおさにっき)」や「漂い果てつ-小栗重吉漂流譚」という本になって出版されていますので読んでみてください。さて何が言いたいかというと、食料がほとんどなくなり飢餓状態になったとしても、人間はなんとか生きていくことができます。それは脂肪細胞に大量のエネルギーが蓄えられているからに他なりません。体重50kg、体脂肪率20%の人(一般的にはスリムな方)であれば、体内に9万キロカロリーものエネルギーが蓄えられており、それはおよそ40日分の食料に相当します。つまり水分と最小限のビタミンの補給があれば40日くらいの断食は不可能ではありません。現代社会では脂肪組織が持つ本来の能力を発揮することは滅多にありませんが、大昔にはこの能力が、生き残るために重要だったわけです。前回解説した、良い物質を分泌する能力も含め、人間の守り神のように思える健康的な脂肪細胞ですが、メタボリックシンドロームにおいてはすっかり悪者になってしまっています。

(続く)

2016年12月2日 診療部U

第8話 君子豹変す

内臓脂肪が急に悪者になる仕組みは、現在研究途中の段階です。現在わかっていることは、過栄養・肥満により内臓脂肪が肥大化し,脂肪細胞が分泌するホルモンであるアディポサイトカインの分泌が変化し、その結果インスリン抵抗性(血糖値が上がりやすくなること)が生じて,メタボリックシンドロームを起こすという事実のみです。ネズミの実験では高脂肪食が誘因ともされていますが、ヒトではまだ解明されていません。では悪者になってしまった内臓脂肪はどのようなアディポサイトカインを分泌するのでしょうか。前回説明したレプチンは多く分泌されるのですが、それに対しての全身の反応が鈍くなってしまいます(レプチン抵抗性といいます)。また良いホルモンといわれる、アディポネクチンの分泌が減少してしまいます。そして身体に悪い影響をあたえるIL-6、TNF-α(炎症反応などに関与)、レジスチン(インスリン抵抗性に関与)、PAI-1(血栓形成に関与)、アンジオテンシノーゲン(高血圧に関与)などの分泌を増やしてしまいます。悪者になりはてた脂肪細胞は、ありとあらゆる方法をもって動脈硬化を進行させる悪行を行い続けます。君子豹変とは、まさにこのことでしょうか。もしかしたら脂肪細胞を酷使しすぎた結果、主人に対して反抗的な態度をとっているのかもしれません。
(続く)

2016年12月20日 診療部U

第9話 脂肪を減らしてスリムになりたい

さて、前回脂肪組織の2面性を説明しました。
内臓脂肪の凶悪化の防止は、結局のところ「肥満にならなければOK」という話になります。しかしこれでは本末転倒というか、因果関係が全く不明になってしまいます。
そこで、肥満防止のための食生活に注目してみましょう。どんな食事をすれば社会全体として健康になれるのか、1970年代からこの問題に真っ向から取り組み、壮大な社会実験を行った国がありました。第1話で話題にしたアメリカです。1950年代にアメリカミネソタ大学のアンセル・キーズ博士がバター、チーズ、赤身肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、血液中のコレステロール値を上昇させ、その結果、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の原因になるという説を主張しました。これが脂肪悪玉論の始まりと言われています。1957年から7つの国(アメリカ、日本、フィンランド、オランダ、旧ユーゴスラビア、イタリア、ギリシャ)で疫学調査を行い、1970年代まで行われました。食文化と冠動脈疾患の関連を検討した世界初の国際共同研究です。ストレートすぎるネーミングなのですが、「セブンカントリーズスタディ」として知られています。そしてこの研究にて最終的に自説の正しさを証明したと主張しました。アメリカ人の健康向上・医療費抑制のため1977年にアメリカの上院でジョージ・マクガバン上院議員が提出した「マクガバンレポート」において脂肪悪玉説を採用しています。その内容は高カロリー、高脂肪の食品つまり肉、乳製品、卵といった動物性食品を減らし、できるだけ精製しない穀物や野菜、果物を多く摂るようにというものでした。そんな訳でアメリカ政府は公式に、健康のために油を控えるような指導をする方針を固めました。アメリカ全土をあげての脂肪減量作戦でアメリカ人は健康になれたのでしょうか?

(続く)

2017年1月18日 診療部U

第10話 全米が太った!

