気温がぐんぐん上がり、日本列島の広い範囲で最高気温が35度以上の猛暑日となるなど、真夏のような6月でした。梅雨明け後も平年よりも気温がかなり高く、猛暑が予想されています。こまめな健康観察や水分補給などを心掛け、熱中症対策をはじめ、健康管理には十分気を付けていきたいと思います。
7月初めの週末に年長児のお泊り保育があります。金曜日の朝9時に登園してから、土曜日の9時に保護者の方がお迎えに来るまでの間、友達や先生と何をしてどんな風に過ごすのかを1ヶ月程前から話し合いを重ね、準備を進めています。夕食のデザートは2日がかりで決定しました。様々な遊びを通して、科学への興味関心が広がってきている為、金曜日には、浜松科学館(みらい~ら)に出掛けることになりました。館内ではグループごとの行動になります。先日パンフレットを見ながら探索経路の相談をしました。ケーキグループ(7名)は行きたいゾーンの確認から始まりました。「私は音ゾーンに行きたい」「いいじゃんそうする?」「おれ、力ゾーンがいい」「2階だからいいんじゃない」「そうだね、行ったり来たりはやめよう!」「じゃあ2階だね」と経路を考えながらも時間の意識をしていることがわかりました。科学館に到着してからの時間の流れ、昼食スペースの時間やサイエンスショー、プラネタリウムの時間を子ども達がわかりやすいように絵と文字で表しました。すると館内の探索時間が2回に分かれる事、1回目の時間の方が長いことに気付き、お昼の前(1回目)は「2階だけにしよう」と満場一致で決定し、3つのゾーンを順番に回ることになりました。階をまたぐと時間が掛かる為、2回目に1階の自然ゾーンへ、プラネタリウム見学後に同じ3階の宇宙ゾーンを覗こう!ということでまとまりました。お互いの意見を聴き合い、「それでいい?」と確認をしながら決めていったので、大きな意見の食い違いもなく進みました。私が「1回目の45分間って夢中になって遊ぶとあっという間に過ぎちゃうかもしれないから3つ目の光ゾーンに行けなくなっちゃうかもしれないね」と投げ掛けると「それは嫌だ!」「3つ行きたいよね」「どうすればいい?」とまた話し合いが始まりました。時間管理は難しいですが、3等分するような意見が出てくるのかなと思っていると…Aさんが、「わかった!2回ずつ行けばいいじゃん」と提案をしたのです。えっ?2回ずつ!?どういう事?と私が考えていると、Bさんも「それいいね!そうすれば3つ行けるじゃん」と。するとCさんが「何があるか見て、やりたいのを決めればいいね」、「いいじゃん、いいじゃん」「やりたいのやれるよね」と7人で喜んでいました。1回目は何があるのかをさっと見て回り、やりたい物を決め、2回目にそれをやって次のゾーンに行くという事でした。私が理解する前に、子ども達同士が理解をして同意していった事、私が考えもしなかった方法でまとまり、喜んでいる子ども達の姿に驚きました。当日は計画通りにいかない事も出てくると思いますが、仲間と共に考え、工夫して過ごす事を楽しみにしています。4、5歳児になると子ども達が集まって、様々なテーマについて話し合う場を作っています。子どもたちが主体的に考え、発言し、お互いの意見を聴き合うことで、より良い物や事を創り出すきっかけになっています。自分の考えを表現し、受け入れられる経験を通して、自信に繋げたり、異なる意見を持つ相手を受け入れ、尊重する態度を養ったりしながら、仲間の一員として行動する意欲へと繋がってきています。保育者は、子ども達の話し合いをサポートしたり、必要に応じて助言をしたりしますが、基本的には子ども達自身が主体的に話し合えるように見守っています。今回のように、子どもは大人とは異なる視点や発想で物事を捉えるため、私達保育者も新たな発見をすることができます。自分達で決めた事なので、たとえ失敗しても、あきらめずに最後までやり抜こうとし、子ども達ならではの工夫が生まれています。物事だけなく、共に役割や担当も決めることで、達成感や人との関係性を築くことにも繋がっていくことでしょう。お泊り保育を通して、愛されていること、愛すること、信じること、希望を持つこと等を仲間と共に経験し、心の大きな成長に繋がることを願い、子ども達を見守っていきたいと思います。
園長 梶山 美里