全米をあげて脂肪悪玉説を根拠にした食事指導を開始したのですが、その詳細な内容は、National Cholesterol Education Program (NCEP)にまとめられています。

その概要は、
1.炭水化物の比率を55-60%に増やす。
2.脂質の比率を40%から30%に減らす。
3.飽和脂肪酸を10%に減らす。
4.コレステロールを1日300mgに減らす。
5.砂糖、塩分を減らす。
というものです。

いま見てもとても良さそうな気がしますし、今なおこの考えに従って栄養指導している団体もあります。
アメリカの人々も信じて疑いませんでした。なんといっても当時の栄養学の最新理論を用いて策定されたプログラムです。TIME紙を始めとするマスコミや産業界を巻き込んだ大規模なキャンペーンなども行われました。動物性脂肪(飽和脂肪酸)が悪いものとされたため、植物性脂肪の摂取量が大変増えました。バター・ラードは身体に良くないので、マーガリンやキャノーラ油に代えましょうという流れもこのころから始まりました。牛肉や卵、チーズの摂取量は減り、パスタや穀物、芋のようなデンプン質の野菜、果物の摂取量が増加しました。統計では30年間で、総カロリーに占める脂肪摂取比率が36.9%から32.8%と4.1%減少、糖質摂取比率が42.4%から49.0%と7.6%増加し大きな成果をあげました。これでアメリカ人がみんなスリムで健康になれれば万々歳だったのですが、なんとアメリカ人の1/3以上が肥満になるという恐ろしい事態になってしまいました。アメリカの州別の肥満率の変化を下の図に示しますが、ほぼアメリカ全土で肥満者の割合が激増しています。さらに肥満が原因の一つと考えられている2型糖尿病の患者さんも166%増加しました。
いくら何でも異常事態です。なにが悪かったのでしょうか?

(続く)

2017年1月25日 診療部U

第11話 脂肪を減らせば健康になれるのか?

脂肪悪玉論に基づいた食習慣の改変で、アメリカでは肥満率や2型糖尿病の有病率が激増してしまいました。
しかし、それ以外のことでは何か変化はなかったのでしょうか?
このことに対する一つの答えがあります。
2006年にアメリカ医師会雑誌に発表された研究です。
これは50〜79歳の看護師さん48835人を2つの群に分け、介入群には8.1年にわたって「総脂肪摂取量を減らし、野菜、果物、穀物を増やす」ことで心疾患や脳卒中、乳がん、大腸がんなどの発症が抑えられるかどうか検証した研究です。恐らく、頑張って食事の制限をすれば健康になれるものと予想して、始めた研究だったに違いありません。本物の論文ではグラフ化されていないものもあるので、奥山治美先生の著書から引用したグラフを掲載しています。左に食事からの各栄養素摂取量の変化をしめしていますが、流石は医療関係者の方々の集団なので、目的とした食事指導がバッチリ効いているのがわかると思います。そして、その右に病気の発症と死亡の危険度を示していますが、全然効果が無いことがわかります。大腸がんについてはもう一つのグラフに示していますが、これも同じように全く影響がなかったことがわかります。頑張って食事制限したにも関わらず、これっぽっちも健康になれなかったのです。
「健康に良さそうな食事をしている!」という気持ちによる、プラセボ効果さえ無かったという悲しすぎる結果であります。

(続く)

2017年2月1日 診療部U

大腸がんについてのグラフ

第12話 本当に脂肪は悪者なのか?

1ここまでの話をまとめてみましょう。
まず、イスラエルで行われた「DIRECT Study」では、300人、2年間の体重減少効果は、低炭水化物食>地中海食>低脂肪食という結果でした。なにより、低炭水化物食は食べる量の制限がありません。好きなだけ食べても炭水化物(糖質+食物繊維)を制限することができれば、食事量を減らす方法よりもやせられることが証明されました。
また、アメリカの30年間の肥満率の激増は“間違った栄養指導”の恐ろしさを如実に物語る結果となっています。また、脂肪の摂取量を減らす食事をしたとしても心疾患、脳卒中、一部のがんなどを予防することができないことが、研究から証明されてしまいました。

今だから言えることなのですが、
National Cholesterol Education Program (NCEP)の概要
1.炭水化物の比率を55-60%に増やす。
2.脂質の比率を40%から30%に減らす。
3.飽和脂肪酸を10%に減らす。
4.コレステロールを1日300mgに減らす。
5.砂糖、塩分を減らす。
のうち、5「砂糖、塩分を減らす」以外は全て間違いだったのです。

多くの人が「そんな馬鹿な!?」と思うかもしれませんが、事実なのです。
だからこそ、今、栄養学の世界が激動の時代と言われているのです。
しかし、いまなお、古い考えに固執している人もいます。多くの教科書や動脈硬化学会のガイドライン最新版においても、堂々とNCEPと同じことが記載されています。自分もつい先日までそのことを知りませんでした。今はインターネットの普及により、情報過多の時代と言われています。しかし多くの情報の中で、何が事実で何が事実でないか判断することが非常に難しいのです。さらに医学界と産業界(製薬会社、食品メーカーなど)の様々な利害関係が絡まり、とても複雑になっています。複雑な事象ではありますが、「私」というフィルターを通して、いま正しいと考えられていることを述べていきたいと思っています。

(続く)

2017年2月8日 診療部U

第13話 脂肪の基礎知識

さてここで、一般的に脂肪と呼ばれるものについて勉強してみましょう。脂肪は三大栄養素のなかの一つであり、後の二つには炭水化物(糖質+食物繊維)とタンパク質があります。食べた脂肪は消化吸収され、「コレステロール」「リン脂質」「遊離脂肪酸」「中性脂肪」に合成されて血漿中に流れていきます。油に分類される成分ですので、水には溶けることができず実際には血中リポタンパクという粒子になり流れていきます。リポタンパクはキロミクロン、VLDL、LDL、HDLに分類されています。LDL粒子の直径はおよそ30ナノメートルで、赤血球はおよそ7マイクロメートル(7000ナノメートル)です。ときどきコレステロール値が高くなると血液がドロドロになると考える人がいますが、一つの赤血球に対して200分の1にも満たない大きさなので、血液の粘度に関しては何の影響もない粒子と考えていいでしょう。LDLは悪玉コレステロールとして、HDLは善玉コレステロールとして扱われています。個人的な意見ですが、LDLコレステロールを悪玉扱いすることは間違いではないかと考えています。その理由はいずれ述べることになるでしょう。リポタンパクは血液を流れていき、身体のいろいろな細胞に運ばれていきます。合成された脂質にはそれぞれ役割があります。

コレステロール・・・細胞膜や身体の機能を整えるホルモンの材料となる。

リン脂質・・・細胞膜の材料になる。体内の脂質を水になじませる。

遊離脂肪酸・・・体内ですぐに使用されるエネルギーになる。

中性脂肪・・・肝臓や脂肪細胞に蓄えられる。貯蔵用のエネルギーになる。

このような役割をもっている脂質ですが、大きく二つの役割を持つと考えることができます。すなわち材料とエネルギーという役割です。それはたとえるなら、原油からガソリンや灯油などの燃料(エネルギー)を精製し、原油からプラスチック(材料)ができることをイメージすれば良いとおもいます。ここで重要なことは、同じ石油製品だからといってプラスチックを燃料にすることができないのと同様に、コレステロールは決してエネルギーにならないことです。運動したところで燃える(細胞内のミトコンドリアで酸素と反応し二酸化炭素と水になる現象)ことはありません。そしてコレステロールは安全かつ必要な物資なのです。それではなぜ現代人は脂肪を含めたコレステロールを敵視するようになってしまったのでしょうか?

(続く)

2017年3月4日 診療部U

第14話 かわいそうなウサギの話①

コレステロールが動脈硬化を引き起こすのではないかという脂肪悪玉説の起源は今から100年ほど前のロシア人科学者ニコライ・アニチコフ博士の研究といわれています。アニチコフ博士はウサギにコレステロールが多く含まれる高脂肪食を大量に与えたところ、その大動脈壁にかなりの量の脂肪が沈着することを発見しました。その発見こそがコレステロールが動脈硬化を起こすという学説の原点のようです。別の研究者が雑食性の犬やねずみなどに高脂肪食を与えて実験を行いましたが、同じような変化は全く出現しませんでした。完全な草食動物のウサギにむりやり大量の高脂肪食を食べさせてできた大動脈の脂肪蓄積と、普通に生活している雑食動物の人間の動脈硬化が同じ条件で起こるとはとても思えないのは当たり前の話であり、この研究は1950年代までほとんど誰からも関心をもたれませんでした。

せっかくなのでウサギの栄養について考えてみましょう。ウサギは完全な草食動物であり、野生のウサギは野草の茎、樹皮などを主食としています。我々から考えると、どうやって栄養を得るのだろうと疑問におもうのではないでしょうか。これは草食動物一般に言えることですが、野生の草食動物が食べる草はカロリー的にはゼロです。にもかかわらず牛や馬などはとても大きな体をしていますし、運動能力もきわめて優れています。草の主成分である食物繊維はセルロースであり、このセルロースを分解できる酵素を合成できる脊椎動物はこの世に存在しません。ではどのように草などを栄養にするのでしょうか。以前に連載していたメタボ戦記の第26話では牛の栄養について解説しました。ウサギの場合は牛とは違い、胃袋が4つもあるわけではなく、そのかわりに盲腸が非常に発達していて、巨大な盲腸をもっています。その盲腸内にいる細菌が消化吸収できないものを分解し、栄養のある有機物に変化させているのです。牛との大きな違いは、下部の消化管である盲腸で栄養が作られるので、普通に排泄してしまっては吸収ができないため(栄養の吸収は主に上部消化管である小腸でおこなわれる)、食糞といって盲腸で作られた便(盲腸便)を食べることによって、もう一度上部消化管に運ぶということを行います。盲腸便はウサギ小屋などに落ちているコロコロした糞とは違い、ベチャッとした固まったあんこのようなものです。通常は夜の間に盲腸便を出し、すぐに口をおしりに持って行って食べてしまいます。人間からみたら何か不潔な感じにも思えますが、ウサギにしてみれば草や樹皮を食べるよりも、バッチリ満足感が得られる食事に違いありません。
(続く)

2017年3月24日 診療部U

第15話 かわいそうなウサギの話②

人間が食物から摂取するコレステロールは一日あたり0.3-0.5g、それとは別に体内で主に肝臓にて1-1.5g合成されています。食事から摂取するコレステロールが増減しても、肝臓で合成する量を調整できるので、血液中のコレステロール値は長期的には、ほぼ一定に調整されます(血中コレステロール値には個人差がある)。一方ウサギはもともと食物からコレステロールを摂取することがないので、むりやり食べさせられたら、それを調整することができません。お酒を全然飲めない人に、むりやり一気飲みをさせているようなものです。アルコールと違いコレステロールは安全な物質であるため、吐いてしまうことも下痢を起こすこともなく、体内に取り込まれてしまったあとは行き場もなく、動脈壁に蓄積する以外無かったのでしょう。第13話で説明しましたが、コレステロールはエネルギーとして燃えてしまうこともありません。

さて第2次世界大戦が終わった1950年代にアメリカで問題になっていたことは、心血管疾患の激増でした。さらに1953年のアメリカ医師会雑誌に、朝鮮戦争で死亡した兵士を解剖して冠動脈とよばれる心臓の血管を観察したところ77%に動脈硬化性の病変があり、35%には冠動脈狭窄がみられ、さらに3%には冠動脈が閉塞していたという論文が掲載されました。どこから見ても健康そのものの若い兵士の心臓血管に、動脈硬化がおこっているという事実がアメリカ社会に大きな衝撃を与えたのです。「知らないうちに心臓の血管に動脈硬化が進行している。戦争で戦死しなくても心臓病で病死してしまう」という恐怖感が全米をおそいました。そして動脈硬化を起こすウサギの研究が注目を集め、コレステロールが悪者なのだという流れができあがっていったのです。

もう一つ、コレステロールとウサギにまつわる話があります。1973年に神戸大学の動物実験施設で、普通の食事でも血中コレステロール値が正常の10倍も高くなるウサギが発見されました。このウサギをうまく品種改良?することで家族性高コレステロール血症の実験モデルの動物が完成しました。発見者である渡辺嘉雄先生の名前をとって「Watanabe heritable hyperlipidemic(WHHL) ウサギ」と呼ばれています。もう20年以上前、当時大学院生だった私は、医局の先輩とともに神戸大学の実験施設を訪ねたことがあります。先輩はこの「ワタナベウサギ」を分けてもらえないかお願いしてたみたいです。その先輩はいま私の出身医局(大阪市立大学循環器内科学)の教授になってます。

(続く)

2017年3月31日 診療部U

第16話 1950年代、結論の異なる2つの有名な研究①

さて、キーズ博士が中心となって始まったコレステロール学説、脂肪悪玉説ですが、当初からすぐに受け入れられた訳ではありませんでした。心臓病と生活習慣、栄養などの関係を分析するために疫学調査をいうものが行われました。有名なフラミンガム研究です。フラミンガムとはアメリカ マサチューセッツ州の人口30000人弱の小さな労働者の町の名前です。この研究により冠動脈疾患の危険因子という概念が提唱されました。おおまかな内容としては高血圧、脂質異常症、肥満は三大危険因子で、喫煙と動脈硬化は強い相関を示す、男女間で心臓疾患の発症に差があるといったものです。また多変量解析という手法が考案され、その後の医学研究に大きな影響を与えました。現在の健康常識の原点といってもよい有名な研究で、今なお解析が行われています。自分としては臨床研究の金字塔のような研究として、なんの疑いもなく受け入れていたのですが、この連載の元ネタの一つであるミッシェル・ド・ロルジュエル著「コレステロール 嘘とプロパガンダ」、さらにゲイリー・トーブス著「GOOD CALORIES, BAD CALORIES」によると、1960年代の始め最初の結果発表の当時、激しい議論が引き起こされましたそうです。タバコ・高血圧と心筋梗塞の統計的関連性は疑いようがなかったのですが、栄養因子と血液中のコレステロール値には関連性がなかったのです(下のグラフは一つの解釈の論文)。具体的には50歳以下の若い成人男性は総コレステロール値と関連があるのですが、それ以外は関連性がない、というより高齢者では負の相関を示したのです。そこでコレステロールをその比重により善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分けて考えるという学説が生み出され、その方法を用いることで、HDLが高いと心筋梗塞のリスクが低くなることを証明しました。総コレステロール値が同じであれば、HDLが高い人はLDLが低くなるため、LDLが高いことは心筋梗塞のリスクになると考えられるようになったわけです。食生活と心臓疾患の関連も調べられていたのですが、どういうわけか公表されることはありませんでした。フラミンガム研究は壮大で非常に素晴らしい研究ですが、表に出ない側面もあるようです。詳しくお知りになりたければ、前述の2著をお読み頂くのが良いかと思います。

コレステロール値とCHDイベントとの関連は年齢により正相関から負相関まで大きく変わる
フラミンガム市民(5209名)の32年間(16.7万人・年)の追跡結果(Kronmal RA et al.)Arch Intern Med 1993; 153:1065-73
(続く)

2017年4月7日 診療部U

第17話 1950年代、結論の異なる2つの有名な研究②

フラミンガムで調査が行われていたのとほぼ同じ頃、同じアメリカに心臓病による死亡率が極端に低い町が話題になっていました。ペンシルバニア州にある人口1600人のロゼトという小さな町です。その秘密を解明すべく、医学者たちが7年間にもわたり疫学調査を行いました。肥満や喫煙、糖尿病、脂肪摂取状況を含めた食習慣など綿密に調べられました。そしてその結果は、“周囲の町と何も変わらない”という、驚くような内容でした。ではなにが低い心臓病死亡率に寄与していたのでしょうか。研究者達は“ロゼトの人々の連帯感の強さにある”と結論づけました。どんなに調べても、それ以外に原因になるものが何もなかったのです。もともとロゼトはイタリアの同じ農村からの移民たちによって作られた町で、仲の良い家族のような町だったのでしょう。しかし時の流れとともにロゼトの奇跡的な心臓病死亡率の低さは失われて行きました。人々の連帯感が希薄になったためだろうと考えられてます。

さて有名な2つの疫学調査からは、全く違う結論が出てしまいました。医学的に測定できる数値によって冠動脈疾患の危険性が予測できるというものと、数値化できない生活環境こそが影響しているという内容です。キーズ博士たちの考え方はもちろん前者、それも血液中のコレステロール値に影響を与える食事(飽和脂肪酸の過剰摂取)がもっとも悪影響を及ぼすという学説に基づいていたため、フラミンガム研究の内容を支持し、ロゼト研究は忘れ去られて行くようになりました。しかし個人的にはロゼト研究の結論は今なお色褪せないものと思います。たとえば病院の診察室において医学的な数値だけを分析し、それに対してだけ治療を行っていくことが本当に正しいのか?医師と患者さんとの良好な人間関係があって初めて、より良い医療が成立するのでは無いか。そういったことを考えさせてくれる研究だとおもっています。

(続く)

2017年4月14日 診療部U

第18話 国際共同研究“セブンカントリーズ スタディ”

1955年にキーズ博士は大規模な疫学調査を開始しました。これは国際的な研究で、目的はコレステロールと動物性飽和脂肪酸の関連性を証明することでした。当時のアメリカでは狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患で亡くなる人がたくさんいましたが、地中海諸国ではその発症率が低かったそうです。そこでギリシャ、イタリア、旧ユーゴスラビア、オランダ、フィンランド、アメリカ、日本の7カ国が研究対象になりました。研究の第一の目的は各国で食生活と心筋梗塞の発症を助長する可能性のある因子(特にコレステロール、血圧、体重、喫煙)を分析することでした。第二の目的は、各国の国民を代表する少人数のグループを多年にわたって観察し、最初に登録されていた諸因子が心疾患を予測するかどうかを検証することでした。主な結果は1970年から15年後の1985年までの間に公表され、続く20年の経過観察が行われました。この結果は、全体として食生活、血圧、喫煙が心臓死の主な危険因子であることを示すこととなりました。コレステロールに関しては曖昧な結果となったようなのですが、キーズ博士は最終的に以下の3つの主要な結論を導き出しました。

1. コレステロール値により心筋梗塞のリスクが予測できる。
2. 飽和脂肪酸(動物性の脂)によりコレステロール値が決定できる。
3. 一価飽和脂肪酸(オリーブ油などに多く含まれる)により梗塞のリスクを低減できる。

様々な解釈が可能であったセブンカントリーズステディーですが、最終的には(当初の予定通り)コレステロール悪玉説を証明するという内容になってしまいました。
下のグラフをみると確かにコレステロールの値が増えるに伴い、心疾患の死亡率が高くなるのがわかると思います。7つの国で調べてこのようになるのであれば、キーズ博士の言っていることは正しいと感じてしまいます。

しかし少し冷静になって考えますと、まず日本に関してはコレステロール値と心疾患死亡率は全く関係ないことがわかります。またコレステロール値が250mg/dLでの各国の心疾患死亡率は下のグラフのようになり、同じコレステロール値でありながら、対象集団によってコレステロールの毒性に大きな違いがあることを証明するものとなります。これはフラミンガム研究でも見られた現象です。

この謎は現在ではある程度解明されています。調査対象となる集団の中に、家族性高コレステロール血症の人がどのくらいの割合で含まれているかが、心疾患の発症率に大きな影響を与えているという考え方です。コレステロールと病気、特に心臓疾患、動脈硬化性疾患の関連性を考えるうえで、家族性高コレステロール血症の人たちの存在は非常に重要なのです。

家族性高コレステロール血症(FH)の特徴は、
1. 細胞のLDLコレステロール受容体の機能異常により、LDLコレステロールが効率的に細胞内に取り込まれない。
2. 若年より高LDLコレステロール血症になる。
3. 心疾患死亡率は、FHの場合、非FHの10-50倍
4. 短命(FHの場合平均寿命はヘテロ型で非FHの80%、ホモ型で40%といわれる)
5. 頻度は0.2%(500人に一人)

下のグラフでは3つのグループにおけるコレステロール値と心疾患の発症率・死亡率の関係を示すグラフです。FHでは無いことが年齢的に証明された高齢者が含まれた群であるCグループにおいてはコレステロールの毒性が全くないことが読み取れると思います。

今でこそ、脂肪悪玉説・コレステロール悪玉説が徐々にではありますが否定され始めてきていますが、当時のアメリカではセブンカントリーズ スタディーによりコレステロールこそが心疾患の原因であることを確認する根拠を得たということになりました。そしてキーズ博士の学説による臨床試験が開始されることになるのです。

(続く)

2017年5月10日 診療部U

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